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2021年8月5日号 1面

支持率低下にあえぐ菅政権
コロナ禍の五輪強行、感染大爆発、
国民には「自助」強制…

窮地の菅政権打倒しよう

 新型コロナウイルス感染拡大に何一つ有効策を打ち出さぬ」まま、東京五輪開催を強行した菅政権と国民大多数との矛盾は臨界点に達している。
 報道各社による七月実施の世論調査で内閣支持率は軒並み下落、二九%(時事通信)、二八%(「読売」)、三〇%(「毎日」)といわゆる「危険水域」といわれる三〇%台となり、それを割り込む数字も出ている。
 そして、全国のコロナ感染者数は七月二十九日には一万人を突破、過去最多を記録する事態となっている。これに先立ち菅政権は七月十二日に四度目となる東京での「緊急事態宣言」を発出、そして三十一日までの延長を決めた。その上、埼玉、千葉、神奈川の首都圏三県と大阪府にも「宣言」を出すなど後手後手の対応だ。
 この第五波ともいわれる感染拡大には感染力の強いデルタ変異株が大きく影響しており、以前より多くの医療関係者などからパンデミック下の五輪開催の危険性が指摘され、東京都に対して「宣言」を発出する一方で、菅政権は七月二十三日、東京五輪の開催を強行した。多くの国民がコロナ禍における開催に対し、反対、あるいは慎重な対応を求めたにも関わらずだ。
 「宣言」下の五輪開催、感染者一万人超え…まさに考えられる上で最悪の事態が進行している。菅政権がいう「安心・安全な五輪」の感染対策がいかに非現実的なものであったのかが明らかになったと言える。もはや「医療崩壊」は誰の目にも明らかだ。
 開催日には東京上空に航空自衛隊のブルーインパルスを飛ばしながら、「五輪で人流減少」とうつろな目で意味不明な言辞を繰り返す菅首相、そして「五輪がステイホームに効果あり」などと言い放つ小池・東京都知事の姿勢に国民の怒りは最高潮に達している。「人流が十分に減らない原因はオリンピック開催と、政治家の発言」(尾崎・東京都医師会会長)との声は当然である。

「自助」強制し、命切り捨て
 しかも許しがたいことの菅政権はコロナ感染者のうちこれまで入院の対象であった「中等症」患者は原則「自宅療養」にするとの方針を打ち出したのだ。すでに明らかになっているように「中等症」の段階でも肺炎だけでなく、血が固まって脳梗塞や心筋梗塞になったり、急激に容体が変わって亡くなるケースが数多く報告されている。すでに医療関係者はもとより、自治体などから批判の声が上がっている。「自宅療養」などというが、実際には患者切り捨ての棄民政策にほかならない。まさに菅首相が強調する「自助」がこれである。

雇用環境も悪化
 このコロナ禍で打撃を受けているのは患者や医療関係者だけでない。
 「新型コロナ」関連の経営破たんは八月三日、累計で千九百件となった。度重なる飲食店への休業や酒類提供の自粛要請で、酒類販売業者なども含めた関連業種の厳しい事業環境が続いている。そして、政府や自治体などの支援策が一応は続いているが、業績回復しないままその返済がスタートする企業も出始め、過剰債務の問題も浮上している。未だに持続化給付金の支給が大幅に遅れている事例も数多くあり、「五輪のお金を支援に回せ」との声が中小企業の経営者から上がっている。
 また失業率も六月に二・九%を記録、前月より〇・一ポイント減少したものの、完全失業者数は二百六万人で、前年同月比十一万人増、十七カ月連続の増加となるなど雇用環境の悪化が続いている。

怒りを選挙に解消する共産党
 菅政権がここまで失政をきわめているにも関わらず、野党は菅政権に対する国民の怒りを十分吸収できていない。なかでも共産党は「一国の首相に求められているのはリスクコミニュケーション」(志位委員長)と「あるべき首相像」についての能書きをたれ、国民の怒りを総選挙における「野党共闘」に解消している。こうした野党の無力ぶりを見透かすかのように「菅首相は『続投してほしい』の声が国民の間でも強い」(二階自民党幹事長)、「当然、菅首相が継続して職を続けるべき」(安倍前首相)と与党内から余裕の声さえ上がっているのだ。
 今求められていることは、労働運動、労働者を中心とする広範な戦線、強力な国民運動で菅政権を追い込み、打倒することだ。デモやストライキなど実力行動こそが事態を前進させるのだ。

農業者に渦巻く政権不支持の声
 「日本農業新聞」が農業者を中心に同紙の農政モニター千七十七人を対象に七月に行った調査で菅政権の支持率が三五%と、前回三月の調査から五ポイント下げ、同政権として過去最低を記録した。不支持率は六ポイント増の六五%にも達した。昨年九月の政権発足直後に六二%あった支持率は下落を続けている。
 菅政権の農政を「評価する」は三ポイント減の二二%、「評価しない」は五ポイント増の六一%。「評価しない」と回答した人にその理由を三つまで聞くと、「コロナ対策」が五〇%、生産調整などの「米政策」が四九%、多面的機能支払いなどの「地域政策」が三一%、農協改革などの「規制改革」が三〇%となっている。
 農業政策を「評価しない」と回答した人の政権支持率は一四%、不支持率は八六%にも達した。


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