労働新聞 2002年12月5日号 社説

国民連合第10回全国総会

国民各層の闘う力
結集した発展的総会

 

 わが国経済、政治の危機はますます深刻化し、国民各層の中には、小泉政権への怒りと闘いが急速に広がっている。また、これを背景に、政府、与党や自民党内部の政治的な対立や紛争も激化している。政治・政党再編の第2幕は不可避であり、すでにそれは始まりつつある。
 こうした「政治が流動化し始めた」重大な情勢の下で、「自主・平和・民主のための広範な国民連合」の第10回全国総会が11月23、24日、大阪で開催された。
 総会の議案は、10年目を迎えた、今総会の任務を、「自主・平和・民主の進路」にそって、「労働者、農林漁民、中小商工業者、市民など広範な国民各層の連合した力によって、国民大多数の政治を実現する」という結成の原点に立ち返り、これを共通の認識として再確立し、新たな飛躍の10年のベース・キャンプをつくること、と指摘している。
 わが党は、この任務が広範な国民連合の皆さんの努力によって、首尾よく達成されたことに敬意を表し、ともに心から喜ぶものである。

広範な各層の結集で闘いの連携確認
 今総会には、北海道から沖縄までの全国各地から、労働者、労働組合代表や、失業を余儀なくされた労働者、中小商工業者などの各階層代表、さらに各政党、各級議員など約350人余の人びとが結集した。
 また来賓として、大阪府の社会民主党代表代行をはじめ新社会党委員長、民主党大阪市議、全日建連帯労組近畿地本委員長、部落解放同盟書記次長、朝鮮総聯委員長、韓統連代表委員、協同組合大阪中小企業経営センター理事長などが参加、力強い連帯のあいさつを行った。
 さらに、各界からの闘いの報告として、銀座をデモした東京都日本橋の老舗の商店主、川崎の中小企業経営者、関西の生コン業界の中小企業の協同組合の代表、数十人が参加した失業者ネットワーク首都圏連絡会、労働組合、そして自治体強制合併に反対している大阪府高石市議会議員などから、生々しい訴えが行われた。
 政党、国会議員、労組代表、農業団体など各方面から多くの祝電・メッセージも寄せられた。懇親会も盛大に行われ、団結の機運あふれるものであった。
 また総会に先んじて行われた記念講演では、本山美彦・京都大学教授が登壇した。本山氏は米国の金融資本・多国籍企業が推進するグローバル経済、これに呼応する売国的な小泉政権によって、中小企業の倒産や失業など国民経済・国民生活が犠牲にされていると感情を込めて暴露し、参加者の共感を呼んだ。
 総会の議案が国民連合事務局長から提案された後、情勢の特徴をどのように見るか、この10年間の総括、当面どのように闘うのか、などが参加者によって熱心に議論され、議案が採択された。
 竹田四郎常任世話人(元参議院議員)は、討論のまとめで「今度の総会は大変いい総会だった。これまではどちらかといえば理念を論議することが多かったが、今回は身近で切実な問題(中小企業や失業者など)で連携して闘いに立ち上がろうという発展的な総会となった」と述べたが、まさにそれは、今総会の特徴、成果を見事に言い当てたものであった。政治情勢の急転、本格的な激動の予測される中で、今総会は後に、画期的と評価されるに違いない、国民連合の新たな可能性、条件を示したものであった。

売国奴、多国籍企業の番頭
小泉打ち破ろう

 多くの参加者は、今日のわが国、各層の国民の諸困難の元凶が、徹底的に対米従属で、多国籍企業の利益に奉仕する小泉政権にあることを暴露し、「小泉政権を打ち破ろう」と訴えた。
 また、それを打ち破る客観的条件が日々急速に増大していることが強調された。
 横浜の失業者は「失業は政治が生み出したもの。小泉や竹中が進める不良債権処理の加速化で失業も自殺も増加する。こういうことが起こらないような私たちの社会、政治を望む」と壇上から訴えた。この発言は、失業者の中に小泉政治を打ち破る大きな力があることを示し、確信を与えた。また、東京日本橋の中小商業者も「町の事業者のほとんどは自民党支持者だが、小泉政権の金融政策は断じて許せない。政党・党派の違いを乗り越え、皆で力を合わせて闘おう」と呼びかけ、共同して小泉改革と闘う意思を表明した。
 これは注目すべき発言である。1980年代の後半にも、プラザ合意以降の国際化、市場開放の圧力の中で、農畜産物の自由化や消費税導入、産業調整などの攻撃で、戦後長い間自民党政権を支持してきた農民や中小商工業者が自民党に反発・離反した。これは自民党単独政権を崩壊に追いやる1つの要因となった。
 いままた、グローバル資本主義の下、多国籍大企業の利益に従った、小泉の対米従属の改革政治で、国民経済は深刻な打撃をこうむり、広範な国民各層の生活・経営は悪化している。とりわけ、中間層(農民や中小商工業者)は、80年代末に比してさらに大規模で、より本格的に自民党政治からの離反と反乱を起こし始めている。最近の衆参同時補選での保守分裂、非自民候補の勝利などの結果は、それを雄弁に示しているし、また自民党内部の最近の「反小泉」の動きもこうした背景のもとで生まれている。
 こうした、闘い始めた中小商工業者の声が、広範な国民連合の総会に反映したことは、大変重要な意義をもっている。広範な国民連合が、政治を変革する、国民的な連合の組織として、各層を連携させる、巨大な可能性を持つことを初歩的にしろ実際で示しているからである。
 政治が激しく動き始めた緊迫した情勢の中で、広範な国民連合が新たに闘い、政治を変えるための国民的な運動を発展させる上で重要なステップを築いたといえよう。

国民運動の発展こそ事態打開の力
 今日、わが国支配層は危機に陥った政治支配を維持しようと必死である。当面彼らは保守2大政党制の実現をめざし、政党・政治再編を策動している。これに警戒しなければならない。我々は支配層のこの策略を暴露し、打ち破るために闘わねばならない。
 そして、すでに指摘した通り、その条件は増大している。最近の衆参同時補選や地方選挙の結果に見られるように、かつてない低投票率は「選挙じゃ何も変わらない。どの党に1票を入れても同じだ」と、投票所に行かなくなった人びとが増大していることを示している。
 苦難にあえぎ、立ち上がった中小商工業者の多くは、「自分たちに政治的な代理人は今の国会の野党の中にもいない。民主党も魅力ないし、また頼りにならない」と発言している。彼らは国会の与野党による猿芝居を見破り、何の期待もしていないのである。何百万の失業者も、既成政党へ根深い不信を持っている。彼らの先進部分は自ら行動して政治を変えようと闘いを始めている。
 広範な国民連合が掲げる「広範な国民各層の連合した力によって」政治を変える道こそが、今、最も確かな ものである。労働運動を基礎に、幅広く国民運動の力で闘ってこそ、小泉政権を打ち破ることができる。
 今総会で、「国民経済の危機を打開し、国民生活を守るために各層が連携して闘おう」というアピールとともに、特別決議「米国のイラク戦争、日本のイラク戦争支援に反対して闘う」が採択された。これは広範な国民連合が、国民生活危機突破の課題でも、また国の進路の課題でもこの情勢に主導的に対処し、闘うことを表明したものであろう。同時に、今総会に初歩的にしろ見られたように、労働者、国民各層の闘争を広く結びつけ、相互の連帯、共同行動を進め、次第に全国的で幅広い国民的な政治戦線の形成・発展を図っていくことこそ重要である。
 今後、危機はいっそう深まり、小泉政権の苦境、政治の激動は避けられない。国民の不満もますます高まるであろう。その時、国民連合はいっそう現状打開、小泉政権の悪政打破、勤労国民のための政治実現へと、さらに偉大な力を発揮できるに違いない。
 わが党は、この共同の事業で奮闘する全国の賛同人の皆さん方の努力に、心から敬意を表したい。さらに、わが党はこの事業の壮大な発展に向けて、多くの皆さんと共に汗を流し、微力を尽くすことを誓うものである。


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