2008年3月25日号 2面 社説 

イラク戦争から5年

帝国主義との闘い妨げる共産党

 〇三年三月二十日のイラク戦争開戦から、五カ年が経過した。
 全世界の反対の声を押しきり、国連決議さえもないまま、「有志同盟」を率いて侵略戦争に突入した米帝国主義だが、この五年間での衰退ぶりは、誰の目にも明らかである。
 「大量破壊兵器」「反テロ」といった戦争の口実がデタラメで、政治的権威が失墜しただけではない。フセイン政権を打倒し、傀儡(かいらい)政権を押し立てたイラク占領は、州兵までかり出しての増派にもかかわらず安定化させられない。戦費も膨大なものとなっている。「有志同盟」参加国も、主要国が脱落し、半分以下となった。人民の反米闘争はもちろん内戦も深刻で、隣国トルコも巻き込んだ地域の不安定化は一気に進み、米国は抑え込めない。
 また、旧フセイン政権と同じく「悪の枢軸」と名指しされたイランは米国の圧力に屈せず、独自の核開発を続けている。ハマスを先頭とするパレスチナ人民も、ねばり強い抵抗を続けている。
 これを横目に見ながら、ロシアなどの大国、あるいは中南米などの中小国も、反米的な動きを強めている。朝鮮は核を握ることで、米国の敵視政策の「調整」を引き出した。
 この政治的衰退と軍事上の限界に加え、経済の危機が米国を襲っている。サブプライムローン問題を契機とした金融不安が実体経済に波及、世界中から資金をかき集めるドル還流還流システムは、もはや以前の状態には戻らない。
 わが党は、米国のイラク戦争への突入自身を「弱さゆえの冒険」と暴露し、さらに、戦争を通じてさらに衰退すると見通した。その指摘は完全に正しかった。米国は世界に対する支配力をなくし、その地位は「強国の一つ」というところまで下がっている。
 世界情勢は、不安定な再編期に突入した。帝国主義に反対する中小国・人民の闘いと結びついた、先進諸国労働者階級の闘いの発展が、ますます緊急の課題となっている。
 だが、イラク戦争後の世界情勢について誤った見解を振りまき、わが国労働者の闘いの発展を妨害する勢力がある。日本共産党である。
 共産党も、イラク戦争を契機とした米国の孤立を認めてはいる。だが、イラク戦争後五年を期した「赤旗」社説(三月二十一日)によれば、米国の世界支配に代わるべき「世界の流れ」とは、東南アジア友好協力条約(TAC)締結国の広がりや、さまざまな諸国間会議が、国連憲章の原則を支持すると表明することであるという。そしてこれこそが、「テロをなくす」道だというのだ。
 つまり、かれらは米帝国主義を追いつめている、中小国や人民の闘いを評価できず、条約や憲章を対置する。それどころか、中東人民の闘いを「テロ」と決めつけ、「なくす」ことを主張する。また、自国防衛のために核を握った朝鮮の「核放棄」を求めるなど、米帝国主義と同じ態度をとっている。
 諸国が、米国と異なる言動をとるのは悪いことではない。だが、決定的なのは、労働者・人民の闘いである。書生論者の共産党にとっては、中小国や人民の荒々しい闘いの前進よりも、いざとなれば「紙切れ」にすぎない条約や憲章、あるいは支配層が何か発言することの方が頼もしく思えるようだ。
 共産党の理屈に従えば、世界の労働者・被抑圧民族、中小国は帝国主義と闘う必要などないことになってしまう。これは、わが国労働者に帝国主義との闘いの放棄を迫る、反動的な主張なのである。
 共産党の見解を打ち破り、全世界の中小国・人民の闘いと連帯する労働者の闘いを発展させなければならない。

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