2009年6月13日 

朝鮮への安保理制裁に反対する

 国連安保理の朝鮮制裁決議に断固として抗議する。
 決議では「最大限の」強さで、朝鮮の核実験が攻撃されている。しかし、どの国も自国を守るために武装する権利がある。そうでなくては国家間の争いの激しいこの国際社会で、とりわけ米国をはじめとする帝国主義・大国の、核兵器を頂点とする軍事力での干渉・圧迫・抑圧が日常の国際社会で、抑圧された国々、中小の国々は、自国の独立と安全、国家主権を守り抜くことはできない。当然にも、朝鮮民主主義人民共和国にも、その権利は認められている。これは何人も否定できない。
 とりわけ朝鮮は、いまだ休戦協定すら結ばれていない朝鮮戦争以来、60年近く、米軍の核どう喝と軍事包囲の下におかれ、民族は分断され、塗炭(とたん)の苦しみを強要されてきた。この朝鮮が、核兵器を含めて武装を強化し自国の独立と尊厳を守るのに誰が反対できようか。
 制裁決議は、朝鮮の独立と国家主権に対する、大国による乱暴きわまりない蹂躙(じゅうりん)であり、断じて許すわけにはいかない。

 朝鮮の核とミサイルによる武装力強化は、地域情勢を不安定化させ、また、核廃絶に逆行すると、いわれなき批判を受けている。これは白を黒と言いくるめる強盗の論理である。
 確かに東北アジアの緊張は著しく激化しているし、国連決議はそれに拍車をかける。しかし、その責任はあげて米国など安保常任理事国の大国にある。それに追随し「独自の制裁」すら強化するというわが国麻生政権にある。
 むしろ朝鮮は、経過を見れば明らかだが、昨年末までの6者協議を通じて「朝鮮半島の非核化」のプロセスを妥協もして進め、製造設備の一部を爆破するなど「非核化」で応え、平和な環境を促進しようとした。米国も「テロ支援国家指定解除」で対応した。これは周知のことである。
 しかし帝国主義は、朝鮮のこの譲歩につけ込んで、合意に反して内政への乱暴な干渉につながる「検証」を要求し、圧力を強めた。
 朝鮮は当然にも拒否し、反発した。それでも、あくまで「朝鮮半島の非核化」をめざして、「行動対行動」の原則で、在韓米軍および韓国軍の査察・検証との同時行動を求めた。また、米国の新政権、オバマの「転換」を注視したのであろう。
 しかし、オバマの米国と国連安保理の大国は、朝鮮の核を放棄させる攻撃をむしろ強めた。3月には、大規模な米韓合同軍軍事演習が朝鮮が猛烈に抗議する中で強行された。

 また、オバマが騒ぎ立て、6カ国協議を構成する核保有の大国と日韓両国、それにわが国一部野党勢力すらも追随した「核廃絶」提唱は、朝鮮にすれば国家存立をも危うくする核放棄攻撃にほかならなかった。
 こうした経過の中で、朝鮮が「二度と再び戻らない」と、非核化のプロセスである6カ国協議からの脱退を宣言したのは当然と言えば当然である。それが成功するかどうかはわからない。しかし、核包囲の中で、核武装を強化してでも独力で自国を守り、民族の独立と国民の生存に責任を持とうとするのは、政権として正当な選択である。周辺の国々が朝鮮に敵対する米国に追随する包囲の中で、朝鮮に他に道はあるのか。
 地域の緊張を高めているのはどちらか、明瞭である。
 隣国として、ましてや明治以来の抑圧と侵略と植民地支配をもつわが国がいかなる態度をとらねばならないか、明らかではないだろうか。

 朝鮮の核武装が、地域情勢を変化させるのは間違いない。
 だが、大国は核を持つ権利があって、中小の国には生き延びる権利すらもないのか。
 どの国も、自力で独立を勝ち取り維持する権利がある。かつて中国も、敢然と核実験を行い核保有国となり、帝国主義の攻撃をしのぎ、こんにちがある。当時、しばらくは騒動したが、わが国の侵略戦争で敵対関係が続いていた日中関係も国交正常化とともに次第に安定した。
 この地域の安定は、地域の国々が、自らそれを調整する以外にない。とりわけわが国は、まずは、歴史を真摯(しんし)に反省し、清算し、朝鮮との国交を正常化し、敵対関係をたださなくては始まらない。平等互恵の東アジアの諸国関係をつくり上げる、それ以外にない。
 ところが、売国的な自公政権はもちろん、「左」右のわが国諸政治勢力はそんな独立心も失ったのか、米国に追随して朝鮮敵視で恥じない。主権を米国に売り渡し、憤りも忘れて従属国に60余年も甘んじてきた結果なのか。
 真の平和を求め、何よりも国の独立を重んじるすべての人びとは、朝鮮のこの独立のための闘いに、深い共感と断固たる支持を与えるべきである。それは責任である。
 ところがいまむしろ、国連安保理での制裁策動のお先棒を担ぎ、朝鮮敵視策動が一段と強められ、先制攻撃や集団的自衛権行使容認等々の軍事強化策動がテンポを速め、自民党内部では核武装論まで公然と議論が進んでいる。
 誰が、地域の緊張を高めているか、明瞭である。

 朝鮮のそれは「核廃絶」に反するという。
 だが、これまで核実験をしたというだけで、これほどの制裁を受ける国があっただろうか。決議した常任理事国はいずれも核大国である。どれだけ核実験を繰り返したことか。とりわけ米国は、数千回の核実験を繰り返したのみならず、周知のように核兵器を唯一実戦使用した国である。広島と長崎の何十万という人々が虐殺され、いまも苦しみの中におかれている。
 しかもわが国は、その米軍の「核の傘」に守られているという。そしてその下で、朝鮮戦争、ベトナム戦争、等々とわが国はアジア諸国、人民に敵対させられてきた。今は核大国として振る舞う中国に対しても、わが国は米国の指揮下で長い間敵視政策を続けてきた。
 そして朝鮮を今も敵視している。朝鮮をにらんだ核兵器と在日米軍の撤退を闘いとることなしに、どうして朝鮮のわずかな自衛のための核武装に反対できるのか。
 オバマは「核廃絶」を唱えているが、1発の核も削減したわけではない。中国やロシアなどの核保有国とともに核独占体制を強化し、現実には朝鮮のような「小国」を威嚇している。
 核兵器が戦争をするわけではなく、戦争をするのは人間であり、帝国主義である。
 最大の核超大国、米帝国主義との闘争なしに、核廃絶はあり得ない。


 朝鮮への制裁措置、帝国主義の戦争策動に反対し、朝鮮との国交正常化で東北アジアの平和と安定のために奮闘しよう。
 ドルと米帝国主義の危機の中で、わが国の前途は、米国のくびきから脱し、アジア諸国とともに生きる道にこそある。

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