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 第68回メーデーに際して

全国の労働者に訴える

日本労働党中央委員会


  全国の労働者の皆さん!第68回メーデーに際して、日本労働党は熱烈な連帯のあいさつを送ります。

 橋本政権は沖縄県民の切なる願いを踏みにじって、米軍用地特別措置法(特措法)の改悪を強行しました。安保再定義路線に沿って21世紀までも米軍基地を固定化する売国的暴挙に、沖縄県民の政府不信は頂点に達し、「平成の琉球処分」への新たなうらみが県民の心に深く刻みつけられました。

 また、橋本政権は「6つの改革」を掲げ、国民各層の生活と営業を死活的な危機に追い込む攻撃を開始しました。港湾労働者の12年ぶりの24時間ストが示すように、労働者はもちろん、中小商工業者を含め広範な国民の間に、怒りと活路を求める声が高まっています。

 「国家存亡の危機」と称して国民を思想的に動員し、推し進めている財界・大企業家のためのこうした内外政治を前に、わが国四千八百万の労働者階級と労働運動の真価が問われています。今こそ、指導的階級の名にふさわしく、支配層、その政権と真っ向から対決し、国民各層の利害の頼りがいのある擁護者として、わが国の自主的で平和な国の進路を切り開く先進闘士として、大いに力を発揮すべき時です。

 昨年4月の「日米安保共同宣言」、安保再定義路線の選択は、沖縄県民にさらなる犠牲を押しつけただけでなく、わが国の外交とアジアの情勢に重大な影響を及ぼしています。

 普天間基地の「返還」は、沖縄県内での「基地のたらい回し」に過ぎず、特措法改悪の暴挙によって沖縄は、中東を含むアジア全域をにらんだアメリカの戦略基地として強化されようとしています。「中国脅威論」が急速に高まり、さまざまな反中国政策が進められました。橋本首相の靖国神社参拝、尖閣諸島問題、さらには「台湾は中国の内政問題」の原則を後退させ、台湾当局を激励する「日華議員連盟」の強化など、日中関係は日本側の責任で「国交回復以来最悪」といわれる事態になりました。食糧危機に苦しむ朝鮮民主主義人民共和国には人道的支援すらしぶり、アメリカ、韓国と一体となって朝鮮敵視の政策を続け、揺さぶり、日米安保再定義を合理化する根拠に利用してきました。

 こうした動きと密接に連動して侵略戦争を美化する政府高官、政治家の発言が相次ぎ、「自由主義史観」を持ち出して歴史教科書を攻撃するなど、侵略戦争の歴史を否定する意図的な世論づくりが横行しました。

 そして今回の日米首脳会談によって、日米軍事協力の指針(ガイドライン)の見直し、有事法制の整備などの国内体制作りなど、「極東有事」に対応できる日米軍事協力の強化が促進されようとしています。自民党安全保障調査会は、ガイドライン見直しで「集団的自衛権の行使との関係も検討される」と、なし崩し的な憲法の拡大解釈を提言しています。

 安保再定義路線は、アジアの「平和と安定」への道ではなく、不安定をつくり出すことが明らかになってきました。対米従属下で日米軍事同盟を強化しながら、わが国がアジア全域で軍事的役割をになうこと、戦略的仮想敵国が中国であることも鮮明になってきました。中国をはじめアジア各国の不信と警戒心が高まったのは、当然です。

 今こそ、労働者階級は安保条約破棄の旗を高く掲げ、橋本政権のこの亡国の選択に反対しこれをざ折させる闘いの先頭に立ち、国の独立・自主とアジア諸国との平和・友好関係を打ち立てるために全力をあげなければなりません。

 沖縄県民の米軍基地縮小・撤去の闘いは、こうした国民的闘いのもっとも重要な柱であり、巨大なエネルギーで政府を追いつめてきました。沖縄県民の闘いを引き続き全国に発展させねばなりません。ガイドライン見直しの政府の企みを中断させることは、当面するもっとも重要な課題です。歴史認識を正すための闘いを重視し、日中国交25周年の本年、反中国のさまざまな動きに反撃を加え、日中共同声明と平和条約の精神で国民的基盤をもつ日中友好運動を再構築する必要があります。朝鮮敵視の政策に反対し、日朝国交を実現し、朝鮮半島に平和を実現しなければなりません。

 内政で橋本政権は、総選挙後から「火だるまの決意」で「改革」攻撃に踏み出しました。

 「財政構造改革」と称して、消費税率アップ、減税打ち切りを強行し、さらには医療・年金・福祉の大幅な切り捨てに踏み切りました。公共事業の大幅な削減、ガット・ウルグアイラウンド対策費の削減も企んでいます。また、「経済構造改革」と称して、運輸・交通関係の「需給調整」の撤廃、大店法の事実上の撤廃、さらに農業、医療、金融、情報通信などの分野で規制緩和が推進されつつあります。労働分野でも、裁量労働制や変形労働時間の導入、女子の休日・時間外・深夜労働に関する規制撤廃、有料職業紹介事業の規制緩和など、労働者を安く買いたたき、無権利状態におく攻撃がかかっています。

 こうした「改革」が進めば、多くの中小業者が淘汰(とうた)され何百万もの労働者が街頭に放り出され、貧富の格差が拡大、国民各層にとって地獄の社会となるのは火を見るより明らかです。このほど来日したAFL・CIO(米国労働総同盟・産別会議)のスウィニー会長は、規制緩和の先進国アメリカの労働者の厳しい実態を紹介し、「毒性の強い米国型モデルを輸入しないよう」連合の幹部に警告し、「米国の経験をひっくり返す方向で闘ってほしい」と呼びかけました。

 「国家存亡の危機」と国民を思想的に動員しながら進めている橋本政権の内外政治は、冷戦崩壊後の世界的争奪戦で生き延びようとするわが国多国籍企業、一握りの支配層の要求にほかなりません。

 どのように闘い、勝利するかが問われています。

 率直に言わねばならないのは、わが労働者階級は戦後社会党の崩壊からしっかり教訓を引き出し、前進すべきだということです。日本の労働運動は、戦後50年間社会民主主義政党の多大な影響下で闘ってきました。しかし、この重大な歴史的転換期に社会党は無力さをさらしたばかりでなく、窮地に立った敵を助け、果ては無残にも崩壊しました。敵の思想攻勢と闘いうる、階級的な、確固とした理論のない政党がいかに無残かを示しました。

 社民主義に代わって共産党がいま、「政治的前進のかなめは選挙」などといって労働者に接近しています。だが、議席を増やしたはずの共産党は国民を動員して闘うことに全力をあげず、特措法反対でなんら重要な役割を演じられませんでした。社会主義を掲げる政党が国会の議席で多数を占める展望がないことは歴史的に証明済みで、労働者の意識分子が共産党の選挙の道に期待するとしたら再び悲さんな運命をたどらねばなりません。

 労働者階級は、共産党に期待するのではなく、自己の階級的な団結の力、ストライキと大衆行動に頼って闘ってこそ、勝利をかち取ることができます。広く連携し、広範な国民的連合の力に頼ってこそ、政治の変革は可能になるのです。わが日本労働党は、この勝利の道を促進し、ともに前進する決意です。

 労働者の皆さん!

 敵の攻撃は事実ですが、彼らは内外情勢に押されて現状を打開せざるを得なくなっているのです。決して余裕はなく、橋本政権の「改革」は国民の大多数を敵に回し、彼ら内部にも敵をつくって、闘う側に追いやっています。アジア諸国の反発と闘いは、われわれにとってもう一つの戦線です。多国籍企業の利益のための「グローバル経済」に反対し、ヨーロッパでも、アメリカでも、労働者はストライキに立ち上がり、働く者の国際的連帯の輪が広がっています。国会内の力関係、政党のだ落だけに目を奪われず、情勢の全体に目を向けるなら、闘おうとするものにとって、またとないチャンスです。

 労働者階級は、社民主義と決別し、壮大な国民的政治戦線を構築し、アメリカと一握りの多国籍企業のための政治を打ち破って国民大多数のための政治を実現しよう。


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