2000515

日本のできごと
4/20〜5/9


森首相、顔見せの米ロ欧訪問
 森首相は四月末より太平洋・島サミット、ロシア、欧州、米国訪問などの外交活動を行った。五月五日に行われた日米首脳会談では、首相は沖縄の米軍基地問題について従来の見解をくり返したのみで、むしろ双方は日米安保の重要性を確認し合った。一連の外交に新鮮味はなく、対米追随の枠を一歩も出ない「顔見せ」にとどまった。

ASEAN・日中韓、外貨融通を拡大
 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の十三カ国による蔵相会議が六日、タイで開かれ、「通貨スワップ協定」を結ぶことで合意した。通貨スワップ協定とは、互いの外貨準備を活用して外貨を融通する取り決めで、外貨不足が生じた国に対し、余裕のある国が短期の外貨資金を貸し出す仕組み。アジア通貨危機を機に、日本は韓国、マレーシアとスワップ協定を結んでいるが、これの拡大版といえる。資金規模など不明な点もあるが、米国抜きにアジアの経済危機対応体制をめざすものと、注目されている。わが国はドル追随ではなく、アジアとの共生をめざすため、これをさらに発展させることが必要となっている。

政府、シンガポール基地の利用を要求
 アジア歴訪中の瓦防衛庁長官は二日、シンガポールのトニー・タン国防省と会談した。瓦長官は、東南アジア地域で有事などの際、在外邦人救出などで自衛隊の艦艇・航空機がシンガポールの基地を利用することを求めた。自衛隊が他国の施設を利用することで、平時に事前了解を得るのは初めて。自衛隊の海外派兵拡大は、アジア諸国の不信をまねくものである。

与党、続々と訪台団派遣
 台湾を訪れた自民党の村上参院幹事長ら与党代表団が一日、陳水扁次期「総統」と会談した。陳次期「総統」は、わが国の周辺事態法を「評価する」とするなど、米東アジア戦略にそった新ガイドラインに追随する姿勢を示した。村上らはまた、林・民進党主席に今秋の訪日を要請した。先の民主党、今回の与党の訪台は、明らかな「二つの中国」策動の一環といえる。中国の内政に意図的に干渉し、東アジアの緊張を激化させることは許されぬ。

金持ち優遇の民主党税制改革案
 民主党税制調査会は四月二十一日、二〇〇五年までの中期的な税制改正策をまとめた。同案では、所得税の累進構造緩和と税率引き下げを行い、高額所得者に減税する一方、社会保険料などへの控除を全廃する。また、消費税を基礎年金の財源として目的税化する。まぎれもない金持ち優遇策であり、民主党は労働者の敵であるとしか言えない内容である。

介護保険実施で問題続出
 介護保険施行後、自治体などが自己負担分に対する軽減策を実施していることなどが、二十日までに明らかになった。厚生省によると、九三%の自治体がホームヘルプサービス利用者の負担軽減を実施。介護申請受付数は、全国で二百四十九万七千七百五十一人で、当初予想を約三十万人下回った。ケアプラン作成依頼届を出していない高齢者も、全体の一七・七%に及んでいる。これは、自己負担の重さと介護施設の不足などにより、介護サービスを希望しない人が多いためと思われる。さらに、介護保険の在宅サービス、ケアプラン作成などで、事業者の撤退が全国で九十三件にもおよんでいる。介護保険の問題点が噴き出したことで、首相の諮問機関が再検討を開始するなど、介護保険は早くも見直しを迫られている。


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