2007年12月15日号 2面 社説 

「テロ支援国家」指定解除
反対の国会決議

米国の応援団を
公言する共産党

 衆議院の拉致特別委員会は十二月五日、朝鮮の核をめぐる六者協議の進展を受け、米国が朝鮮に対する「テロ支援国家」指定を解除することに反対する決議を採択した。
 自民、公明の与党はもちろん、委員会に議席を持つ民主党も賛成、与野党一致で異常な朝鮮敵視をあおったのである。米朝の対話が進み、朝鮮敵視で突出してきた日本の孤立が深まることを恐れてのものである。
 ここで論じるのは、決議に「反対」した共産党についてである。
 共産党が「反対」した理由は、十一月初旬に朝鮮に対する制裁延長に「反対」した際と同じで、要するに「米国の足を引っ張るな」ということである。決して、無法な「テロ支援国家」指定そのものを批判したわけではないのである。参議院の拉致特別委員会の審議で発言した共産党の山下議員は、朝鮮の「核計画の完全申告」を求める米国の動きについて、「粘り強く働きかける姿勢をみせている」などとして好意的に紹介、日本政府に「見習え」と説教している。
 米ブッシュ大統領も泣いて喜びそうな「応援団」の登場である。
 共産党は二〇〇四年の第二十三回党大会における綱領改定で、事実上、「世界に帝国主義は存在しない」という見解を打ち出すにいたった。だから、米国が朝鮮の核放棄のためにさまざまな策動を演じることは、「外交的解決のための精力的な努力」(志位委員長、〇六年十一月)だというのだ。そして、米国の策動に対して「日本の国会がブレーキをかけることは適切ではない」(志位、十二月五日談話)とまで言う。
 志位は、朝鮮の核放棄こそが「平和への道」であると言う。だがこれは、歴史的に朝鮮半島の危機をつくりだしてきた、米国を免罪するものである。
 朝鮮は、五〇年代の朝鮮戦争以降、米国と日本、さらについ最近まで軍事独裁政権であった韓国に包囲され、政治・経済・軍事のすべてにわたる「重包囲」の下に置かれてきた。在韓米軍と在日米軍は大量の核兵器を保有して朝鮮をどう喝しているし、朝鮮戦争は終戦でも停戦でもなく、いまだ「休戦」状態なのである。
 しかも、ブッシュ政権は朝鮮を「悪の枢軸」などと呼んで先制攻撃と体制転覆の標的にし、軽水炉供与を約束した九〇年代初頭の「米朝合意」は反故(ほご)にされた。「ニセ札」を口実とした金融制裁まで行われた。
 米国の言うがまま武装解除したイラク・フセイン政権が武力で打倒されたのを見た朝鮮は、米帝国主義への屈服を選ばず、「先軍政治」を掲げて核兵器によって武装する道を進んだ。この道は完全に正しく、それ以外には、米国の体制転覆策動を押しとどめ、国の独立と民族の尊厳を守ることはできなかった。
 イラク占領に手こずるなど困難が大きいにしても、米国が対朝鮮政策を調整するにいたったのは、この朝鮮の態度抜きにはあり得ない。
 だが共産党は、朝鮮の核放棄を求め、米国の支配の下での「奴隷の平和」を説教する。これは、「反テロ」を口実とした米国の戦争策動・体制転覆策動を美化するものでもある。
 朝鮮に対してだけではない。米国を筆頭とする帝国主義の圧迫に抗する中小国・人民の闘いにツバを吐き、結果的に、帝国主義の支配に加担する役割を果たすものなのである。
 このような共産党の吹聴する「平和」など、デタラメである。共産党を闘う戦線からたたき出し、その影響力を一掃しなければならない。


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