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2018年10月15日号 1面

日中平和友好条約40周年 
米中対立激化の狭間で岐路に立つ

米戦略への追随やめよ

  日中平和友好条約の締結から四十周年を迎えたこんにち、日中関係のみならず、わが国の進路は重大な岐路に直面している。

激化する米中対立
 こんにち、米帝国主義、トランプ政権は自国の衰退を巻き返して世界支配を維持するため、台頭する中国を抑え込もうとしている。
 昨年末に策定した国家安全保障戦略」では、中国をロシアと並んで自国の国益を脅かす「修正主義勢力」と名指しした。とくに、中国の発展戦略である「中国製造二〇二五」をしゃにむに阻止しようとしている。
 知的財産権などを口実にした追加関税などの「貿易戦争」だけではない。中国ハイテク企業を締め出し、中国企業の対米投資への規制も強化した。何ら根拠を示さず「米国の政策や政治活動に干渉している」(ペンス副大統領)などと難クセを付け、新疆ウイグル自治区の「人権」を口実とする制裁も準備している。
 さらに、トランプ政権は南シナ海での「航行の自由作戦」をまたも強行した。九月三十日には、米駆逐艦と中国軍駆逐艦が約四十メートルの距離まで異常接近する事態となった。これに先立ち、米軍は、核兵器を搭載可能な爆撃機B を同海域に派遣してもいる。
 まさに、米国による軍事挑発である。
 米帝国主義が、「覇権国」の地位を他国にすすんで譲ることはない。
 米国による中国に対する攻勢は、政治・経済・安全保障のすべてに渡る全面的なものとしてエスカレートしている。米中間の軍事衝突の可能性さえ高まり、アジア情勢の緊張は激化している。
 今後の日中関係は、こうした米中対立の激化という情勢に規定されざるを得ない。

対中対抗強める安倍政権
 「強い日本」を掲げて登場した安倍政権は、これまでも、米アジア戦略の片棒を担ぎ、中国への対抗を強めてきた。
 「地球儀俯瞰(ふかん)外交」、最近では「自由で開かれたアジア太平洋戦略」を掲げ、オーストラリアなどとの同盟強化、ロシアやインドなどと中国の分断を画策、中国が存在感を増しているメコンデルタ周辺諸国やアフリカ諸国への支援拡大などを行って対抗している。また、防衛費の増額、南西諸島への自衛隊配備、特定秘密保護法、武器輸出三原則の撤廃、集団的自衛権のための安全保障法制、特殊作戦機オスプレイの配備、イージス・アショア(弾道ミサイル防衛システム)など、対米従属下の軍事大国化策動も矢継ぎ早である。憲法第九条改悪の動きも進んでいる。
 トランプ政権成立後、これらの策動は、対日通商圧力をかわす狙いからも、いちだんと強化された


ますます米戦略の先兵に
 米支配層が日米同盟に求める要求は、これにとどまるものではない。
 トランプ政権との間で決まった、日米物品貿易協定(TAG)では、わずかに残された農産物、さらにわが国製造業の「本丸」である自動車が標的にされる。
 アーミテージ元国務副長官、ナイ・ハーバード大教授らの超党派グループは十月三日、報告書「二十一世紀における日米同盟の刷新」を発表した。この報告書では、「日米合同統合任務部隊」の創設で「台湾、南シナ海、東シナ海での偶発的な衝突に対応」するとしたほか、在日米軍と自衛隊基地の共同運用、国内総生産(GDP)一%以上の防衛費支出、中国による「一帯一路構想」に対抗して日米で「インフラ整備基金」を設立するべきなどとした。
 事実上、米軍と自衛隊の合同軍化であり、わが国全土を米軍の出撃拠点にせよというものである。わが国は「対中国」の前線基地化される。歴代政権に関与してきた超党派グループが提言したことに示されるように、この方針は、米国の与野党を問わぬものである。
 だが、すでに述べた米国の対日要求は、わが国支配層、安倍政権にとってさえ、容易には実行しがたいものである。日米矛盾はますます激化し、安倍政権を揺さぶることになる。

独立の政権でこそ打開可能
 こうした米中関係、日米関係のなかでの日中関係である。
 安倍首相は、自民党総裁選挙の演説会で「新しい段階の日中関係」を柱に掲げた。今月末には訪中し、習近平国家主席との会談で、日中共同声明(一九七二年)や平和友好条約などに続く「第五の基本文書」の作成に向けた協議を開始することをめざすという。自民党幹事長には、中国とのパイプを持つとされる二階氏が留任した。
 安倍政権は、日米矛盾の「活路」を求めてあがいている。対中国、対欧州関係などで、外交をいくらか「多角化」させようともしているようである。
 だが、安倍政権がいかに「新しい段階の日中関係」などと腐心したところで、対米従属に縛られる限りあらかじめ「限界付き」で、欺まん的な「関係改善」にとどまらざるを得ない。
 米国の世界戦略に追随する限り、わが国はアジアで孤立し、戦争の危機に直面し続ける。
 安倍政権の振りまく欺まん的策動を暴露し、打ち破って、独立・自主の政権を樹立してこそ、わが国の進路を打開することができる。       (K)


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