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2018年10月5日号 1面

沖縄/翁長後継の
玉城候補が大勝

安倍政権を追い詰め倒そう

  沖縄県知事選挙が九月三十日、投開票され、故翁長前知事の後継候補で「オール沖縄」陣営が支持した玉城デニー候補が勝利した。
 安倍政権はこれまで、辺野古新基地建設を強行しつつ、県への一括交付金の減額や、名護市を経由せず基地予定地に補助金を交付するなど、なり振り構わぬ政策を推し進めてきた。
 故翁長知事は、新基地計画に関し、仲井真元知事による埋め立て工事承認の撤回を表明直後に急逝した。
 後継となった玉城候補の出馬表明は八月末で、与党が推した佐喜真候補に出遅れた。
 佐喜真候補は、前回は「自主投票」であった公明党の推薦を得、菅官房長官や小泉衆議院議員らを相次ぎ投入、二階幹事長を経由しての企業・団体への締め付けなど、組織を生かした選挙戦を繰り広げた。政策的には、名護市辺野古への基地建設に言及せず「争点隠し」を行いつつ、「携帯電話料金の四割引き下げ」「玉城候補に隠し子」などの卑劣なデマ宣伝で支持をかすめ取ろうとした。
 こうした与党の選挙戦術は、ことごとく県民の反発を買った。
 結果、玉城候補は前回の故翁長氏の得票を上回る三十九万六千六百三十二と、復帰後の知事選では過去最多の支持を得た。
 佐喜真候補に約八万もの差を付けての、まさに「大勝」である。
 安倍政権に対する、沖縄県民の怒りと不信の爆発である。
 さらに沖縄県民は、新基地建設の賛否を問う県民投票を実現するための闘いを進めている。
 われわれは、新基地を拒否する意思を再度示した、沖縄県民の闘いに敬意を表する。

米世界戦略に打撃
 国際情勢は激動と激変のさなかにある。
 米国は、数度にわたる中国への制裁措置をはじめとする「貿易戦争」、南シナ海における軍事的挑発、「人権」を掲げた干渉と制裁策動など、米国の中国への攻勢は、経済・政治・軍事の全面的なものとなっている。
 この狙いは、台頭する中国が自国に取って代わることを許さないというだけでなく、アジア市場を収奪して自国経済を再建しようというものである。
 これに基づき、特殊作戦機オスプレイの配備など、在沖米軍基地の機能強化は着実に進められている。自衛隊も米戦略に完全に組み込まれ、石垣島など南西諸島への配備が急速に強化されている。沖縄だけではない。秋田、山口両県へのイージス・アショア(イージス弾道ミサイル防衛システム)の配備計画、オスプレイの横田基地(東京都)への配備などで、わが国全土が「対中国」の最前線とされた。
 沖縄県民の闘いと意思表示は、こうした米国の世界戦略にとっても打撃となった。
 米「ニューヨーク・タイムズ」が社説で「日米両政府は妥協案を見いだすべき」と、新基地計画の再考を促す異例の主張をせざるを得ないほどである。
 米軍が沖縄をはじめ、日本全土から撤退に追い込まれるようなこととなれば、米国のアジア戦略は破綻に追い込まれ、その世界支配は巨大な挫折をこうむる。帝国主義の世界支配にとっては大打撃であり、全世界の労働者階級をはじめ被抑圧民族、中小国・人民にとっては平和と解放への大前進である


3選安倍首相の出鼻くじく
 自民党総裁選で三選された安倍首相、政府は、沖縄県知事選挙の大敗で出鼻をくじかれ、大打撃を受けた。
 安倍政権が抱える難題は、ますます増している。
 トランプ米政権は、わが国を標的とする通商要求を強め、「日米物品貿易協定」(TAG)交渉の開始が決まった。輸出産業の「本丸」である自動車も、そのらち外にはいられない。財界、支配層は早晩、日米関係をめぐる深刻なジレンマに直面しよう。
 このトランプ政権に追随する限り、安倍政権が策動する「対中関係改善」はあらかじめ「限界付き」である。
 農産物のさらなる市場開放要求は、米日両政府に対する地方の不満をさらに増大させる。
 内容や程度はさまざまだが、安倍政権の悪政に対する怒りと不満は、全国、とくに地方に満ちている。それは、自民党総裁選挙での石破元幹事長への「支持」という形で噴出した。最近の内閣改造は政権支持率の上昇につながるどころか、逆に下落した。「ポスト安倍」をにらみつつ、自民党内外で種々の「抵抗」は強まらざるを得ない。
 こうした下で、安倍政権は来年十月の消費税再増税、社会保障制度のいちだんの改悪、規制改革などの難題を進めなければならない。安倍首相は憲法第九条の改悪に「意欲」を見せているが、「それどころではない」苦境に立ち至るだろう。
 安倍政権を打ち倒す上で、戦略的にもっとも頼りになるのは、本土での労働運動の強化である。労働運動が職場の要求を基礎に、国の進路をめぐる課題でも、保守層を含む広い戦線をつくって闘い前進する好機である。
 われわれは引き続き、沖縄県民の闘いと連帯し、全国で米軍基地撤去と独立・自主の国の進路を実現するための闘いの先頭に立つ。 (K)


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