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2017年7月5日号 1面

都議選/自民党が歴史的大敗
 小池都政は大銀行の手先 
生活苦と格差拡大への怒りが炸裂

潮目は変わった!
闘いで安倍政権倒そう

  東京都議選が七月二日、投開票された。
 結果、自民党が改選前五十七議席から二十三議席へと激減して惨敗する、劇的な結果となった。
 一方、小池都知事与党の「都民ファーストの会」(都民F)が六議席から五十五議席(追加公認を含む)へと躍進。同じく与党の公明党は候補者全員が当選し、公示前の二十二議席から二十三議席となった。生活者ネットは三議席から一議席に後退した。
 小池知事に「是々非々」の民進党は、離党者が相次いだあげく、七議席から五議席へと後退。共産党は十七議席から十九議席へと前進した。日本維新の会は一議席を維持、社民党は議席を獲得できなかった。
 首都・東京での選挙である。今回の都議選は、本来、小池都政の評価と併せ、安倍政権の悪政に対する審判の場でもあった。だが、争点は終始、あいまいなままであった。都民Fは都政政策、さらに国の進路にかかわる問題でも、政策的対抗軸を提起して争ったわけではない。
 それでも、都民は安倍政権に厳しい審判を下し、自民党は過去最低の議席数に転落する激変である。
 自民党は「国政などで大変な逆風が吹いた」(下村都連会長)と、責任を安倍官邸や閣僚に転嫁した。マスコミなどは「多数のおごり」などと書いている。
 確かに、選挙結果は都民Fの勝利というよりも安倍・自民党の敗北である。共謀罪の強行採決、森友問題、加計問題での疑惑隠し、さらに稲田防衛相の憲法違反発言などが影響したことは間違いない。
 肝心なことは、四年半にも及ぶ安倍政権下で、都民の生活と営業がいちだんと追い詰められていることである。二〇一四年の都民の可処分所得は、一九九四年に比して年間九万一千四百九十一円も減少した。
 ごく一部の富裕層との格差は、著しく広がった。
 東京二十三区だけでも、もっとも課税所得額の平均が高い港区(一千百十一万円)と、最下位の足立区(三百三十五万円)の格差は、三倍以上にもなる(二〇一六年)。港区は、一一年から一六年の五年間で二七%も所得を増やしている。会社などからの給与に加え、アベノミクス下での金融資産価格の上昇で所得を拡大させているのである。対して、足立区は四%しか増えておらず、足立区民の四割以上は年収三百万円以下の貧困世帯である。
 アベノミクスと歴代都政の下、東京は極端な格差社会へと急速に変貌した。
 一六年の参議院選挙では、自民党は都市部で大勝する一方、東北・甲信越などの地方で敗北した。今回、自民党の「大票田」であった東京でさえ、厳しい貧困と格差に対する怨嗟(えんさ)の声が広がっていることが示された。安倍政権に対する怒りと不満は、全国に渦巻いている。
 小池都知事は「東京大改革」の名の下、新たな民営化と規制緩和、さらに「国際金融都市東京」を進めようとしている。政治面では、以降の国政進出によって、日本維新の会と同様、憲法改悪を含めた、安倍政権の「別働隊」としての役割を果たそうとしている。
 世界の危機が深まり、国際的市場争奪・資源争奪が激化するなか、日本経済は、依然として「デフレ脱却」にほど遠い。財界は国内改革を焦っている。
 小池勢力は、この要請に応えようとしている。
 小池都知事の掲げる政策が実行されれば、交通など公共サービスの全面民営化で都民負担は増加、公務員に犠牲が押し付けられる。都民の間の格差が、いちだんと広がることは必定である。東京はますます、庶民が生活できない町となる。
 小池都政は多国籍大企業と金融資本の代理人で、大多数の都民のためのものではない。その正体は遠からず暴露され、都民の批判にさらされるであろう。
 自民党の大敗によって、「安倍一強」といわれた政治状況は「潮目が変わり」、安倍政権の「終わりの始まり」となった。
 当面の内閣改造にとどまらず、衆議院の解散・総選挙、さらに憲法改悪の発議時期にも影響は避けられない。小池与党となった公明党との間にも、少なからぬ遺恨が残ったであろう。自民党内にも不満が高まり、「ポスト安倍」の動きが活性化する。
 安倍政権は「自主」を掲げた外交政策や、労働者の味方ヅラした「長時間労働の是正」など、欺まん的手段で延命を図るであろう。ダマされてはならない。
 日銀による金融緩和は限界で、財政危機も深刻化している。ここに「トランプ津波」による経済、安全保障上の負担が襲う。世界で唯一、トランプ政権に追随する安倍政権の外交政策は、世界で孤立している。
 支配層内部の矛盾はいちだんと激化し、遠からず、政界再編を含む政治的激変となろう。これは、安倍政権と闘おうとする勢力には有利な情勢である。国の独立と国民大多数のための政治という、安倍政権に対する政策的対抗軸を明確にさせた闘いが求められる。
 だが、連合東京が都民Fを支持するなど連合主流は闘おうとせず、支配層を助けている。政権、支配層との取引にうつつを抜かす犯罪的役割は、徹底的に批判されてしかるべきである。
 小池都政にすり寄る共産党は頼りにならない。
 先進的労働者・労働運動活動家は、闘いに備えなければならない。職場の要求で闘うことを基礎に、困窮する国民諸階層と結びつき、国の進路の転換を掲げてその先頭で闘おう。
 わが党は、激動に耐えうる革命政党の建設をめざして奮闘する。   (K)


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