2009年3月5日号 2面・社説 

小沢・民主党代表が
「第7艦隊」発言

対米追随下で軍事大国化
狙う危険な策動

 民主党の小沢代表は二月二十四日、在日米軍再編に関連して「米国の極東におけるプレゼンス(存在)は第七艦隊で十分」と述べた。
 この発言をめぐって、与党は「日米同盟にひびが入る」(山崎前副総裁)などと、売国奴根性丸出しで「反論」している。
 主権国家の、しかも首都に他国の軍隊が駐留すること事態が世界に類例のないことであり、第七艦隊も含め、第三海兵遠征軍(海兵隊)、第五空軍、陸軍第一軍団など、すべての米軍と施設を撤退させることが不可欠なことである。基地の根拠となっている日米安保条約など売国的諸条約を破棄し、わが国の真の独立とアジアの共生を実現しなければならない。
 だが、小沢発言はわが国の独立に向けたものではなく、むしろその逆である。
 小沢発言の真意は、その数日前のクリントン米国務長官との会談内容とも合わせて理解する必要がある。
 小沢はこの会談で、「同盟国として世界戦略をきちんと話し、合意を得た上で個別の問題に対応していくのが大事」と述べ、日米が戦略目標で合意できさえすれば、世界のどこにでも自衛隊を派遣し、米国を支える意思を表明した。しかも、「日本人がたとえ困難でも責任は果たしていく覚悟がなかった」などと述べ、日米同盟上の「責任分担」に、日本がより積極的な役割を果たすべきだと主張したのである。
 今回の発言も同様で、在日米軍の削減分を、日本が軍事的役割の拡大を通じて補うというのである。事実、小沢は「第七艦隊」発言の前提として、「日本が自らの安全保障と極東での役割をしっかり担っていく」と述べている。
 これはまさに、日本をいっそう米国の世界戦略に縛りつけ、支えるというものである。行き着く先は、海外派兵の拡大と大軍拡、集団的自衛権の行使容認、さらに憲法改悪であり、国民は米国のために「血とカネ」の犠牲を強いられるというものだ。
 だから、民主党内「右派」の代表格というべき前原副代表が「ベクトルとしては間違えていない」と述べ、小沢発言を事実上支持したのは不思議ではない。
 そもそも小沢代表は、一九九三年に発表した著書「日本改造計画」で「普通の国」などとと言い、海外派兵の拡大など、日米同盟の下での日本の軍事的役割拡大を主張してきた人物である。だから、今回の発言も長年の持論を述べたにすぎない。
 しかし、小沢は「対等な日米関係」を唱えながら、戦後政治の根本的問題である、日米安保条約をはじめとする対米関係にいっさい手を触れようとしていない。何しろ、小沢はクリントンに対し、「日米同盟が何よりも大事」と誓約したほどだ。「日本の独自性」を言う小沢だが、実態は、日米基軸の枠内を一歩も超えられないのである。
 民主党が「政権交代」を唱えて勢いづく中、改めて、小沢代表が自民党と寸分違わぬ売国奴という正体をあらわしたのはよいことである。
 労働者・労働組合は、小沢民主党への幻想を捨て、独立・自主、アジアの共生という国の進路をめざす国民運動の先頭で闘うことが求められている

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