2008年4月5日号 2面 社説 

沖縄県民大会が成功

米軍基地撤去掲げ全国で闘おう

 各界による「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」が三月二十三日、沖縄県北谷町で開かれ、成功をおさめた。同様の集会は、宮古、八重山でも行われた。
 大雨をついて計六千七百人もの県民が参加し、米軍人による相次ぐ凶悪事件に怒りの声を上げて闘う意思を示したことは、きわめて重要なことである。沖縄の要求を拒む福田政権と、大会への参加を拒否した仲井真県知事らにも打撃となった。
 折から、神奈川県横須賀におけるタクシー運転手惨殺事件も、米軍人による犯行であることが明らかとなり、四月三日に犯人が逮捕されている。二月の少女暴行事件後の「綱紀粛正」なるものが「お題目」にすぎなかったことは明白だ。
 いったいいつまで、国民の命と安全が犠牲にされなければならないのか。
 このような中、民主、社民、国民新の野党三党合同による、日米地位協定の改定案がまとめられた。案には、基地外に住む米軍関係者の登録や、被疑者拘禁は原則として日本の施設で行うことなどが定められている。沖縄県内にも、野党のこの動きを評価する向きが多いようである。確かに、実現されればいくらかの「改善」にはなろう。
 だが、全国の闘う勢力が注意しなければならないのは、沖縄県民の要求はあくまで基地の全面撤去であり、地位協定改定は、それに向けた「当面の要求」であるということだ。米軍基地の存在を容認し「地位協定改定でこと足れり」というものでは、断じてない。地位協定が改定されても、基地がある限り犯罪はなくならないからである。
 それゆえ、事件・事故の元凶である米軍基地の撤去を掲げる世論と行動を発展させることが肝心なことである。これなしには、基地撤去はもちろん、地位協定の改定というわずかな要求さえ、実現できない。
 ところで、民主党のとっている態度はどうか。
 小沢代表は、地位協定改定を政策上の焦点とすると明言しており、米軍基地の撤去はいっさい求めていない。「日米基軸」を掲げ、安保条約と米軍再編に賛成している民主党には、基地撤去を掲げられるはずもない。この党に期待しては、基地撤去も地位協定改定も実現できない。
 こんにち、米帝国主義は衰退を早めている。イラク占領の行き詰まりだけでなく、経済においても危機は深い。だからこそ、米国は数少なくなった同盟国としての日本を巻き込み、支配を再構築することに必死となっている。わが国支配層も米国の危機を理解するからこそ、同盟国として存在感を示し、自らの国際的発言力強化に利用しようとしている。先日の少女暴行事件に際し、米駐日大使がいち早く現地に飛んで「謝罪」を口にするなどで世論の沈静化を図ろうとしたのは、こうした日米支配層の危機の深さを示すものなのである。
 米帝国主義の悪あがきにもかかわらず、世界の多極化は全面的なものとなり、中小国・民族・人民による反米、反帝国主義の闘いが前進している。米軍再編と日米軍事一体化が、時代錯誤の亡国の道であることはますます明らかで、闘おうとする勢力には歴史的好機なのである。
 闘いの帰すうを決するのは、沖縄県民の行動と、それに呼応する本土での闘いの前進である。これは、一九九五年の少女暴行事件を契機とした闘い、あるいは昨年の、沖縄戦「集団自決」への旧日本軍の関与を否定する教科書検定に対する抗議の闘いが、日米両国政府を大きく追い詰めたことを想起すれば十分であろう。
 沖縄県民は、県民大会を通して、改めて闘いの意志を示した。沖縄と連帯し、米軍基地の一掃、米軍撤退と日米安保条約破棄の旗を鮮明にさせた闘いを、全国で発展させよう。
 とりわけ労働組合、青年学生が、その先頭で闘うことが求められている。

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