2000315

世界のできごと・人民のたたかい
3/1〜3/9


中国全人代、いっそうの構造改革へ
 中国の国会にあたる第九期全国人民代表大会が三月五日、開幕した。朱鎔基首相は政府活動報告で、世界貿易機関(WTO)加盟をにらみ農業や工業の構造改革を推進する決意を表明。対日政策をめぐっては、「ごく少数の日本の極右勢力が中日関係を妨げ、破壊していることを警戒しなければならない」と強調した。台湾問題では「二国論や台湾独立などの分裂活動に手をこまねいていない」と述べた。アジア経済の回復を追い風に七・一%の成長を実現した中国だが、汚職、格差の拡大、失業問題が深刻となっている。

韓国大統領、欧州4カ国を歴訪
 韓国の金大中大統領は二日から、イタリア、バチカン、フランス、ドイツの欧州四カ国を歴訪し、対北朝鮮政策で欧州との緊密な連携、南北対話の再開に向けた支援を要請した。バチカンでは四日、ローマ法王に朝鮮民主主義人民共和国への訪問を提案し、法王は韓国の南北緊張緩和への取り組みや食糧支援などを支持する意向を示した。訪欧は最近、北朝鮮がイタリアと国交を回復するなど、欧州各国への接近を強めていることをにらんだもの。

英国、ピノチェトを釈放
 英国政府は二日、軍政時代に三千人を拷問死させた「人道に対する罪」で拘束していたピノチェト元チリ大統領を釈放した。英政府は「病気」を理由に政治決着をはかった。人権を口実に介入する米国も今回は静観。「社会主義」政権を倒したピノチェトのクーデターに米国が介在していたことが明るみに出るのを恐れたため。欧米は「人権は国家主権に優先する」という理念を押しつけようとしているが、彼らの「人権」がきわめてご都合主義であることが暴露された。チリの首都サンチャゴでは四日、帰国したピノチェトを国内で処罰せよと、大統領官邸前で五千人が気勢をあげた。

伊・独・英がイランと関係強化へ
 二月のイラン総選挙で欧米との関係改善を掲げた「改革派」が圧勝したことを受け、欧州各国がイランとの関係強化に動きだした。五日にはイタリア外相が、六日にはドイツ外相が相ついでイランを訪問。二国間関係の強化、企業のイラン進出などを協議した。英外相も五月に公式訪問する予定。欧州では、イランへの経済制裁を続ける米国と一線を画した外交が進んでいる。


 国際婦人デーの八日、世界各国で女性の権利を守り地位向上をめざす行動が繰り広げられた。ドイツでは、百カ所以上で集会、デモなどが催された。オーストリアのウィーンでは、女性の権利を侵害している極右参加政権の退陣を求める女性たちのデモが行われた。
 インドのデリーで九日、労組、農民、女性団体など五十五団体が、公的企業の民営化による十万人の解雇、公共料金の値上げに反対行動を行った。全国から二十万人が集まり、ニューデリーの議会前までデモ行進した。
 スコットランド・ラス岬で二日、米軍砲撃演習が始まった。環境団体や市民団体、政党が「スコットランドを米国の植民地のように扱うのか」との声を強めている。プエルトリコのビエケス島での誤爆や劣化ウラン弾使用などへの不安が広がり、同議会では三日、演習非難決議案が緊急提案された。
 フランスでは二月から週三十五時間労働制が導入されたが、仏労働総同盟など公務員労働組合の大半は受け入れを拒否している。労組側は労働時間の短縮には賛成しているものの、中央も地方も緊縮財政を口実に時短に伴う新たな増員をしないことに反発。「時短に見合う新規採用が置き去りにされている」などの不満が強く、教職員組合などは三月半ばストを予定している。 


Copyright(C) The Workers' Press 1996-2000