991125 社説


広範な国民連合が全国総会

激動の時代、壮大な国民の連合求める期待いちだんと


 「自主・平和・民主ための広範な国民連合」は、十一月二十、二十一日、第七回全国総会を東京で開催した。
 内外の危機が深まり、国内ではリストラなど国民総犠牲の政治が進んでいる。小渕連立政権の反国民性がますます露呈し、国民の不満と怒りが高まりつつある中で成功した全国総会の意義は極めて大きいものがある。
 この情勢のもとで、闘いの発展と連携を求める声が、国民各階層の中で急速に広がっている。国民連合の存在と発展は、対米従属でなく自主的・平和的な国の進路を求める人びと、生活と営業の危機にひんしている労働者、中小商工業者、農民など、こんにちの政治の変革を願う各層の人びとにとって、まさに頼りがいのある共同のよりどころとなっている。
 今回の総会において、来賓が労働組合、商業組合、農民、女性、政党、国際関係の各代表と極めて多彩であったことは、それを象徴しているといえるであろう。変化の激しいこの情勢の中で、国民連合がいっそうの役割を発揮し、さらに壮大な国民的戦線を発展させる可能性を暗示しているのではないだろうか。
 われわれは、代表世話人をはじめ全国各地で国民連合を推進している各界の皆さんの努力に心から敬意を表する。同時に、われわれはいっそう共同して壮大な国民的戦線へ発展させるために誠実に努力するものである。

多彩に労働者、商業者、農民などが連帯

 総会では、来賓としてあいさつした日教組、海員組合、全国一般、東京都労連の各労働組合、電機商、書店商、商店街の商業者組合などが自らの闘いを報告した。より重要なことはそれにとどまらず、各代表が広範な国民各層の連携を求め、さらに国民連合に連帯の意思を表明したことである。
 例えば、労働組合代表は官民問わぬリストラ攻撃との闘い、また日米防衛協力の指針(新ガイドライン)関連法に反対して平和を守る闘いなどを報告し、共同の闘いを発展させたいと述べた。商業組合は規制緩和や大型店進出による中小商店の経営危機を報告し、この状況の打開と国民の支持を強調した。農民も政府の農業つぶしの政治による農業・農村の衰退をるる述べ、現状打開を訴えた。
 しかも、共同して闘うこと強調したことも共通している。例えば「自自公連立と対峙(たいじ)する運動は分散している。広範な草の根と連帯する運動を展開する」(日教組)、「平和・民主のために共に共同していく」(全国一般)、「国民連合の趣旨には大賛成である」(日本書店組合)、「皆さんと、諸課題で幅広い共闘で闘う」(社民党)という主張が相ついだ。
 こうした階層、立場、考え方を異にした代表が一堂に会して報告し合うのは、おそらくまれなことであろう。総会は、相互の置かれた実情、また各階層に困難をもたらしている根源、敵が同一だということを、理解するきっかけとして役に立ったに違いない。あわせて、これらの闘っている人びとは、横の連携、連帯を求める意思を明確に表明した。いわば、敵の攻撃が各界の人びとを結びつけたのである。
 もちろん、広範な国民各層の連携をつくり出すことは、国民連合本来の任務であり、不断にそういう努力があったことであろう。
 こうした各界来賓の連帯あいさつは、参加者の感銘を呼んだ。

いっそう広範な戦線めざす

 総会では、この一年の全国の活動が報告・討論され、その政治的、組織的前進が確認された。
 例えば国の進路の課題では、槇枝、後藤田氏などの呼びかけで各地で開かれた「日中平和友好条約締結二十周年記念シンポジウム」の成功に重要な役割を果たしたこと。新ガイドライン関連法や日の丸・君が代法に反対して諸団体とも協力しながら闘い、米軍基地の撤去を求める沖縄県民との連帯も各県での総会記念講演などを通じて追求された報告がなされた。
 国民生活などを守る課題では、相つぐリストラで失業率が高まるなか、失業者アンケートとその要求をとりあげた自治体闘争、介護保険の抜本的見直しを要求する運動、「石原都政にNO!」をはじめ各界層の切実な課題を結びつける懇談会などが活発に行われた報告が各地からあった。
 総会は、当面の方針を決めた。国民運動の課題として大きくは、「自主・平和・民主、アジアの共生を」「国民の生活・営業・権利、環境を守るために」の二点である。
 討論の中で、新ガイドラインの具体化や有事法制、沖縄の米軍基地県内移設、憲法改悪、日産などのリストラ、介護保険、自治体での行革、労働運動の変化など、情勢を反映して各方面の闘いの課題が議論された。
 議論の中で特に重要だったのは、「目前の攻撃に対応して闘うと同時に、国民各層の連合を促進するために意識的に努力する」という、国民連合の根本任務が再確認されたことである。議案は「国民各層の力を結集する広い戦線、政治の流れを変える壮大な国民運動を形成する」「このような広い戦線の形成こそが広範な国民連合の戦略的課題であり、ここに広範な国民連合の存在意義がある」と提起している。
 討論の中で、「国民連合が大きく伸びる予感がする」という発言があったように、総会における多彩な来賓とその連帯あいさつ、また二日間の報告・討論は、壮大な戦線構築が可能なことを強く確信させたに違いない。

飛躍的発展が可能な情勢

 国民連合が飛躍的に発展できる情勢が進んでいる。
 総会でも、自自公連立の小渕政権に対する警戒感と国民の不満、怒りが各方面から言及されたように、こんにち小渕政権のもろさは急速に露呈している。三党連立による横暴、介護保険見直し、西村防衛次官の更迭、企業・団体献金をめぐる動揺などによって、それは加速された。その結果、参院長野補選での惨敗、各種世論調査での支持急落などとなって表れている。
 一方、国会では中小企業基本法改悪案が簡単に衆議院を通過したように、野党はこの悪政に対して全くといってよいほど無力である。特に最大野党の民主党は、安全保障政策、介護保険導入問題、リストラ容認など、いずれも「自民党か」と勘違いするほど財界の政治を積極推進する立場であり、とうてい国民の利益を代弁するものではない。
 保守党も含む連立政権を模索する共産党も、自民党の政治を根本的に批判できずに、結局のところ追随している。
 このように、連立政権に国民の不満が強まっているにもかかわらず、多くの野党がこれと闘うのではなく、自民党との取り引きで政権の座にありつくことを願望しているという状況こそ悪政を許している。
 加えて、共産党系の全国革新懇なるものは四百五十万人と自称するが、実体は共産党の集票組織である。国民の要求実現に何の役にも立っていないのは周知の事実である。
 わが国の現状打開と生活危機突破、政治の流れの転換を願う人びとは、広範に結集できるところを切実に求めている。小渕政権が対米従属と軍事大国化の道、国民犠牲を強制する政治をますます進めている情勢では、国民的戦線をつくり、国民運動の力で政治変革をかちとろうとする国民連合が飛躍的に発展しうる根拠がいっそう拡大している。
 情勢の変化は早い。広範な国民連合がいっそう共同の戦線を拡大し、壮大な国民運動へと前進すれば、わが国の政治変革の闘いの中でさらに巨大な歴史的役割を果たすに違いない。
 国民連合のこの期間の活動と全国総会は、そのことを実感させている。


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