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2018年7月15日号 1面

西日本豪雨で大きな被害
住民のための復旧を急げ

生命と財産守らぬ安倍政権許すな

 西日本での記録的豪雨は、広島・岡山・愛媛県を中心に大惨事をもたらしている。

歴史的な豪雨被害
 河川氾濫や土砂被害が多発、十二府県で二百人以上が死亡または行方不明となっている。豪雨が落ち着いた後も、広島県で新たに約二万五千人に避難指示が出るなど、事態は収まる気配さえない。電力、鉄道などのインフラが大きな被害を受け、断水は約二十五万五千戸にも及び、十五府県で一時、約二万三千人が避難を強いられた。現在も数千人が避難所で劣悪な生活を強いられている。
 企業活動でも、ダイハツの四工場、マツダ二工場などが稼働休止に追い込まれた。農畜産業、水産業でも多大な被害が発生した。
 まさに、歴史的な大雨被害である。政府は、一刻も早い救援と復旧を急がなければならない。

政府は被害そっちのけ
 この大被害に対する安倍政権の対応は、まったく後手に回っており、断じて許しがたい。
 気象庁は五日十四時の段階で異例の会見を行い、「観測史上を更新する記録的大雨」への注意を喚起した。同二十時には、大阪、兵庫など三府県、二十万人に避難勧告が出された。
 だが、まさにその時、安倍首相、小野寺防衛相、吉野復興相、上川法相、岸田政調会長、竹下総務会長ら約五十人の自民党議員は、衆議院宿舎で「赤坂自民亭」なる宴会にうつつを抜かしていたのである。あげくの果てに、西村官房副長官らは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に「いいなあ自民党」などと書き込む脳天気ぶりである。
 政府が大雨に関する閣僚会議を行ったのは、七日の十時過ぎであり、非常災害対策本部(本部長・小此木防災担当相)が設置され、七府県への災害救助法の指定が決まったのはさらにその翌日、八日の九時過ぎであった。
 この段階で、気象庁の発表から、何と六十五時間以上が空費されている。死者・行方不明者はすでに百二十人を突破していた。
 政府の怠慢の結果、救えるはずの多くの命・財産が失われたのである。
 マスコミからさえ、「地震と違って天気は予測がつく。被害が拡大しないためにもわれわれは全力で天気予報に取り組んでいる。なぜ政府はそれを活用しなかったのか」との怒りの声が上がっている。
 窮地に立った安倍政権は、「これだけすごい災害になるという予想は持っていなかった」(竹下総務会長)などと言い訳に終始している。安倍首相は、秋の自民党総裁選挙などに影響しないよう、あわてて被災地訪問を決め、十一日から予定していた欧州・中東歴訪を中止した。見苦しい限りで、怒りなしに語ることはできない。

国民の命守らぬ安倍政権
 安倍政権は、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の「核・ミサイル」から「国民の生命と財産を守る」などと力説してきた。Jアラート(全国瞬時警報システム)の整備や、住民を動員しての「避難訓練」などを推し進めた。
 こうした仕組みは、今回の大雨災害ではまったく活用されなかった。安倍政権は朝鮮敵視には「熱心」だが、豪雨災害から国民の命と財産を守ることにはきわめて冷淡であることが暴露された。
 また、国家予算の治水事業費が、二〇〇一年の小泉構造改革以降、急速に削減され続けてきたことも指摘されなければならない。
 旧民主党政権下の一二年には、〇一年比で約三六%にまで減った。その後、治水事業費は増加傾向にあるが、一四年の広島市土砂災害、一七年の九州北部豪雨などの災害の影響によるもので、政府が「治水重視」に転換したわけではない。
 安倍政権には、被災者の命と財産を守ることは不可能である。
 野党は、国会審議より災害対応を優先するよう政府に申し入れた。カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案などの与野党対決法案を通過させないための戦術でもあろう。
 救援・復旧を急ぐのは当然だが、肝心なことは、安倍政権の「人命軽視」の姿勢を糾弾し、被災者・住民のための復旧・復興を要求して闘うことである。
 東日本大震災の例を見ても明らかなように、政府は「災害復興」を口実に、企業が膨大な労働者を街頭に放り出し労働条件を押し下げることを許し、漁業特区などの規制緩和政策を断行した。熊本地震からの復興は、東京五輪準備の「二の次」にされている。復旧・復興をめぐる問題で、政府のフリーハンドを許してはならないのである。(K)。

西日本豪雨の推移と安倍政権の怠慢

7月4日 14時 気象庁が注意喚起
     20時 大阪など3府県に避難勧告
      同  安倍首相らが議員宿舎で宴会
  5日 10時 気象庁が大雨特別警報の可能性を示唆
     16時 福岡、佐賀、長崎に大雨特別警報
     18時 広島、岡山、鳥取に大雨特別警報
     22時 兵庫、京都に大雨特別警報
      同  23府県・264万人に避難勧告
  7日  0時 広島などで死者3人
     10時 大雨に関する閣僚会議
     14時 岐阜に大雨特別警報
     22時 24府県・863万人に避難指示・勧告
  8日  2時 各地の死者・行方不明者が120人を突破
      4時 高知、愛媛に大雨特別警報
      9時 政府、非常災害対策本部を設置


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