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2018年11月5日号 6面

東京都特別区(23区)賃金
引き下げ攻撃に対する声明

2018年11月5日
日本労働党東京都委員会
委員長 中尾哲則

  東京都特別区人事委員会は十月十日、一般職月給を平均九千六百七十一円も引き下げる大幅なマイナス勧告を出した。清掃事業など現業、業務職もこの勧告に準じ、最大一万八千円もの下げ幅となる。「史上最悪の」大幅な賃金切り下げ、生活破壊の勧告である。
 特別区職員労働組合連合会(特区連)、および東京清掃労働組合はこの期間、この理不尽な攻撃に対して現場の怒りを結集して人事委員会への異例の抗議集会を行ってきた。現在、特別区区長会に対し「人事委員会の勧告を実施をさせない」闘いを推し進めている。
 われわれは、この闘いを断固として支持する。
 今回の勧告はきわめて不当であり、正義は労働者の側にある。労働組合の存在理由が問われている。この攻撃を許してはならない。断固として闘うことを訴える。

  *   *   *

 今回の攻撃の背景には、国際情勢の激変に直面したわが国支配層が、二〇二〇年の東京五輪後の景気反動と財政危機の深刻化を見据え、全国で労働者・国民諸階層の経済的生存条件が悪化し、政治への不満が高まり、闘いへと発展することを阻止することをもくろむ策略がある。あらかじめ公務員に対する人件費削減攻撃を強め、民間労働者に対して公務員への不満をあおり、公民の分断を図り、闘争を阻止する狙いである。
 金融を頂点に多国籍化した大企業は、この二十年間、熾烈(しれつ)な国際競争に生き残るために労働法制、企業法制を改悪し、民間労働者の雇用削減、非正規化、賃下げを進めてきた。
 さらに公務員労働者に対しては、財政危機を口実に、官民を分断して大幅な人員削減、臨時・非常勤化、民営化を進め、給与構造見直しで大都市と地方を分断してきた。
 大企業は国内を捨てて海外で稼ぎ、金融でボロ儲(もう)けして内部留保をためこむ一方、労働者全体の実質賃金は一割以上も減らされた。リーマン・ショック後、安倍政権下でこの状況はさらに加速して、地方経済は疲弊、東京一極集中がいっそう拡大した。都内大企業は利益を上げているが、所得、資産の格差は著しく拡大し、労働者、都民各層の生活はますます貧窮化し不満を高めている。
 世界経済危機がいちだんと進み、経済が悪化し、都民各層の生存条件がさらに脅かされようとしている社会的状況の中で、公務員攻撃が強められているのである。これはかれらの常套(じょうとう)手段である。特別区人事委員会、区長会、都も同じ穴のムジナである。

  *   *   *

 民間同様に公務員労働者の現場は行政職、業務職問わず人員削減で労働強化が強まっており、労働者は疲れ切っている。清掃事業では、〇〇年に都から区に移管されて以降、多くの区で清掃職員の不補充と非正規化、民間委託が続き、臨時・非常勤を含めても労働者数は六割程度となり、しかも賃金は石原都政時代から大幅に削減されてきた。不満は現場に充満している。
 闘いのエネルギー、勝利のカギはこの現場の労働者の中にこそある。自らの利益を堂々と主張し、地域住民の中に入り、他労組との連帯に打って出るべきである。そうしてこそ幅広く支持を獲得できるのだ。

  *   *   *

 当該労働組合以外の、すべての労働組合、労働者の皆さんに訴える。
 この新たな攻撃は、遅かれ早かれ都庁に働く労働者や都下の他の公務員労働者にも波及することは必至である。危機的な内外環境に対応すべく、安倍政権はさまざまな策動を繰り広げているが、これは労働者をはじめ、国民諸階層のいちだんの闘いに直面せざるを得ない。今こそ官民を問わず支援し合い、労働運動が現実の闘いの中で団結、連帯を闘い取ることができれば次へのステップを築くことができる。
 そうした闘いと連帯を基礎に、労働運動が国政、都政を争い、政治闘争で勝利することこそが打開の確かな道である。労働運動が都政を奪還しなければならない。当面する闘いの現状は困難でも、すう勢はわれわれに有利である。
 ともに闘い、前進しよう!


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