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2022年4月5日号 2面・解説

冷戦終結後の世界秩序の
大転換が進む

事実をゆがめて国民欺く共産党

 ロシアのウクライナ侵攻から1カ月過ぎたが、戦況は膠着して、和平への道筋もまだ見えない。
 ロシアは即時停戦と軍の撤退を行なうべきだが、米欧帝国主義諸国は和平へ向けて何一つ動かない。それどころか武器・資金を提供で戦争を煽り、火に油を注いでいる。犠牲になるのはウクライナ国民であり両軍の兵士である。帝国主義者は高みの見物で、一滴の血も流さない。米国の軍産複合体は大量の武器が売れ、欧州は、これまでのロシアに代わって米国から割高なシェールオイルやガスを買わされる。ウクライナと国境を接する東欧の弱小国には大量の避難民が流入し、長期化すれば大きな負担になろう。

ロシア非難の大合唱
 岸田政権は、米欧など7カ国首脳会議(G7)と歩調を合わせてロシア制裁に加わって事態の悪化に加担している。
 日中国交回復と沖縄の施政権返還から50年の節目というのに、安倍元首相や高市自民党政調会長などは、ウクライナ戦争を口実に「台湾有事」の世論づくりに狂奔し、中国敵視の軍事大国化の道を進め、「核共有」さえ画策している。「国家安全保障戦略」など三文書の見直しで、いっそう米軍との一体化を進め、沖縄をはじめ南西諸島への軍備強化に乗り出そうとしている。アジアでの緊張を激化させ、軍事衝突も辞さない構えである。
 だが国内世論は、マスコミあげて米国情報を垂れ流し、ロシアへの一方的非難の大合唱である。国会論戦でも、野党は無力で、戦前の大政翼賛会と変わらぬようなロシア非難や中国脅威論で溢れかえっている。

共産党の犯罪的役割
 野党の中でも共産党の主張や行動は、ウクライナ戦争の真の原因と背景を覆い隠し、帝国主義の側に立って、ロシアや中国への攻撃を繰り返す犯罪的なものである。
 共産党は、北京冬季五輪開幕を前にした2月の衆議院での中国敵視の「人権状況決議」に賛成し、「日本政府が中国に対して人権侵害の是正を働きかけよ」「五輪開会・閉会式への政府代表不参加は当然」などと中国を覇権主義と決めつけ敵意をむき出しにしてきた。
 今回のロシアのウクライナ侵攻についても「平和の秩序崩す無法を許すな」とロシア非難の主張や声明を繰り返し発表している。さらにロシア非難に加わらない中国に対して「ロシアの立場に理解を示し、容認することは侵略を正当化するもの」として非難し、「ロシアを支援すれば制裁する」と中国を恫喝する米国のバイデンと同じ立場を表明している。
 3月 日のウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説についても、「日本の国会が受けるのは当然」としてロシア制裁の強化を求める演説を「赤旗」でも報道して、平和解決とはほど遠い主張である。
 国連特別総会での、「ロシア非難決議」や「人道決議」についても、「圧倒的多数が賛成した」として歓迎。「ロシアが国際社会の総意に従うことを強く求める」と、あたかも全世界がロシア非難で一致しているかのように報道している。
 だが、本紙でも指摘したようにロシア非難決議には中国やインド、ベトナムなどアジア・アフリカ諸国を中心に50カ国以上が賛成していない。今回の人道決議では賛成が1カ国減り、棄権が3カ国増えているのが実際である。さらに人道決議の際に南アフリカが提出した総会決議案は、反対67の反対多数で廃案となったが、賛成は50カ国に上り、棄権も36カ国となり、米欧主導に対する反発も目立った。
 共産党が言う「平和の秩序」とは一体何を指しているのか。第二次大戦後の世界で戦火の絶えたことがあっただろうか。昨年の米国のアフガン撤退に見られるように中東では 年以上も「無法」な戦争が続いたし、世界各地でいまも「紛争」が多発している。しかも冷戦終結後の世界秩序は崩壊したのが紛れもない事実である。事実を歪めてまでも帝国主義の側に立ち、労働者・人民の目を欺く共産党を厳しく批判する。

世界秩序の大転換
 ロシアのウクライナ侵攻によって、冷戦終結後の世界秩序は決定的に崩壊した。
 米欧帝国主義はウクライナへ大量の武器・資金を供給して、戦況は膠着(こうちゃく)し、和平の道筋は見えない中で、犠牲者は増え続け、膨大な避難民が国内外に生まれている。欧州とりわけ東欧諸国には耐え難い負担となろう。
 戦争そのものがどう決着するか、戦争の影響がどう具体的に波及するかまだ不明だが、世界経済に大きなリスクとなるのは間違いない。リーマン・ショック以降、世界経済の危機が収まらず、コロナ禍が危機の進行を早める中での今回の戦争は、さらに追い打ちとなる。米国を筆頭に帝国主義諸国は内政の悪化、行き詰まりを他国に転嫁しようと襲い掛かっている。ロシアも国内経済が悪化し、追い込まれて戦争に踏み切ったが、凋落(ちょうらく)する米国も追い込まれて戦争を煽ったとも言える。
 危機の深化は先進国、新興諸国を問わず国内矛盾を激化させ、労働者人民に闘いを余儀なくさせる。全世界でロシアの侵攻に抗議して、平和を求める声が高まっている。全世界の青年たちが、目の前で起こっている事態に政治的覚醒を促されることになろう。
 ロシアへの抗議だけでなく、戦争を煽った米欧帝国主義の姿も暴露されなければならない。いまの事態を正しく理解すれば、帝国主義と闘う側、各国で支配層と闘う労働者人民にとって困難もあろうが、まさに胸躍る好機である。 (Y)


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