2008年2月5日号 2面 社説 

連合が「拉致被害者救出」の
ハガキ運動

朝鮮敵視で支配層助ける愚行

 連合第三回中央委員会は昨年十二月二十日、「北朝鮮による拉致被害者救出」を理由に、「金正日総書記宛に、拉致解決を求めるハガキ送付行動」を行うことを決めた。
 最大のナショナルセンターである連合が、このような朝鮮敵視の行動を傘下組合員、ひいては国民に呼びかけることは、わが国の進路を誤らせるものである。
 そもそも、朝鮮による日本人拉致問題は、政治的には既に決着した問題である。
 二〇〇二年九月の日朝首脳会談の席上、金総書記は拉致問題を認めて謝罪した。一国の指導者が公の席でこのような態度をとり、小泉首相(当時)は受け入れたのである。
 両国間に懸案が残っているとすれば、日朝両国がまず国交正常化して平和的な関係を築き、信頼関係を構築する中で解決されるべきである。これは、どの国家間においても変わらない、問題解決の原則である。
 ところが、小泉、安倍と続くわが国政権は、朝鮮への敵視と排外主義、北東アジアの緊張を高め、これを対米追随の政治軍事大国化を進めるために利用してきた。さらには在日朝鮮人に政治弾圧をあおって、反動立法の「根拠」とした。
 福田政権も同様で、基本的には、米国とともに朝鮮包囲・圧迫を続け、核やミサイルを破棄させて朝鮮を武装解除し、ひいては体制を転覆すべく、いまだに独自の制裁措置を続けている。
 ときに「国交正常化」を掲げたとしても、拉致問題や「核問題」の「解決」を前提とするものにすぎず、わが国政府に両国関係を真に改善する意思はないのである。
 しかし、北東アジアの情勢は大きく変化している。朝鮮は核武装を宣言し、米国もイラク問題に手を縛られて国際的影響力を後退させ、対朝鮮政策でも「調整」を余儀なくされた。昨年秋には南北首脳会談が成功、紆余(うよ)曲折はあったにしても、南北朝鮮の関係改善というすう勢は変わらない。こんにち、朝鮮は六者協議における主導性を失っていない。
 こうした情勢の変化が反映し、わが国支配層内部にも、対朝鮮政策をめぐって意見の相違が出てきている。
 日本が朝鮮と国交を正常化させることは、ますます焦眉の課題となっている。それは、日本がアジアと共生する上で不可欠のことである。アジアの平和安定に大きく貢献することであり、韓国をはじめ、アジア諸国の願うところでもある。
 日朝の即時・無条件での国交正常化のため、国民運動を巻き起こすことが求められている。
 だからこそ、連合中央のとっている態度は、労働組合の立場からわが国反動派に手を貸すものであり、犯罪的で、批判されなければならないのである。
 しかも、「ハガキ運動」の文書には「国交正常化」の文言はまったく見られない。それどころか、この文書は朝鮮国内の「人権」問題にまで言及している。朝鮮半島に対する日本の侵略と過酷な植民地支配、未解決な戦後補償、朝鮮戦争以降こんにちまで続く、米帝国主義に加担しての敵視と包囲などを考えれば、このような内政干渉はできないはずである。
 過去の謝罪と清算、両国の国交正常化は、自公連立の小泉政権によってさえ、平壌宣言で確認済みのことである。連合中央の朝鮮敵視ぶりは、異常で突出したものとさえ言える。
 この方針に対し、連合のいくつかの県本部が疑問・批判の声を上げていると聞く。これは当然のことである。
 わが党は、心ある連合内外の労働者・活動家、あるいは単産・単組が、この問題で声を上げ、連合中央に方針を撤回させるよう呼びかける。
 さらに、労働者・労働組合が日朝の即時・無条件の国交正常化を掲げ、広範な運動の先頭に立つよう訴えるものである。

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