2008年2月5日号 2面 社説 

「暫定税率」で福田政権
助けた民主党

「対決」ポーズへの
幻想は禁物

 民主党は一月三十日、ガソリン税などの暫定税率に関する衆参両院議長のあっせん案を受け入れた。民主党は、与党が暫定税率を二カ月間延長する「つなぎ法案」を撤回する代わりに、事実上、〇八年度予算案と税制関連法案の三月末までの成立に合意し、福田政権を助けたのである。
 十八日に召集された臨時国会に際し、民主党はこれを「ガソリン値下げ国会」などと称し、審議拒否や実力行使をもちらつかせて「対決」を演出、福田政権を追い込んで解散・総選挙に持ち込むなどと称していた。ものの見事な腰くだけであり、党内からも不満の声が上がっているほどだ。
 だが、この事実を前にしても、野党や労働組合の中には、相変わらず民主党の「対決」ポーズに幻想を抱き、「野党共闘」に活路を見いだそうとする見解があるのはどうしたことか。
 この間の民主党の欺まん的な態度を、改めて暴露したい。
 「格差問題」を叫んで昨年の参議院選挙に勝利した小沢民主党は、直後の臨時国会に際し、テロ特措法への「反対」、農家への戸別所得補償、年金問題、さらには国政調査権の発動や福田政権への問責決議案提出を公言するなどで、与党との「対決」を掲げた。
 そもそも、民主党は財界のもくろむ保守二大政党制の一方の装置であり、安全保障や改革問題などの基本政策は自民党のそれと違わない。小沢代表は、二大政党制実現のため、財界に一貫して保護・育成されてきた人物である。その民主党が「対決」などといったところで、欺まんにすぎない。
 だから、小沢・民主党代表がアフガニスタン本土への派兵を主張、さらに突如として「大連立」に踏み切ろうとしたことは不思議なことではなかった。今回のあっせん案受け入れも、同様に驚くようなことではないのである。
 逆に、民主党がこのような醜態をさらし、小沢がいまだに「大連立」を否定しないことによって、財界の手先としての馬脚をあらわしていることは、わが国労働者の政治的自覚を促す上で、誠に良いことなのである。
 改正被災者生活再建支援法などの成立をもって、民主党や「野党共闘」を評価する向きもある。これらの法自身は悪いことではない。
 だが、全体を見なければならない。給油新法が衆院の三分の二の賛成で再可決・成立したこと、労働二法(改悪最低賃金法と労働契約法)が民主党も賛成して成立したことを見るだけで、「ねじれ国会」を通して国民の願いを実現できるなどと考えることが、はなはだしい誤りであることがわかる。
 まして、「ねじれ国会」を「新しい政治プロセスの始まり」などと天まで持ち上げる共産党の見解はきわめて有害で、労働者、国民各層の闘いを議会内に押しとどめる、反動的なものなのである。
 わが国支配層は、経済・外交など内外の危機に行き詰まり、苦境にある。労働組合を先頭とする強力な国民運動こそが、事態を動かすことができる。
 それは、昨年の沖縄における、教科書検定に抗議する十一万人集会の成功と、その後の経過を見れば明らかである。教科書の記述という、支配層の「わずかな」譲歩さえもこうである。いわんや、国民大多数のためのの政治を実現するため上で、議席のわずかな増加や一つ二つの法案の成否に汲々(きゅうきゅう)とするだけでは展望は切り開けない。
 とりわけ、労働者・労働組合が民主党への幻想を捨て、国民運動の先頭で闘うべきである。

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