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2020年11月5日号 3面

「大阪都構想」再否決に対する見解

2020年11月3日
日本労働党大阪府委員会
委員長 長岡 親生

 十一月一日、投開票された「大阪市廃止・特別区設置」制度案の住民投票は五年前に続いて再度、反対多数で否決された。十年間にわたり、大阪維新の会の手によって翻弄され続けた「大阪都構想」問題にひとまず終止符が打たれた。
 権限と財源の移譲に伴う統治機構の問題を、ずさんな制度案と財政見通しで、しかもこのコロナ禍で大阪市民にゆだねたことにこそ維新政治の本質と驕(おご)りがあらわれた。
 松井代表は辞任の意思を表明、共通の旗印がついえたことで大阪維新の会は存在意義をなくし、結束が崩れることが予想される。維新を補完勢力、別動隊として利用していた菅政権にとっても大きな打撃となった。府内の政党関係も流動化、闘うものにとって有利な状況が一歩進んだ。

 今回の投票結果は、維新政治の下で進んだ地域、年齢、所得階層の「二極化」が鮮明に示された。コロナ禍のなかで大阪市内の経済は内外の需要は戻らず、観光、宿泊、飲食関連は苦境のまま、中小零細企業の業況も悪化が続いている。有効求人倍率は〇・九(大阪府)にまで落ち込んでいる。おきざりにされ、さらに厳しい状況におかれた階層、一定の地域、年齢層のなかで大阪市が廃止、解体されることへの不安が広がったことが反対多数に結びついたといえる。「大阪市がなくなる」「住民サービスが低下する」という宣伝が浸透したことも効を奏した。

 財界は早くも、否決された「大阪都構想」は手段にすぎず、目的とする「副首都化」を府市の連携でめざせと発破をかけている。二〇二五年の万博開催とカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致でのベイエリア開発、「うめきた二期」再開発、未来医療拠点などのビッグプロジェクト推進、「国際金融都市」「スーパーシティー」構想の指定、医療、ヘルスケアなどICT(情報通信技術)を使った先端都市を推し進めることを求めている。さらに菅政権下で中小企業の淘汰、選別が大胆に行われようとしている。
 これでは現在のコロナ禍で事業継続にさえ苦しむ数十万の市内の中小零細業者の支援、雇用の継続・維持、市域全体の市民生活、医療・福祉、子育て、教育、そして対策を急がなければならない防災はさらに後回しになる。
 維新政治を打ち破って、環境の激変に備え公的部門の役割を見直し増員して危機に対処できる政治に、菅政権と対峙(たいじ)して市民を守れる政治に、長期の視点、日本・関西全体の中での大都市大阪のまちづくりをめざす府政、市政に転換しなければらならない。

 内外とも歴史的転換期である。まずは、労働運動がかつてのように府政、市政を再び主導的に闘えるように再生しなければならない。
 わが党は、貧困化するすべての労働者の、自営業者等の切実な要求に依拠して闘いながら、より広い視野で諸階層、人びとと連携して、府政を大転換するためにいっそう奮闘する決意である。


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