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2021年3月15日号 1面

世界初の労働者権力

パリ・コミューン150周年
革命的意義はますます輝く

 普仏戦争さなかの一八七一年三月十八日、フランス・パリの労働者と国民衛兵が武装蜂起し、反動的な「仮政府」を打倒して政治権力を奪取した。
 パリ・コミューンの誕生である。
 コミューンは二十六日、選挙によって評議会を発足させた。評議会は、行政官の公選、言論・集会の自由、配給制の確立、全市民の武装、国家警察の解体などを採択した。
 コミューンは「本質的に労働者階級の政府であり、横領者階級に対する生産者階級の闘争の所産であり、労働の経済的解放を成し遂げるための、ついに発見された政治形態であった」(マルクス)。
 コミューンはパリだけでなく、マルセイユ、トゥールーズなどにも広がった。
 資本家階級はコミューンへの憎悪をたぎらせ、残虐な弾圧を行い、徹底的にせん滅した。多くのコミューン戦士が最後まで闘い。英雄的な死を遂げた。
 わずか七十二日しか存続できなかったパリ・コミューンには、当然ながら、弱点や誤りが避けられなかった。
 パリ・コミューンが残した最大の教訓は、「労働者階級はできあいの国家機構をそのまま掌握して、それを自分自身の目的のために行使することはできない」(マルクス)という、暴力革命とプロレタリア独裁によって労働者権力を樹立するという道である。
 パリ・コミューンの歴史的意義は、以後の全世界の労働者階級、共産主義運動の指針であり、「教訓の宝庫」であり続けている。
 レーニンの「国家と革命」は、それを集約した最善の文書である。「ブルジョアジーの影響から、勤労大衆を解放するための闘争は、『国家』に関する日和見主義的偏見に対して闘争することなしには不可能」(レーニン「プロレタリア革命と背教者カウツキー」)なのである。
 パリ・コミューンのような政治形態は、ロシア革命における「労働者・農民・兵士評議会」(ソヴィエト・一九〇五年)、ドイツ革命(一八年)におけるレーテ(労兵評議会)の結成に引き継がれた。チリのアジェンデ政権が米中央情報局(CIA)の策動で危機に瀕したときも、修正主義指導部の誤りにもかかわらず、労働者は「産業調整連絡会」を組織して資本家階級によるサボタージュを打ち破ろうとした。
 こんにちのブルジョア国家で定められている政教分離や義務教育の無償化といった政策も、コミューンが初めて実施したものである。
 パリ・コミューンの意義は、現在ますます輝いている。

社会革命の時代に輝く意義
 リーマン・ショック以後の世界資本主義の危機はいちだんと深まっている。急速な技術革新、深刻化する地球環境問題など、さらにコロナ禍が危機をますます深め、加速させている。
 世界の支配層は、リーマン・ショック時以上の財政支出を行い、さらに史上空前の金融緩和に踏み込んでいる。これは危機を打開するどころか、膨大な財政赤字とインフレの危機、長期金利上昇など、世界を破局に導きかねない「爆薬」を膨らませている。
 米国が中国に仕掛ける全面的な攻勢、中東などの「地政学的リスク」、英国の欧州連合(EU)離脱など、国際関係も厳しさを増している。
 何より、ごく一握りの超富裕層と貧困化する大多数の人民との間の「格差」は絶望的なまでに広がっている。わずか八〜九人の超大金持ちが、世界の三十五億人を合わせたと同程度の資産を保有しているというほどである。
 各国の階級矛盾は激化し、騒乱・内戦状態に陥る国々が増えている。最大の帝国主義・米国でさえ、議事堂が一時武装占拠されるほどの社会的危機にある。
 資本主義には、これらの矛盾を解決することはできない。世界はまさに、生産様式の移行期、「社会革命の時代」である。
 現世界の政財界人が集まるダボス会議(世界経済フォーラム)で「ステークホルダー資本主義」が論じられ、国連でさえ「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択している。支配層でさえ、資本主義が現状のままで存続できるとは考えることができなくなっているのである。
 一方、「左派」あるいは進歩的な学者・知識人の一部は、マルクスの「資本論」を掲げることで「新たな社会」を模索している。
 この動きには、積極的な面もある。
 だが「良識派」とされる見解でさえ、総じて労働者階級と革命政党による政治権力の奪取を否定するか、巧妙に避けている。かれらが主張するのは、せいぜい選挙における「野党共闘」やMMT理論、協同組合などによる改良主義である。
 議会主義・日本共産党もほぼ同様の立場である。
 これでは、資本主義の根本的な矛盾を解決することはできず、客観的には、帝国主義者・独占資本家階級による支配の再編を許すことにつながる。
 これらの一面性、謬論(びゅうろん)を打ち破り、パリ・コミューンの経験が示した、「労働者階級による政治権力」の道をめざさなければならない。
 労働者階級が政権を握り、私的所有を基礎とする現在の生産諸関係を変革してこそ、「新たな社会」をめざすことが可能である。
 わが国においてはまず、第二次世界大戦後に形成された対米従属政治、その下での政治軍事大国化策動を打ち破らなければならない。国の完全な独立、アジアとの共生を勝ち取らなければならないのである。(O)


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