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2018年8月5日号 1面

沖縄/全国での運動が勝利のカギ 労働組合は闘いの先頭に立て

翁長知事の「承認撤回」断固支持

 翁長・沖縄県知事は七月二十七日、名護市辺野古への新基地建設に関して、仲井真前知事による埋め立て工事承認を撤回する方針を表明した。
 知事は防衛省沖縄防衛局への聴聞を八月九日に開き、弁明を聞いた上で、政府が予定する八月中旬からの土砂搬入前に撤回する方針とされる。知事は、サンゴ移植を行わないなど環境保全対策でのずさんな対応が、前知事が承認した際の「留意事項」に反していることや、大浦湾側の軟弱地盤、基地周辺の建物が米国防総省の高さ制限にさえ抵触することなど、数々の問題点を指摘し、これらは「傍若無人な工事状況」で「承認処分の効力を存続させることは公益に適合しえない」と述べた。
 翁長知事の撤回方針は、基地建設に反対する県民の意思を代弁したものである。沖縄県民はこれまでも、国政や地方選挙、あるいは県民大会などの大衆行動で、新基地に「ノー」の意思を示してきた。
 われわれは、知事の判断を断固として支持する。安倍政権は、新基地建設を直ちに中止すべきである。
 だが、「工事を進めていく考え方に何ら変わりはない」(菅官房長官)などと、安倍政権は沖縄県民の意思を一顧だにしない態度である。県の再三の中止申し入れも無視して、裁判所への執行停止申し立てなどで工事を強行しようとしている。
 こんにち、米国は中国を主たる対象にした制裁措置など「貿易戦争」を仕掛け、南シナ海でもけん制を強化するなど、近い将来に自国を上回る経済力を持つとされる中国を抑え込む策動を強化している。この下で、米中間の矛盾が激化している。
 米国にとって、「対中国」の最前線としての在沖米軍基地の位置づけは、いちだんと高まっている。沖縄・日本がアジアの緊張の最前線に立たされる危険性は、ますます高まっている。沖縄をはじめ、日本全土からの米軍基地撤去を求めた闘いが急がれるゆえんである。
 革新の大田元知事でさえ、国に抗し続けるのは容易ではなかった。元自民党県連幹事長である翁長知事が撤回を決断するには、相当の決意が必要であったろう。しかも、翁長知事による埋め立て承認「取り消し」は、二〇一六年十二月、最高裁によって不当にも「違法」と判断されている。今後も、国による申し立てと闘い、「撤回」の姿勢を貫くことは、容易ではないと推察される。
 だからこそ、知事の決断だけに依存するのではなく、県民の意思を代弁して闘う大衆行動を強化することがきわめて重要である。
 当面、八月十一日に「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が主催して行われる県民大会の成功を勝ち取ろう。
 大衆行動の強化を基礎に、十一月の県知事選挙での勝利を勝ち取ろう。
 新基地建設の賛否を問う県民投票を実現するための県民投票条例制定を直接請求するための署名も十万人以上と、必要な署名法定数の四倍を超える数が集まっている。この成功も重要である。
 本土の闘う勢力は、沖縄県民の闘いを孤立させてはならない。従来以上に、沖縄と連帯する本土での闘いが必要である。
 全国知事会が、日米地位協定の「抜本的見直し」などを含む「米軍基地負担に関する提言」(案)を発表するなど、広範な運動を巻き起こす条件はある。
 国民運動の中心的役割を果たすべきは、労働運動である。埋め立て用土砂搬出との闘い、日米地位協定の抜本改定を求める闘い、垂直離着陸輸送機オスプレイの配備に反対する闘いなど、地域の実情に即した形で闘いを繰り広げ、安倍政権を追い詰め、打ち倒さなければならない。 (K)


県民に勇気与える決断
照屋 大河・沖縄県議(社民党沖縄県連委員長)

 翁長知事が思いがけず病気・療養するなか、政府は新基地建設工事を強行しつつ、土砂投入期日を通告してきた。一方、工事に対する県民の抵抗は、歴史的な酷暑のなかでも続けられている。
 こうしたなかでの翁長知事の決断は、県民に勇気と希望を与えている。私たちとしても、知事をさらに支えていきたい。
 そのためにも、八月に予定されている県民大会を成功させることだ。翁長知事の大会への出席も決まっており、県民としての意思をしっかり表明していきたい。
 県民投票については、当初、労働組合にはさまざまな評価があった。だが、若い世代の人びとが奮闘し、予想を超える署名が集まった。今後、県議会で審議されることになるが、成功のために気を引き締めていきたい。
 沖縄の過剰な基地負担は、日米地位協定が日本国憲法の上にあり、沖縄県代表はもちろん、国会議員さえ加われない日米合同委員会が安保政策の大枠を決めていることから起きている。その意味では、沖縄だけではなく、日本全体の問題といえる。
 本土の多くの皆さんが関心を高め、ともに闘ってくれるようお願いしたい。


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