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2017年7月15日号 3面

広範な都民とともに
小池都政と闘おう

日本労働党東京都委員会
常任委員会

  自民党が大敗、小池都知事が率いる「都民ファーストの会」が勝利し、政局に大きな影響を与えた東京都議会議員選挙の結果と以降の都政の展望について、労働党東京都委員会常任委員会(中尾哲則委員長)は見解を発表した。以下、掲載する。


都民の不満が爆発した選挙結果。背景に生活の悪化・格差への不満
 七月二日投開票の東京都議会議員選挙は自民党の歴史的惨敗で終わった。小池都政を支持するか否かは別に、安倍政権に対する都民の厳しい審判が下された。
 原因は森友・加計学園問題や「THIS IS」と言われる国会議員、大臣の不祥事ばかりではない。大敗の背景には、アベノミクスによる株など資産価格の上昇で潤ったごくひと握りの人びととは対照的に、大多数の都民が暮らしの悪化で不満と怒りを募らせていたことがある。世界各地の選挙に見られた「政変」と同じ現象である。
 表に示した二〇一六年の自治体別所得(年収)では、区部の下位を中小の製造業集積地域が占め、さらに周辺自治体や島嶼(とうしょ)での所得が減少しているなど、地域経済の衰退が一目瞭然(りょうぜん)だ。製造業が一定の地位を占めた産業構造は激変、十年間で都内の事業所数は四割近く減少し、不況、コストダウン、規制緩和等で小規模事業所は事業継承ができず、倒産、廃業、没落を余儀なくされた。こうして東京の「経済の主役」は、中小事業者から海外で稼ぐ多国籍大企業へと変貌し、都民の貧困に拍車をかけた。東京は、日本で最も貧富の差が大きい地域となった。

都民の利益に反する「国際金融都市」、水道・交通等の民営化を狙う財界と小池勢力
 都民の一六年の可処分所得はピーク時の一九九四年と比べ七万四千円近く減少し、エンゲル係数は二・二ポイントも上昇している。六百四十万人余の東京都の労働者は都政によって痛めつけられ、地方公務員の年間給与はこの十年間で八十二万円減らされた。官・民ともに非正規が増大、過剰な民営化を続けた結果、公共サービスの安全性や技術の継承は危険水域にある。削減された医療や福祉の回復を含め、都民生活の再建こそが都政の課題だが、小池知事の関心はそこにはない。
 六月九日、政府の「未来投資戦略」は「さらなる成長戦略の推進が急務」と説いたが、同じ日、都は歩調をそろえるように法人税の軽減、金融行政手続きの緩和等を盛り込んだ「『国際金融都市・東京』構想骨子」を発表した。こうした多国籍企業と金融資本の「活躍の場づくり」には、三井不動産、森ビル、鹿島建設など大手デベロッパーが群がっている。
 さらに、小池知事は担当部局の頭越しに「混合介護特区」を地元・豊島区で強行。外国人等が対象の「混合診療」と併せ、医療・介護面でも不平等はいっそう拡大する。保育園の特区による規制緩和には「基準緩和は安全性に影響し、保育士の負担増と離職につながる」と現場から強い批判が上がっているし、国と同様に教育の民間開放も意図しているが、「抵抗勢力」も黙ってはいまい。
 都議選勝利で、大阪で「実験」した上下水道や交通等の「聖域なき公営企業民営化」に手をつける条件も整ったかに見える。

国政・政局は流動化し、都政と相互に影響。勤労都民の不満の受け皿づくりで備えよう
 しかし、安倍首相は追い込まれ、党内からも公然たる批判が噴出してきた。政局は不安定化し、安倍政権の基盤は揺らいでいる。日米関係の動向と絡む経済、ひいては国民生活の行方が今後を決定する要因となろう。
 国政と都政は相互に影響し合って動く。首都・東京は全国的な影響という普遍性と同時に特殊な一地方という面も備えており、鍵を握るのは今後の地方首長選挙や二〇一九年の統一地方選挙だ。
 小池知事は都民の不満の欺まん的な受け皿となった。鹿児島県阿久根市(〇八年、竹原市政の誕生)に始まり、大阪維新の会へと続く、地域経済崩壊に対する住民の不安や不満を公務員労働者に向けさせる手法を踏まえ、「東京で実績を積むこと」を政局との関係をにらみながら判断するだろう。小池氏のような欺まん的受け皿ではなく、真に勤労都民の不満と怒りの受け皿となる政治勢力をつくることができるかどうかが問われる。


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