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2022年5月15日号 1面

復帰50年/沖縄を再び戦場にするな

平和で豊かな島 沖縄の実現を

 沖縄は5月15日、「施政権」返還50年を迎えた。それに先立ち、沖縄県の玉城知事は7日、「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」(以下、建議書)を発表した。
 建議書では「本土復帰後50年の振り返り」で、「復帰時において、沖縄県と政府が共有した『沖縄を平和の島とする』目標は、50年後の現在もいまだ達成されていない。この50年間に、沖縄県以外の在日米軍専用施設が大幅に減少たので、逆に、沖縄県の米軍専用施設面積の全国に占める割合は復帰時の58・8%から現在の70・3%に増加している。また、沖縄本島周辺の訓練水域や訓練空域は、縮小されず、度重なる外来機の訓練等による基地負担増加の要因となっている」と、米軍基地が沖縄の振興・発展にとって最大の障害であると明確に述べている。

対中国の最前線基地化に
 日米両政府は1月の外務・防衛担当閣僚相会合(2プラス2)で、中国を念頭に、両国が「戦略を完全に統合させる」として「共同作戦計画」の策定作業を開始した。これは米軍と自衛隊が九州南部から南西諸島にかけてのいわゆる「第一列島線」に中国本土を攻撃できる中距離ミサイルや、中国艦隊を狙う対艦ミサイルを南西諸島に配備・展開する内容。米軍の遠征前方基地作戦(EABO)を自衛隊と共同して遂行できるよう、昨年末から共同訓練も始まっている。
 また岸防衛相は5月4日、オースチン米国防長官との会談で、日米の抑止力と対処力の強化を急ぐと同時に、わが国が進めている国家安全保障戦略など3文書の改定について、双方の戦略を緊密に擦り合わせていくことを確認した。さらに「インド太平洋と欧州を区別して考えることはできない」と述べ、わが国の北大西洋条約機構(NATO)への関与まで明言、アジア・太平洋地域でNATOと同様の軍事一体化を進めるとを表明した。
 「復帰」に際して、沖縄県民が熱望した「基地のない平和な沖縄」は実現していないどころか、米中の衝突という破局的な事態に備えるための最前線の出撃拠点として基地強化、軍備拡大が進められている。

アメとムチの振興策
 岸田首相は10日、玉城県知事と面会、建議書を受け取り「米軍基地の負担軽減に引き続き努力していきたい」と述べたが、建議は意に介さず、辺野古移設を強行する考えだ。
 政府は同日、今後10年の沖縄振興策である沖縄振興基本方針を決定した。沖縄の「自立的発展」に向けて「持続可能性のある強い沖縄経済を実現する」とした。沖縄県の1人当たりの県民所得(2018年度)は約239万円と全都道府県で最も低く、全国平均の約7割の水準にすぎない。「振興計画」では、沖縄を取り巻く国際情勢の変化及、尖閣諸島周辺の情勢も踏まえ、序文に「広大な海域に点在する多数の離島が担う重要な役割も認識されている」と記し、安保問題と経済振興を絡めている。
 しかも辺野古の新基地建設を認めない玉城知事を脅すように、岸田政権は 年度沖縄振興予算を対前年度比約330億円もカットした。最低の地方自治さえ踏みにじられている。

建議書支持する闘いを
 建議書では、県民の思いを踏まえた上で(1)「復帰措置に関する建議書」の考え方を尊重し、「基地のない平和の島」の実現に取り組む(2)辺野古新基地建設の断念など、構造的・差別的な基地問題の早期解決(3)日本国憲法が保障する民主主義や地方自治の理念の追求(4)平和的な外交・対話による緊張緩和ーを求めた。
 これは「平和な島」と願う沖縄県民の切実な声であり、総意である。この4点の「建議」を断固支持し、玉城知事を先頭に闘う沖縄県民とともに闘おう。
 日米地位協定の抜本改定を要求しよう。
 労働者、労働組合は先頭に立って日米安保条約破棄をはじめ、従属的な日米関係を清算し、国の完全な独立のために闘おう。(H)


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