2000225

世界のできごと・人民のたたかい
2/10〜2/19


UNCTAD、発言力強める途上国
 第十回国連貿易開発会議(UNCTAD)が二月十二〜十九日、タイで開催された。百五十九カ国二千人が参加した総会では「自由化だけでなく途上国の発展についても協議が必要だ」(マハティール・マレーシア首相)との声が多数を占め、今後四年間の「行動計画」にも「(後発国の輸出品について)先進国は関税や輸入枠の撤廃を検討すべきだ」との主張が盛り込まれた。先進国は自分たちに都合のよい貿易ルールを途上国に押しつけようとしているが、世界貿易機関(WTO)閣僚会議が決裂に追い込まれたように、途上国の発言力が強まっている。バンコクでは連日、「自由な貿易より公正な貿易を」と訴えるNGOなどのデモが繰り広げられた。

米反ダンピング法は「WTOに違反」
 WTO紛争処理小委員会が、私企業に損害賠償請求権を認めた米国の「一九一六年反ダンピング(不当廉売)法」を、WTO設立協定違反と認定したことが十七日、明らかになった。設立協定ではWTO協定に反する国内法や行政手続き改正を加盟国に義務づけている。日欧が同法の不当性を訴えていたが、米国は九五年のWTO発足以来、五年以上にわたり反ダンピング法の改正を怠ったうえ、日本企業などに同法による制裁を発動するなど、不当な圧力をかけていた。

スペースシャトル、軍事的機能も
 米航空宇宙局(NASA)は十一日、日本人飛行士も搭乗しているスペースシャトル「エンデバー」を打ち上げ、マスコミは大騒ぎだが、米軍事戦略に役立つ観測を行っている。観測はNASAと米国防総省国立画像地図局(NIMA)の共同プロジェクトで、陸上の八割をカバーする精密な立体地図を完成させるもの。立体地図は水平方向三十メートル、垂直方向十五メートルまで識別できるほど高精度で、キングNIMA局長は「情報面で他国に優位にたつのは軍事戦略上重要な戦略だ」と、観測の意義をあからさまに語っている。

NY原油9年ぶりに30ドル台
 ニューヨーク市場で十四日、原油価格が九年ぶりに三十ドルを超えた。原油価格低下を防ぐため、石油輸出国機構(OPEC)参加国は足並みをそろえ、昨年四月から減産を実施している。価格上昇は、今年三月末の期限後も継続するとの観測と合わせて、国連による経済制裁を受けているイラクが「人道的支援物資の供給が遅れた場合、原油の輸出を削減する」と警告したことが伝わり、供給減への懸念がふくらんだため。先進国経済に影響を与える可能性もある。


 イタリア全土でジャーナリストが十八日、ストライキに突入した。これにより、十九日付の新聞全紙と同日のテレビ・ラジオのニュース番組がすべてストップした。ジャーナリストの業種別労働組合FNSIとマスコミ経営者団体の賃金改定交渉が決裂したもの。
 オーストリアの極右・自由党の連立政権参加に抗議して十八日、ウィーンで高校生二万人がデモを行った。翌日には労働者・市民三十万人が参加する大規模なデモが行われた。デモ隊は一九三八年のナチスドイツによるオーストリア併合の際、当時のヒットラーが演説を行ったヘルデンプラッツ広場に結集した。
 フランス各地でも十九日、オーストリアの連立政権に抗議するデモが行われ、パリでは九千人が参加した。
 レバノンで十七日、イスラエルが南レバノンへの攻撃を激化させていることに抗議して、イスラエルを支持する米国大使館に向けて約二千人の学生たちがデモを行い、警官隊と衝突した。


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