2009年3月30日 

麻生政権による朝鮮の
人工衛星「破壊命令」について

2009年3月30日 
日本労働党中央委員会

 麻生政権は三月二十七日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)が表明している人工衛星の打ち上げ計画を「弾道ミサイル発射」と決めつけ、自衛隊に「破壊措置命令」を発令した。これに基づき、海上自衛隊のイージス艦が出港、首都圏・東北地方に「パトリオット・ミサイル」を展開させている。「迎撃」などと、あたかも「戦時」のごとく脅威をあおる政府の対応は、きわめて異常である。
 また、麻生政権は、衛星が打ち上げられた場合についても「制裁強化」を明言するなど、あくまで朝鮮敵視をあおり、圧力を強めようとしている。

 「破壊命令」は北東アジアの緊張を意図的にあおるもので、断じて許すことはできない。
 本来、宇宙開発を行う権利はすべての国がもっている。しかも、朝鮮は人工衛星打ち上げに関する国際的な手続きを果たしており、それを口実に制裁されるのは、国際社会の常識から見てもきわめて不当なことである。
 人工衛星と弾道ミサイルの技術が不可分であることは事実だが、それはかつての米国の「アポロ計画」、わが国のH2ロケット開発でも同様で、どの国でも普通にやっていることである。それをことさら騒ぎ立てるのは別の狙い、魂胆があるからである。


 麻生政権の狙いは、朝鮮のミサイルの「脅威」をあおることで、わが国の軍備増強を合理化し強引に推し進め、対米追随でアジア敵視の軍事大国化を一気に進めることであろう。これは、金融・経済危機下で凋落(ちょうらく)する米国のアジアでの支配力を補完するとともに、わが国多国籍大企業のアジアにおける政治的発言権の確保で覇権的利益を追求するものである。
 また、深刻な不況下で高まる国民の不満を排外主義的にそらし、「対処する政権」を印象づけ、政治的劣勢を跳ね返そうとする狙いもありそうである。
 しかし当然にも、あまりに強引なこの策動は自民党と政権内部にさえ動揺を広げた。

 この危険で、かつ政治的な策動の意図を見抜き、麻生政権の軍事大国化の攻撃と闘わなくてはならない。
 ところが民主党をはじめとする野党各党は麻生政権の狙いを見抜けず、追随し、三十一日にも、与党とともに朝鮮に「発射中止」を求める国会決議を採択する流れだという。これでは麻生政権と国民の支持を争うことはできない。マスコミ報道でも、社民党や共産党支持者の多くまでも、麻生政権の対応を「支持」しているという。
 これでは対米追随の軍事大国化策動と闘うどころではない。

 麻生政権のように近隣諸国を敵視しては、わが国の経済危機からの脱出と平和・繁栄は不可能である。わが国政府の進めるアジア敵視の軍事大国化に反対し、対米従属政治を打破しアジアの共生へと転換する、朝鮮との即時・無条件の国交正常化を実現するため奮闘しなくてはならない。

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