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2018年3月15日号 1面

南北、米朝鮮首脳会談の
開催を歓迎する

 米国は直ちに敵視政策をやめよ 
即時・無条件の日朝国交正常化を

  朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の「核・ミサイル」を口実とした米帝国主義による軍事的・経済的圧迫によってつくられた朝鮮半島をめぐる緊張した状況が、大きく変わろうとしている。
 韓国で開催された平昌冬季五輪を機に、南北統一チームの結成、朝鮮高官代表の出席、文在寅大統領との会談などで、南北対話の雰囲気が一気に醸成された。
 韓国は、代表団の返礼として鄭義溶国家安保室長らを朝鮮に派遣、金正恩・朝鮮労働党委員長との会談で、四月末に南北軍事境界線である板門店で南北首脳会談を行うことや、ホットラインの設置などが合意された。首脳会談が実現すれば、二〇〇〇年、〇七年に続く三回目となる。
 これに続き、トランプ米大統領は、五月までに史上初の米朝首脳会談に応じることを表明した。詳細は不明だが、鄭室長は金委員長の米国への「包括的メッセージ」を伝えたとも言われる。
 これらの会談が実現すれば、朝鮮半島における緊張緩和と南北統一、東アジアの平和に向けた、大きな意義を持つものである。朝鮮民族はもちろん、全世界の平和を望む人びとにとって朗報である。
 今回の画期的変化を主導したのは「朝鮮半島の運命は自分たちで決める」という文大統領と金委員長の意思と戦略であり、南北人民の共同の努力である。トランプ政権はこうした闘いに押され、また、中間選挙を控えた「実績づくり」、なかでも難題の通商問題を優先せざるを得ない事情から、会談に応じるという対応を余儀なくされた。
 今回の朝鮮半島での激変は、米国がいかに挑発・干渉を強化しようとも、「独立・自主」を求める全世界の民族・人民の闘いはそれをはねのけて前進できることを示している。
 わが党は、南北、さらに米朝首脳会談の開催を歓迎する


米国への警戒を緩めることはできない
 南北、米朝首脳会談ともまだ行われてはいない。とりわけ米朝会談の開催とその内容、さらにその後の情勢にも楽観はできない。
 それは、御用マスコミなど宣伝する「朝鮮が約束を守らない」からではない。
 朝鮮戦争はいまだ終わっておらず、休戦状態のままである。米国は朝鮮を正統な国として認めなかった。米国は、朝鮮が一貫して求めた「不可侵条約の締結」「敵視政策の転換」に耳を貸さず、敵視と包囲を続け、一方的に武装解除を迫ってきた。
 一九九四年に合意された「米朝核合意」は、約束した制裁解除を行わないなど、米国が反故(ほご)にした。
 ブッシュ政権は、朝鮮をイラク、イランなどとともに「悪の枢軸」とののしり、体制転覆を公言した。オバマ政権も「戦略的忍耐」という言葉で、対話に一切応じなかった。トランプ政権は軍事攻撃さえほのめかし、国連を動員して制裁を強化した。
 朝鮮が「核・ミサイル」開発を進めたのは、国の安全と民族の尊厳を守るための当然の措置である。
 朝鮮半島の緊張の原因は米帝国主義にある。これはこんにちも同様である。
 こんにち、世界は「米国の時代」ではなくなった。特にアジアでは、中国の台頭が著しい。トランプ政権は巻き返しを図り、覇権国の地位を取り戻そうとあがいている。朝鮮半島で緊張をあおっているのは、こうした策動の一環である。
 現在も、米国は朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」という要求を捨てていない。ティラーソン国務長官の解任など、国論も割れているようである。米国の要求に応じて兵器開発を取りやめたリビアやイラクが転覆させられたこと、米国がイランとの「核合意」を反故にしようとしていることを知っている朝鮮が、簡単に核兵器を放棄するはずもない。
 米国が敵視政策をやめない限り、朝鮮半島の平和は実現できない。米帝国主義への警戒を、いささかも緩めることはできない。

売国・安倍政権打倒の好機
 安
倍首相は「米韓合同演習の早期実施」を文大統領に求めて拒否されるなど、終始、突出して、南北対話の動きに水を差し続けた。今なお、「(朝鮮に)対価を与えることがあってはならない」などと、その姿勢は異様である。その実、米朝会談にあわてふためき、四月にも訪米し、トランプ大統領に「真意」を確認するという。
 目をおおうばかりの醜態、売国外交の末路である。
 朝鮮を「国難」などとまで呼び、拉致問題を政権浮揚に利用してきた安倍政権だが、急変を受けて、いよいよ袋小路に追い込まれた。アベノミクスの破綻、森友学園問題をめぐる「文書改ざん」の暴露もあり、安倍政権はさらに危機的状況を迎えた。自民党内もさらに流動化してきた。
 対米従属で腐敗・腐臭きわまる安倍政権を打倒する好機である。
 だが、野党もほとんどが外交・安全保障問題で安倍政権に同調している。
 立憲民主党は「圧力を掛け続ける必要性をすぐに解除する事態ではない」(長妻代表代行)などと、安倍政権と基本的に同じ立場である。
 共産党は米国を美化し、楽観論を振りまくのみである。
 これでは、安倍・自民党に対抗できない。
 労働者階級の決起が求められている。日本の独立・自主のための闘いの一環として、日朝の即時・無条件の国交正常化を求めて闘わなければならない。それこそが、わが国が南北朝鮮・人民の奮闘と結びつき、アジアの平和に貢献できる確かな道である。  (O)


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