2000315

日本のできごと
3/1〜3/9


警察問題で、小渕政権へ批判強まる
 国家公安委員会(保利耕輔委員長)は三月二日、新潟県警と警察庁の不祥事問題で、田中警察庁長官を減給一カ月の懲戒処分とした。しかし、新潟県警の相つぐ不祥事の発覚と、その監督責任がある警察庁や国家公安委員会の対応、あまりにも甘い処分に対して、国民の批判が急速に強まっている。また、野党も国家公安委員長、警察庁長官の辞任を要求。これに対して政府は急きょ、公安委員任期の短縮、警察組織刷新会議(懇談会)設置など、警察不信をぬぐうための一時しのぎの対策を打ち出した。小渕政権にとっては二月下旬、越智金融相が辞任したばかりであり、これ以上の閣僚辞任は避けるべく防戦に必死である。小渕政権は、来年度予算案を衆院で成立させたものの、またもや国民の批判にさらされている。

日朝が4月に国交交渉再開へ
 日本と朝鮮民主主義人民共和国は七日、国交正常化のための交渉を四月前半に平壌で再開することで合意した。政府は同日、世界食糧計画(WFP)を通じてコメ十万トンを支援することを決定している。今月十三日に北京で日朝赤十字会談を開き、正式に伝達する。しかし、本来なら数十万トンの本格的コメ支援をすべきところを意図的に小出しにしたこと、また約七年半前の国交交渉決裂の経過などからみて、小渕政権の国交正常化交渉での真剣さが疑われる。政府は早期に国交正常化を実現しなければならない。

与党内で規制緩和見直しの動き
 自民党の有志議員による「日本経済の活性化と中小企業を育てる会」(武藤嘉文会長)は「行き過ぎた規制緩和を是正する」と主張して一日、酒類販売とタクシー規制の強化を決議した。さらに自民党財政部会でも、酒販売など規制緩和の見直しが取り上げられた。武藤会長はその後、自由、公明両党に働きかけ、近く三党で協議の場をもつことになった。この動きに対して、政府は直ちに既定の規制緩和計画の推進を再確認している。自民党の一部議員によるこうした規制緩和見直しの動きは、その内容は評価できるものだが、一方でその真の狙いが来る総選挙の票欲しさであることはあまりにも明白である。

労働者無視の労働承継法案
 労働省は三日、分社化など会社分割の際の従業員の労働契約について定めた「会社分割労働契約承継法案」を作成した。同法案は、商法改悪案とセットで今国会に提出される。現行法では従業員の転籍には本人の同意が必要だが、商法改悪案では分社化による新会社への転籍には本人同意が不必要と規定している。さらに承継法案は、会社分割の一部の場合に本人の不同意権などを認めているが、雇用やその他の労働条件を継続する保障はなんら盛り込まれていない。両法案は、現在急速に広がっている会社分割によって、異動する労働者の権利を奪うことも可能なもので決して容認できるものではない。連合や弁護団などは、これらの法案に反対して労働者保護法制を強く要求している。

マツダ労組がスト権確立へ
 マツダは六日、広島、山口工場の二本の自動車生産ラインの操業短縮を行うことを発表した。このうちの一ラインでは従業員の半数に相当する約五百人を配置転換するという。同社は、二○○二年をめどに国内生産能力二○%(ライン二本閉鎖)、人員も現在の二万四千人弱から四千人弱削減する計画を検討中である。これに対抗し、また一時金満額獲得を要求して労組は、十五日までにスト権を確立することを決定した。大手自動車労組のスト権確立の動きは最近は皆無であり、相つぐリストラ攻撃などに対して、労働運動に大きな変化が起こりつつある。


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