2000205

世界のできごと・人民のたたかい
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「国益に基づき介入」する米外交政策
 クリントン米大統領は一月二十七日の一般教書演説で「米国があらゆる地域紛争に介入して非人道的行為を止めることはできない」と述べ、「国益に基づいて介入を決める」という新概念を打ち出した。米国が世界の警察官顔して介入することに歯止めをかけている。また、演説では「世界で最も訓練され最も装備が充実した軍隊の維持」を外交・安全保障上の再重要課題としてあげ、国防予算通過を議会に呼びかけた。二〇〇一年度の軍事費は昨年の伸びを二倍近く上回る六・八%増の二千九百十億ドルになる見込みで、レーガン以来の軍拡予算となる。

南米・エクアドルで政変
 南米のエクアドルで二十一日、先住民らの国会占拠を発端にしてクーデターが起こり、軍の支持を得たノボア副大統領が大統領に就任した。エクアドルは国際通貨基金(IMF)から借款を受け入れて緊縮政策を実施、高インフレ・高失業下で人口の四割を占める先住民など貧困層の怒りが高まっていた。こうした中で、大統領が通貨のドル化(自国紙幣の発行をやめすべての経済活動にドルを使用する)を発表した。先住民や労働者、学生は、米国への追随、経済主権の放棄である「ドル化」に強く反対し辞任を求めて国会占拠などの闘いを続けている。IMFの失敗はここでも明らかになった。

米国の労組員数が増加

 米統計局は十九日、米国の労働組合の加入者数が昨一年間で二十六万六千人増加したと発表した。二年連続の増加で、この二十年間でもっとも増加率が高くなった。労働組合の組織率は九八年と同じ一三・九%だったものの、加入者数が千六百四十七万人に増加。米労働総同盟産別会議(AFL・CIO=千三百万人)などが労組員拡大に力を入れている。サービス業国際労組では医療労働者を十五万人以上拡大したが、ここでは組合予算の四七%にあたる七千万ドル(約七十五億円)を労組員拡大の活動にあてるなど、積極的な取り組みが成果をあげている。

ドイツがナチス強制労働へ補償
 ドイツ政府は二十六日、ナチス時代の強制労働に対する補償基金を設立する法案を閣議決定した。独政府と企業がそれぞれ五十億マルク(約二千七百億円)を拠出する。ドイツ政府の戦後補償は六〇年代に決着していたが、九〇年代に入って強制労働問題が浮上し、追加補償を求める動きが米国、東欧で広がっていた。ユダヤ人被害者などへの補償金額は一人あたり五〜六千マルク(二十七〜三十二万円)。特に強制収容所の被害者には一万五千マルク(八十一万円)を支払う見通し。


 中国・南京市の南京大虐殺受難記念館で二十四日、日本で大阪の市民団体が二十三日に行った「二十世紀の最大の嘘(うそ)南京大虐殺の徹底検証」に抗議する集会を開いた。集会には五百人が参加し、「南京大虐殺の証拠は山のごとし。血の歴史は抹殺できない」との横断幕をかかげて抗議した。
 インドの主要港十一港で、港湾労働者約十万人が新雇用契約や港湾業務の民営化の動きに反対し、十八日から無期限ストに突入。ボンベイ港では二万九千五百人がストに参加し、荷物の積み下ろし作業がストップした。ストは政府と労組代表の間で一部合意し二十二日に終わったが、政府側は雇用契約の実施内容について明示しておらず、ひきつづき闘いは継続される。
 フランスで二十八日、医療への政府予算の増額を求めて公立病院が全国ストを行った。緊縮財政下で医療費が削減される中、インフルエンザの大流行が病院のベッド数の不足、医療労働者の過剰勤務に拍車をかけ、大きな問題になっている。


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