2008年7月23日 

財政赤字の根源覆い隠す橋下

財政を食い物にしてきた米国、
売国奴に責任をとらせろ

2008年7月23日
日本労働党大阪府委員会

 大阪府知事・橋下が6月5日に発表した「大阪維新プログラム(案)」。5兆円の財政赤字を削減していくために、今年度予算で1100億円の財政支出を削減するという。「維新プログラム(案)」で、橋下は「民間企業でいえば破産状態にある」「低下し続ける相対的地位。止まらない経済中枢機能の流出。大阪府をはじめ府内自治体の財政危機」とし、財政赤字を天災のごとくいい、「府民全体で痛みを分かち合え」と攻撃をかけてきている。しかし、なぜ「破産状態」になったのか、誰が「破産状態」に追いやったのか、この根本問題、財政赤字の真の原因・根源については、一切語ろうとしない。まったくの無知か、恥知らずか、このような無責任な人物に府政を任せるわけにはいかない。

財政赤字の根源
 府政の歴史をさかのぼってみると真の原因が明らかとなる。普通建設事業費は88年から伸び始め、1995年のピーク時には630億円となる。それに伴い80年代以降、1兆円前後で推移した府債残高は、中川府政時代の92年以降年々急増、2007年には約4倍、約5兆円の府債残高となったのである。
 なぜ、この時期に普通建設事業が急増したのか。その直接的契機こそ、90年に合意した日米構造協議にある。10年間で430兆円の公共投資拡大などが対米公約となり、それに基づき、海部政権は、「公共投資基本計画」を閣議決定する(後の村山政権時に04年度まで630兆円に引き上げ)。特に関西新空港は、米国に名指しで推進を公約させられた。
 しかも、この対米公約に縛られた政府は、おりからのバブル崩壊の下、経済対策を口実に、公共投資と減税を中心とする景気刺激策を数次にわたり、130兆円余も投入した。この過程で中央政府の財政悪化に直面した政府は、地方財政をこの公共投資に意図的に動員した。そこでは、道路整備事業など国の指定する特別事業で地方債の特例枠が認められ、返済は地方交付税をつかって優遇されるなど、数々の誘導策で地方単独事業を奨励したのだ。こうした国の政策の下、関西新空港関連事業のように国の大型事業の補助事業的な地方の公共投資も急速に拡大したのだ。具体的にはりんくうタウン、りんくうゲートタワービル、泉佐野コスモポリスなどである。
 岸、中川府政をはじめ歴代府政は、この時期、政府の誘導策に積極的に呼応し、大手銀行、ゼネコン、関西財界などとも結びついて、野放図な府債発行に頼った公共事業を積み上げた。
 今日、言うところの財政危機、膨大な府の借金の責任は、対米従属の売国政治とそれに従って財政を食い物にしてきた中央と地方の売国奴どもにあり、府民には何の責任もない。

府財政を食い物にしてきた連中に責任をとらせろ
 りんくうタウンの造成は大阪府が行い、約6000億円の財政が投入された。また、そこに立つりんくうゲートタワービルの総工費は約650億円。05年4月に経営破たんした後、新生銀行とケネディクスの企業連合に、44億円というタダ同然で売り飛ばされた。建設費、経営支援合わせて約255億円の府財政が投入された。さらにビルの売却益はすべて銀行への返済に充てられた。
 また、98年に経営破たんした泉佐野コスモポリスの破たん処理には、コスモ社が買収した土地のうち約76ヘクタールを府が約130億円で買い上げ、同時に、70億円の貸付金放棄も行ったのである。
 関連道路事業、インフラ整備なども含め、これらの事業には、大手ゼネコンのみならず、米国の大手ゼネコン・シャール社が加わり、JV(共同体)を組んで、建設を請け負った。
 さらに大手銀行が出資・融資し、また府債を買うなど、確実に利子収入を得、府財政を食い物にしてきた。
 ばく大な利益をあげ、甘い汁を吸い続けたこやつらを食い逃げさせず、たとえ身ぐるみを剥いででも責任・負担を負わせるべきである。
 また、これらの計画・推進、破たん処理に関わった歴代知事、府議会、議員などの責任も問わねばならない。
 府の職員・労働組合は、「人件費削減反対」だけでなく、これらの事実、真の敵を府民の前に明らかにする必要がある。それでこそ、孤立することなく、大多数の府民から信頼され、橋下「大行革攻撃」を打ち破る広範な府民運動を推進し、大きな役割を果たすことが可能となる。
 全国の漁民は、「燃料費高騰」で営業が成り立たなくなり、その根本原因である米国金融資本らによる「投機マネーの規制」を求めて、全国で一斉休漁を行った。漁民のストライキである。議会内与野党に幻想を持つことなく、府財政から甘い汁を吸ってきた大銀行や大手ゼネコンなどの責任を大多数の府民に転嫁しようとする橋下知事を打倒する闘いに府民自らが立ち上がることを強く呼びかける。
 わが党は、橋下「大行革攻撃」を挫折させるため、真の敵は誰かを今後も徹底的に暴露し、広範な府民の闘いが発展するよう全力をあげるものである。


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