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2019年11月5日号 1面

自公連立20年 
公明党が自民の「下駄の雪」 
財界政治の危機救う犯罪性

 公明中央に批判を集中せよ

 自民党、公明党が連立政権をつくってから、十月で二十年を迎えた。
 一九九九年、公明党は、有権者はもちろん、党内の批判を押し切って与党入り(小渕政権)した。
 当時、世界経済はアジア通貨危機(九七年)の影響も冷めず、日本では山一証券や北海道拓殖銀行の経営破綻など、金融恐慌の瀬戸際にあった。一方、わが国支配層は米国の「東アジア戦略」(九五年)を支えるため、「盗聴法」を含む組織的犯罪対策三法案などの制定も急いでいた。
 だが、自民党は九八年の参議院選挙で惨敗し、自由党との連立だけでは参議院の過半数に達していなかった。ガイドライン関連法は公明党の閣外協力によって成立させたが、限界は明らかであった。
 九三年の細川政権誕生による下野、九四年の村山政権による与党復帰以来、自民党は党勢衰退の条件の下で、連立相手を変えながら、対米従属で財界のための政治を推進してきた。
 連立政権内部では、大臣ポスト、与党の「便宜」など、ありとあらゆる術策を駆使して主導権を確保した。このとき公明党に対して行ったのは、七千億円の地域振興券である。
 公明党はこの策動に喜んで乗り、「新たなパートナー」として、財界のための政治の片棒を担いだのである。
 公明党の与党入りは、破綻間際の自民党政治を助け、延命に「貢献」したのである。
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 以降、二十年が経過した。
 公明党は「平和と福祉」とウリものにしながら、有事法制、特定秘密保護法、在日米軍再編への協力、集団的自衛権のための安全保障法制、医療や年金制度の改悪、さらに消費税増税、一方での大企業への減税などの支援策等々、自民党とともに数多の悪政を推進してきた。
 公明党は、自民党政治の「歯止め役」をアピールしてきたが、実際は「推進役」である。神崎代表がイラクを訪問し、「安全」をアピールして自衛隊派兵の「露払い」を演じた(二〇〇三年)のが典型である。「平和と福祉」の旗印は、すっかり反故(ほご)にされている。
 一二年の民主党政権の崩壊以降は、「歯止め役」という言葉はすっかり聞かれなくなり、「政治の安定」を呪文のごとく繰り返すようになった。
 公明党の存在なしに、自民党は政権の座にとどまれなかったし、現在もとどまれない。公明党の実態は、さながら自民党の「一派閥」である。
 公明党は、衆議院小選挙区のほとんどで自民党候補を支持し、見返りに、一定の比例票を得ることで党勢を維持してきた。
 与党としての「うま味」も支持者をつなぎ止め、自民党支持層の一部をひき付ける効果があった。
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 安倍首相は、公明党との連立政権について「風雪に耐えた連立政権」などと誇っている。神崎元代表も「政治の安定で日本は突出する」などと、自党の実績であるかのように述べている。
 確かに、自公連立はこの二十年間の八四%の期間で政権を担っている。イタリア、フランスなど、既存政党が有権者の批判にさらされ、いわゆる「ポピュリズム勢力」が躍進している他の先進国とはやや異なる長期政権である。
 だが、その基礎は盤石ではない。
 世界は歴史的激動期にあり、わが国もまたそれに激しく揺さぶられているからである。
 こんにち、世界経済の成長率は著しく鈍化し、官民の債務は空前の水準に達している。リーマン・ショック後の大規模金融緩和と財政出動は限界に達し、再度の金融危機が迫っている。
 急速な技術革新が、大企業・国家間の争奪を激化させている。
 トランプ米政権のみならず、どの政府も「自国第一主義」をとらざるを得ず、「国際協調」は崩れ去った。米国は、台頭する中国を抑え込むための攻勢を強化し、これはアジアの緊張を高め、経済危機も深めている。
 米国は、アジアで日本と中国を争わせて「漁夫の利」を得ようとしている。
 わが国支配層は「日米基軸」を維持しつつ、多国籍大企業の利益のために「アジアの大国」をめざす策動を強化している。他方、日本経済は「デフレ脱却」にはほど遠く、日銀による大規模金融緩和と政府の財政事情はいずれも限界点に達しつつある。
 公明党が連立にとどまっていることは、こうした内外の危機から、財界による政治支配を「防衛」する役割を果たしていることにほかならない。その犯罪性は、いちだんと深まっている。
 山口・公明党代表は、消費税増税に伴う軽減税率や商品券を「実績」として自賛している。だが、これは国民生活を救うものではない上に、小売現場の混乱を無視した発言で、欺まんの効果さえない。
 こんにち、自民党は憲法第九条改悪を日程に乗せようと策動を強めている。公明党中央、「大臣病」の国会議員は追随するだろうが、地方や支持者をどこまで「納得」させられるか。
 財界は自らの政治支配を安定させるため、政権交代可能な保守二大政党制の実現をめざす策動をまたも強化している。
 総じて、公明党が「独自性」を維持することは、ますます困難となっている。
 公明党は、先の参議院選挙で比例票を約百万票(約三割)も減らした。議席増加は投票率の低下に支えられたものにすぎない。「与党効果」による党勢拡大は、限界に達したと見るべきである。地方の支持者には、軽減税率をめぐり「自民党の『下駄の雪では』ないか」との不満が起こったという。支持者の高齢化も深刻な問題であろう。
 公明党には、二十数年になる自公連立政権への真剣な総括が必要なはずである。
 二十年間の連立政権によって、自民党は「公明党依存」の選挙戦に浸りきっている。自民党議員の約八割は、「公明党の推薦」を前提にした選挙戦しか知らず、自らの後援会組織は弱体化している。安倍政権が進める内外政治は、ますます国民諸階層の反発を受けざるを得ない。
 自民党政権が維持されているのは、これに追随する公明党と、政治的対抗軸を立てられない野党の存在によるものである。
 有権者が既存政党・政治への不満を著しく高め、新しい道を求めるのは不可避である。欧州の現状は、「明日の日本」である。
 公明党は、直ちに連立政権から離脱すべきである。その道を拒否すれば、遠からず、歴史の掃きだめに転落するだろう。  (K)


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