981125 社説


国民連合第6回全国総会開催

生活危機打開の闘い強め、歴史的激動にこたえる国民連合へ


 「自主・平和・民主のための広範な国民連合」の第六回全国総会が、十一月二十一日、二十二日の両日、愛知県名古屋市で開催された。

 総会には、地元愛知県を中心に北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から多数の代議員、オブザーバーが出席し、熱気と感動に満ちた討論を展開した。

 「世界恐慌の可能性」が切迫した現実として語られ、アジア危機の中で、わが国の進路が切実に問われる情勢の下で成功した今回の全国総会の意義はきわめて大きなものであった。参加者は、国民連合が築いた有利な位置や条件、そして巨大な可能性について、討議を通じて確信を深め、闘いの意思と連帯感を固め、新たな方針と役員体制を決定した。

 わが党は、この総会の成功のために奮闘された愛知をはじめとする全国の賛同人の皆さんの努力に、心から敬意を表するものである。またわが党は、引き続き各界各層の皆さんと団結を強め、この運動の前進のために、誠実に努力することを誓うものである。

激動の情勢、闘って成果あげた一年

 総会での報告と討論では、昨年の福岡総会以降の一年間の国民連合の政治的、組織的な大きな前進が、力強く確認された。

 この一年、国民連合は、何より国の進路をめぐる闘いで、先駆的で国民的な組織者として大きな役割を果たしてきた。「日米基軸を転換し、アジアの共生へ」「全土の米軍基地化反対、沖縄と全国の米軍基地の縮小・撤去」「弱肉強食の『改革』に反対し国民の生活と営業を守る」との昨年総会で決定した三課題を、精力的に全国で推進してきたのである。

 とりわけ新ガイドライン・関連法案に反対し、パンフレットの大量普及などで世論喚起を進め、地方自治体への周辺事態法非協力の働きかけなど積極的な運動が展開された。また沖縄と本土の米軍基地一掃の闘いも活発に続けられた。総会では知事選の敗北を乗り越え、米軍基地一掃に向けて闘いを継続する沖縄県民への厚い連帯の意思が表明された。

 また国民連合は、五月のインド、パキスタンの核実験について、日本共産党を含む与野党一致の印パ非難の国会決議などの大合唱の高まりに抗して、国際的「正論」というべき見解を広める運動を展開した。米国を中心とする核独占体制の不平等性を批判し、核保有国にこそ核兵器廃絶を求め、日本政府に米国の核の傘からの離脱を要求するというものである。

 これらの運動を通じて、自主・平和・民主の国の進路への転換を求める国民世論形成に大きな貢献を果たした。

 また、日中関係でも、二月には槙枝元文団長以下の訪中団を初めて派遣し、中国側との友好、連携を確立した。日中平和友好条約締結二十周年の時期にふさわしく、日中友好とアジアとの共生に向けた具体的な一歩を踏み出したことの意義は大きなものである。

組織づくりでも大きな前進

 また、国民連合はこの一年、組織づくりでも、昨年に引き続き大きな成果を上げた。新たに五百人を越える人びとがこの運動に加わったという。また、新たな地域組織も結成された。「敵に恐れられ、味方に信頼される国民連合に」という、求められる政治、組織的力量からみれば、それはまだ決して満足すべき数ではないであろう。しかし、昨年、今年とそれぞれ五百人を越える人びとがこの組織に参加してきたという事実は、大きな可能性を実感させる。また、特記すべきは、新たな賛同人の中には、長期不況の中、米国とわが国政府が進める規制緩和、「改革」攻撃と闘う多くの中小商工業団体の役員が含まれているということである。

総会議案は、「この国の政治を変えたいと切実に望んでいる人びとが、次々と加わってきていることは、この運動の前途に大きな展望があることを示しています」と述べているが、ここに確かな確信と展望をくみ取ることは重要なことであろう。

 この一年の国民連合の前進を支えた条件は、全国の国民連合の皆さんの努力とともに、急速に進む情勢とこれに正しく対処できた国民連合の政治方向にあったことは疑いがない。

 しかも、こんにちの政局において、国民各層はその要求を代表する政党をただの一つも国会に見出すことができない。先の臨時国会を見れば明白なように、ほとんどの政党は勤労国民の生活・営業の危機を放置して、大銀行救済策づくりに明け暮れてきた。その揚げ句、自民・自由連立さえ合意された。まして、わが国の進路を基本的に規定している日米安保体制について、共産党が「安保凍結論」を打ち出し、名実ともにこれと真っ向から闘う政党は国会内では皆無となった。こうした政局の結果、内閣支持率が二〇%を切る最近の世論調査でも明らかなように、国民各層の中に政治に対する不満、怒りが急速に広がっている。

 こうした政治と政党の現状だからこそ、壮大な国民の連合によって政治の変革をめざす国民連合は、わが国で今や国民各層が最も共同できる位置に立っているといえよう。

危機の時代、壮大な連合の形成を

 総会の討論を通じて、今回の総会が「歴史の時期を画するような政治的、経済的な激動が近づいている」(議案、以下同)情勢の中で開催されていることが、リアルに実感された。それは、「生活の危機に直面した人びとが自分や家族を守るために、何らかの行動に立ち上がらざるを得」ず、「自分たち国民大多数の利益を守るために政治の根本的な転換を求めざるを得なくなっている」、そういう情勢が近づいているということである。

 福岡県での「地域経済と暮らしを守ろう、県民怒りの総決起集会」の取り組みの報告、東京や神奈川、その他各県での職安でのアンケートや宣伝行動の報告などは、急増する倒産と失業、崩壊の危機に直面した地域経済の実態を生々しく伝えるものであった。早朝から職安に並ぶ失業者の怒りと切実な要求が、具体的な事実と言葉で生々しく語られた。これらの報告、討論は総会参加者の感動をよんだ。

 国民連合には、安保破棄、沖縄と全国の米軍基地一掃など、この国の進路にかかわる闘いが必要とされている。併せて、広範な国民各層の生活と営業の危機を突破するため課題を、もっと積極的に闘うことが求められている。過去最悪の失業率の下で解雇・失業やリストラ、労基法改悪などにあえぐ労働者、不況と銀行の貸し渋り、大型店進出で倒産と廃業の危機にある中小商工業者など、各層の要求をつかみ、連携を進め、政府、自治体に突きつける闘いを、各地で大規模に繰り広げなければならない。そうしてこそ、いっそう国民に役立ち、頼られる国民連合への飛躍が実現するに違いない。

 世界資本主義はこの一年、急速にその危機を深めた。資本主義の危機は、その広がりと内容の面で、いっそう深刻となって世界を覆っている。

内外の危機への対処、打開の方向をめぐって、政治のあり方が深刻に問われる時代となった。この情勢は、保守層を含む広範な国民の中に、この国の進路についての抜本的な見直しの機運を高めざるを得ないだろう。

 第六回総会は「外交面では、日米安保体制から離脱し、自主・平和・民主、アジアの共生へ日本の進路を転換する」「内政面では、国民大多数とりわけ国の政治で犠牲を強いられている人びとの立場にたって、生活や営業の危機を突破し、基本的人権や環境を守り、国民大多数の生活を豊かにする方向へ政治を転換する」という、日本が取るべき新しい政治の基本方向を鮮明に掲げた。

 広範な国民連合が、さらにいっそう大衆と共に闘い、組織的にも大きく発展し、わが国における壮大な国民の連合へと前進すれば、近づく歴史的激動の時代に巨大な役割を果たすことができるに違いない。


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