2008年7月22日 

連合の物価高騰問題での『緊急提言』について

2008年7月22日

 連合は、7月17日の中央執行委員会で「原油・食料など生活品の物価高騰」に対して緊急対策を確認した。
 そこで表明されたように労働組合が、農民、漁民、下請・中小業者など各界と連携して本当に大衆行動に取り組むのであれば、まことに結構なことである。われわれはこれを支持し、国民的運動として実現するよう共同して奮闘する。7月15日の全国40万人の漁業者による一斉休漁が示すように、打開を求める行動がすでに始まっており、労働運動の役割が求められているからである。
 わが党は、労働者をはじめ各階層各界の皆さんと力を合わせて、インフレ・物価高に反対し一大国民運動を展開する決意である。

 一、しかし、真に事態を打開するためには、何よりもこんにちの物価高騰が引き起こされた原因を正しく認識し、誰と闘うべきかが鮮明につかまれなければならない。
 ところが、連合の「緊急提言」では、世界的な「需給バランスの逼迫」に主な原因があり、いたしかたのない自然現象であるかのように説明されている。これでは、こんにち、全世界人民をインフレ、物価高騰の塗炭の苦しみに陥れているもっとも肝心な原因が覆い隠され、それをつくりだした憎むべき敵が免罪されることになる。
 こんにちの事態を引き起こしているのは、窮地に陥った米国の大銀行・証券会社を救済するために、ドル紙幣を野放図に印刷し、低金利で供給し続けている米国中央銀行(連邦準備理事会、FRB)、米国政府である。周知のように米国の金融機関は、昨年夏のサブプライム危機を契機にばく大な不良債権を抱え、倒産の危機に直面した。FRBは、この危機を救うために、利下げを重ねるとともに、直接に数十億ドルもの巨額の資金を供給した。大銀行・証券会社は、手にした金利負担のない資金を原油や穀物など先物商品市場に集中し、投機で荒稼ぎして、辛うじて倒産を免れている。
 こうして、ばく大な投機マネーが短期間に殺到した結果、原油はわずか10カ月で2・5倍に急騰、穀物など一次産品も暴騰して、世界中の人民が法外な塗炭の苦しみを味わわされているのである。いわば、米国の住宅バブルであくなき利潤追求をした結果として破綻の危機に陥った米国金融機関とドル支配の危機を救うために、全世界の労働者と人民が法外な犠牲を強いられているのである。これが、こんにちの世界的インフレ、物価高騰の真相である。
 こんにちの苦難の根源が、危機に瀕した米国の大銀行・証券会社とそれを救済するFRB、米国政府にあり、その悪あがきの結果であることを見抜かなくては闘えない。
 したがって、真に事態を打開するためには、わが国労働者階級は、全世界の弱小諸国、全世界の労働者階級、人民と連合して、米帝国主義を打ち破る闘いを前進させなければならない。

 一、巨額の血税を使った洞爺湖サミットは、この真相を覆い隠す一大政治ショーと化した。
 先進国(帝国主義)政府の間には利害の対立はあるものの、いずれも大銀行、金融機関を主な基盤とする政権で、当面ドル体制を維持し、全世界人民に犠牲を押し付ける点では共通の利害があるからである。
 中でも福田首相の対米従属ぶりは際立っており、米帝国主義の世界的犯罪を全世界人民の目から覆い隠し、ドル体制を守るために腐心した。欧州連合(EU)諸国がドル暴落の危険を承知しながら、金利を引き上げインフレに対処しようとした態度とは対照的であった。
 共産党など野党各党も、国民に真相を暴露せず、こうした流れにくみしている。
 こんにち、戦後一貫して続いた対米従属政治のツケがあらわとなり、国民の営業と生活の苦難を倍加していることが明らかになっている。そこへもう一つ、米国発の物価高がもろに押し付けられているのである。政府のアリバイ的な「緊急対策」は、まさに売国性を隠す欺まんに過ぎない。
 したがって、われわれは国民的苦難から解放されるには、福田自公政権の対米従属政治を根本的に転換し、国の独立・自主の進路を確立することがどうしても必要だと訴えたい。
 物価高に対する国民の怒りは全国に充満し、闘うものにチャンスである。
 わが党は、労働組合の皆さんとともに、強力な国民運動を発展させるために全力で闘う。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2008