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2020年12月5日号 1面

コロナ禍が再度重大局面に
全力で医療・介護崩壊を防げ

国民守らぬ菅政権を倒せ

 新型コロナウイルスの感染拡大が、再び重大な局面となっている。
 累計感染者数は十五万六千人を突破、死亡者は二千二百人を超えた(クルーズ船乗員を除く)。とくに、東京都は感染者数四万二千人以上、死亡者五百人以上、大阪府も感染者二万一千人以上、死亡者数は三百四十人を超えた(十二月三日現在)。
 とくに危機的なのは、各地の医療機関がひっ迫していることである。
 重症者用病床は、東京都で五〇%、大阪府で四九・五%、沖縄県で三九・六%が埋まるなど、一刻の猶予も許されない事態である。院内・施設内でのクラスター(集団感染)も相次いでいる。
 感染者の追跡や入院手続きなどを担っている保険所職員は、「過労死寸前」である。菅政権は千二百人の要員を登録しているというが、この程度では「焼け石に水」である。
 こうした惨状は、菅政権の悪政によって生み出された「人災」である。
 政府が十月に開始した「GoToキャンペーン」が、感染「第三波」の「きっかけ」となったことは、東京都医師会などの発言からも明白である。感染拡大に至っても、菅政権はキャンペーンに固執している。
 専門家による会議が「感染拡大地域の適用除外」を提言した後、ようやく大阪市、札幌市を対象から外したが、それも十一月末になってからであった。東京都に関しては、政府と小池都知事が責任を押し付け合った。
 菅政権は「GoTo」事業をあくまで継続、あわよくば延長し、対象から外す地域については都道府県知事に「丸投げ」している。
 国民の命と健康を守ることは、政府に第一の責任がある。地方自治体も、これに次いで責任がある。だが、実態は「国民そっちのけ」の醜い押し付け合いに終始し、対策は「国民の意識」に任せる無責任ぶりである。菅首相は「この三週間が極めて重要な時期」などというが、どの口がいうのか。「自助」を掲げた菅政権の正体がこれだ。断じて許しがたいものである。
 菅政権は、「GoToキャンペーン」を直ちに中止すべきである。
 医療・検査体制への支援も、依然遅れている。
 幾人かの有識者が指摘しているが、PCR検査数を抜本的に増やし、無症状者・軽症者を収容する施設を十分に確保すれば、経済活動の「自粛」はほとんど必要ないとされる。  安倍前首相は二月、PCR検査数を「一日二万件に」と約束したが、その水準を超えたのは七月末になってからである。現在でも、ようやく三万件を超えた程度である。
 これは世界最大の感染者・死者数を出した、米国の七分の一程度にすぎず、日本の検査体制は先進国の水準でさえない。世田谷区や北九州市などの自治体が行っているのに、なぜ政府ができないのか。
 政府が策定した二〇二〇年度第二次補正予算には、いまだ七兆円もの予備費が残されている。菅政権は即刻、この活用を行うべきである。菅政権は第三次補正予算を準備するようだが、「デジタル庁」などと騒ぐ前に、検査体制の抜本強化を行うべきなのである。
 検査キットの大量生産、簡易な検査を行うための体制整備、医療・介護関係者の待遇改善、医療機関への減収補填、他の仕事に従事する有資格者への就業呼びかけと政府の責任による待遇保証、ホテルや体育館の借り上げなどを急がなければならない。
 医療・介護関係者、病院や施設への入院・入所者には、優先的に、定期検査を行うことが不可欠である。  経済活動が「コロナ前」の水準に戻るとしても、最低でも二、三年はかかる。医療・検査支援とともに、国民生活への支援策を実行しなければならない。
 今こそ、全国民向けの特別定額給付金を再度、実行すべきである。支給は複数回行い、次第に高額所得者を除くべきである。
 家賃補助の「住居確保給付金」、全国の社会福祉協議会が窓口となる特例貸し付け制度も、拡充や期限延長を行うべきである。
 コロナ禍を理由とする失業は、見込みも含め累計七万人以上とされる。うち半数近くが非正規労働者である。だが、これは「氷山の一角」で、実態はさらに深刻である。
 十二月末に期限が切れる雇用調整助成金制度の特例措置は延長される予定だが、一部に「段階的縮小」の声もある。企業側が制度を活用しない悪例もある。制度を延長しつつ、雇用維持により役立つ方向に改善を図らなければならない。
 「GoTo」の代替策として、観光・飲食業界の中小零細企業、個人事業主向けに、思い切った支援を行わなければならない。持続化給付金の複数回給付は、選択肢になり得る。
 文化・芸術活動が持続するための支援策も欠かせない。学費の支払いに窮し、アルバイトが減少している学生には、学費支援、無利子奨学金の給付などを行わなければならない。
 「コロナ対策」と称して、大企業支援のための諸政策を紛れ込ませることを許さず、国民への公開を求めることも重要である。
 野党の一部は、「消費税減税」を主張している。「五%」などという些細なことではなく、思い切って廃止すべきである。
 財源は、大企業・投資家などへの課税で十分に賄える。足りなければ、米国債の売却などもためらうべきではない。
 こうした政策が急務であるにもかかわらず、菅政権は国会を閉じる暴挙を演じている。
 国民の命と健康を守る方向に政治を転換させるには、菅政権を打倒してこそ可能となる。
 労働組合は、その中心勢力として闘わなければならない。      (K)


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