労働新聞 2002年12月5日号 5面

2002年11月28日                  
日本労働党神奈川県委員会委員長 山本 正治

1・地域経済と県民生活は、かつてない困難に直面しています。
 中小企業は、銀行の貸し渋り・貸しはがしで困難に陥り、小泉政権の不良債権処理が拍車をかけています。中小製造企業、商工業者も存亡の危機です。運送業者も、建設業者もです。地域経済の担い手としての中小企業は、重大な困難に直面しています。
 県下の失業者は30万人に増大、雇用保険支給が切られた長期失業者も急増、県民の生活困難が進み、社会福祉の後退は「社会的弱者」を直撃しています。
 地域経済の空洞化も急テンポです。県内製造業事業所は、数も生産額も年率10%減少し、卸売・小売業、飲食店も、この五年間で1万店減少しました。
 地域経済、県民生活の危機は限界です。商工業者が貸し渋り・貸しはがしに反対し立ち上がり、失業者が国会へのデモや自治体への要求行動を強めています。
 県民に身近な地方政治は、地域経済と県民生活を守るため全力をあげなければなりません。
 
2・岡崎県政は、地域経済と県民生活が重大な困難にあるにもかかわらず、県民の要望にこたえていません。
 「財政危機」宣言以降、逆に、県民生活の危機に追い打ちをかける県政運営です。市町村への補助金カット、福祉サービス切り捨て、自動車税や特例企業税の増税、水源税や赤字企業に課税する「外形標準課税」などで県民にさらに負担を押しつけようとしています。しかも、県財政の累積赤字は増大する一方です。
 産業空洞化にもまったくの無策です。
 来年度予算でも「1300億円の歳入不足」だけが1人歩きしています。自らの責任を棚に上げる、まさに官僚の発想による県政運営です。
 こうした県政では、地域経済と県民生活の危機はより悪化し、財政歳入も減少、財政危機を深刻化させるだけです。県民各層の営業や生活の危機に配慮し、打開するための県政が求められています。

3・県政運営の基本を、「財政再建型」から「地域経済再建・県民生活重視型」に大転換することを訴えます。
 県民生活が重大な困難に陥ったいまこそ、「県民生活第1」に県政運営を改め、特別の基金をつくるなど、県民生活が必要とする財政を思い切って出動させるべきです。
 緊急に、少なくとも以下のようなことは必要です。
・商工業者のために思い切った金融支援を行うこと。
・特別の緊急事業をおこし、失業者に職を、地域の商工業・建設業者に仕事を。
・住民生活を守るため市町村が必要とする財政支援強化。
・地方への強引な犠牲の押しつけに反対します。
 地域経済・産業の再生のためには、県民の叡智(えいち)を集め、方針を県民総意としてつくり、具体化を官民あげて行う必要があります。
 財政危機は深刻ですが、それは国の経済財政政策の失敗の結果です。とくに、90年代初頭に米国に押しつけられた公共事業拡大を地方に単独事業で強要しました。また、産業空洞化と大不況にも無策な上、経済実態を無視して米国にいわれるまま、不良債権処理を強行、地域経済に犠牲を押しつけ、財政収入も大幅減少です。
 全国の自治体が同様の危機にあります。全国の首長は立ち上がっています。神奈川県も全国の自治体と共に、政府にハッキリものを言うべきです。地方の財政危機は国との関係見直しの中で唯一解決可能となります。県民と共に国と政治的に闘える知事が必要です。

4・広く共同して地域経済と県民生活の危機を打開するため「地域経済再建・県民生活重視型」県政への大転換を実現しよう。
 県民の必要さに応え、政治的に決断できる知事が必要です。なによりも県民の合意が必要です。
 それは大きく政治的力を糾合して初めて可能です。各自治体首長や国・県・市町村議員の皆さん、各政党、経済団体を始めさまざまな団体、個人の大連合なしには不可能です。「保革」問わず、地域経済と県民生活危機を打開する、この1点で広く共同するよう提案します。
 事態は切迫しています。各界の皆さんの真剣な検討を希望します。


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