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2022年1月1日号 1面

世界は「社会革命の時代」に
複雑で急速に動く内外
情勢をしっかり見定め
壮大な夢を共に語り、
歴史的闘争に備えよう

日本労働党中央委員会議長 秋山 秀男

 新しい年、激動の年、二〇二二年を迎え、闘いの決意を表明いたします。全国のすべての同志たち、「労働新聞」読者の皆さん、わが党の前進を見守り、支援下さる支持者の皆さんや友人の皆さんに熱烈な感謝と連帯のあいさつを送ります。とりわけ全国の学生、青年労働者、女性の皆さんに熱烈な連帯のあいさつを送ります。
 気候変動問題で闘う欧州の若者のように、また米国の「黒人の命も尊い」運動、世界の貧困や格差是正を求めて闘う労働者たちのように、わが国でも若者が立ち上がり、世界の闘いの流れに合流することでしょう。古今東西、歴史を切り開くのは若者です。わが党はそのために支援、援助し、共に闘います。
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 ここ数年の出来事は人類の歴史が大きな転換点にきていることを告げています。
 このことは世界の知識人たちも早くから認識し、危機からの「出口」を探しています。世界経済フォーラム(ダボス会議)のクラウス・シュワブ会長は、地球環境危機、格差と不平等の拡大、これまでの経済システムの活力喪失、それに新型コロナウイルス・パンデミックによる膨大な死亡者の発生と生活破壊、深刻な経済危機、社会生活や国際関係の行き詰まり、個人的、政治的な孤立感を挙げ、危機が深刻化しており、「グレート・リセット」が必要であると述べています。そして「世界の社会経済システムを考え直さないといけない。第二次世界大戦後から続くシステムは異なる立場の人を包み込めず、環境破壊も引き起こしている。持続性に乏しく、もはや時代遅れとなった。人びとの幸福を中心とした経済を考え直すべきだ」と述べています。
 しかし、こうした「グレート・リセット」が市場や技術、資源などで多国籍企業や金融独占資本が国際的に激しくしのぎを削り争う世界で受け入れられることはありません。むしろ、こんにちの危機の真の原因と根本的な解決の道をごまかすだけで、危機はいっそう深刻化するでしょう。
 こんにちの危機の原因は、三百年以上続いてきた資本主義という生産様式がもはややっていけなくなったことにあるからです。
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 こんにちの世界の危機についていくつか指摘しておきます。
 一つは、突如襲ってきたコロナ禍の嵐はいまだに「収束」する気配もなく、新たな変異株の発生、拡大で米欧諸国になどに深刻な打撃を与え、全世界に広がっていることです。これは資本主義の矛盾をあぶり出し、危機を深刻化させ、資本主義を終焉へと加速しています。
 二つ目は、気候変動・地球温暖化で大規模で深刻な災害が頻発していることです。資本主義的生産の「発展」によって自然・地球が破壊され、生態系がかく乱されているからです。この事態が続けば、地球自身が持たなくなり、人類そのものが生存できなくなると警告が出されています。
 三番目は、二〇〇八年のリーマン・ショックから十数年、世界金融危機は一向に改善される見込みがないことです。金融緩和で生き延びてきました。長期の金融緩和の結果、累積債務は拡大、金融バブルはいつ破裂してもおかしくない事態です。
 四番目は、米欧日の経済衰退と国際的な地位の低下です。中国・アジアを中心とする新興国へと世界経済の重心が移っています。
 五番目は、米中対決の激化です。衰退する米国は世界支配(覇権)を維持するために、最後の悪あがきをしています。特にデジタル技術の優位をめぐって激しく争い、しのぎを削っています。米中対決は長期戦となります。
 米国の没落は不可避で、米国の時代は長い目で見れば終わりつつあります。他方、中国は建国百年に向けて「現代化された中国独特の社会主義強国」をめざして「壮大な実験」に挑戦しています。
 とはいえ、米国が黙って歴史の舞台から退場するとは考えられず、日英豪州などの「同盟国」を利用して中国を揺さ振り続けるでしょう。「偶発的な軍事衝突の危険性」は想定すべきで、世界核戦争で共倒れになることを米中ともに考慮せざるを得ません。両国ともに国内政治が持つか否かにかかっています。私は、米国の労働者人民の闘いがどのように発展するかに注目しています。
 最後の六番目は、「第四次産業革命」の急速な進展です。歴史的に資本主義は戦争や技術革新で生き延びてきました。
 今回の第四次産業革命は中国と資本主義国では意味合いが違います。最近の技術革新は資本主義になじまず、むしろ死滅へと加速させます。他方、中国にとって技術革新は国家機構の強化や経済発展に有利に働きます。
 以上、いくつか資本主義の危機的現象を指摘しましたが、その根源は資本主義という「生産・交換の仕方」が限界に達し「資本主義の命脈が尽きた」ということです。資本主義的生産関係が社会的生産諸力の発展の「桎梏(しっこく)」になっているからです。
 結論を言えば、私的所有に基礎を置く資本主義的生産関係を「廃絶」し、社会的な所有に基づく新たな生産様式を樹立する以外に解決策はありません。
 とはいえ、独占資本を中心とする支配層、資本家の「私的所有」を守る国家が黙ってそれを許すはずがありません。かれらは粘り強く抵抗するでしょう。
 ですから、労働者階級が革命的な政治闘争を展開し、国家権力を奪い返し、その敵階級の抵抗を打ち破る以外にないのです。
 そういう意味で、われわれが今生きている世界は「社会革命」の時代に入ったということです。
 労働党は労働者階級と固く結びつき、その前衛政党として、「社会革命」の時代を闘えるように実力を蓄えていく覚悟です。
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 党が闘うべき当面の課題について述べたいと思います。
 アジアの平和と共生、日中の友好親善・戦略的な互恵関係の樹立をめざし、国民運動の発展を追求します。わが党は日中国交回復五十周年の年に際して、わが国は中国敵視の外交を抜本的に改めて、自主的平和的な外交に転換することを日本政府に求めます。中国、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)などアジアの諸国と力を合わせて、平和と共生のアジアを追求することこそが、わが国がとるべき道であると考えます。
 コロナ禍の犠牲を最も深刻に被るのは低所得者層であり、不安定雇用を余儀なくされている労働者です。特に、シングルマザーや学生たちは深刻です。医療・介護・保育にかかわる労働者も長時間・過密労働でくたくたになっています。コロナ禍でわが国の医療体制や労働者下層の生活諸条件のきわめて劣悪であることがあらためて明らかになりました。日本の労働者の賃金は先進国の中でも最低です。
 政治の犠牲になっている労働者をはじめ多くの国民が掲げる切実な要求を断固支持します。人並みの暮らしを求める人びとと共に闘い、企業、政府、自治体に向き合います。
 激動の情勢に対処できる党建設を進め、国民の統一戦線の形成を前進させます。自主・平和・民主のための広範な国民連合の「飛躍的な前進」のために奮闘します。
 全党の同志たちの知恵と経験と力に依拠して闘います。党の活性化、刷新、組織拡大をめざします。また青年学生に働きかけ、かれらの切実な要求や関心を取り上げて闘います。かれらを党の隊列に獲得し、労働党の若返りを実現したいと思っています。
 最後になりますが、党の思想政治建設に力を入れます。歴史の試練に耐えられる見解を打ち出し、方向を示し、イデオロギー戦線での闘いに勝利できるように奮闘します。
 本年もよろしくお願い申し上げます。


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