20020725 社説

共産党の80周年集会
危機の時代、労働者裏切りをまたも宣言


 日本共産党は7月始め、党創立80周年を記念する講演会を開いた。
 不破哲三議長が「2つの世紀と日本共産党」と題して講演。それは、資本主義一般を批判するだけで、こんにちの米国主導のグローバリズムには指一本触れなかった。
 米国の株・ドルの暴落の激震が走り、米国発の世界資本主義の危機が、いままた深刻化しようとしている時、共産党は米国を免罪しようとしているのである。
 彼らは、もっぱら「ルールある資本主義」、いわば修正資本主義、つまり保守とも当面の政治で手を組もうとしている。
 共産党の80周年集会は、こうした考え方を宣伝する場となった。いっそうわが国労働者階級を裏切る姿を宣伝したのである。
 危機がいちだんと深まっている時代、支配層を「左」から救う現代修正主義の裏切りの正体を知り、これと闘うことは、引き続き重要な課題である。

不破の21世紀「地球管理論」とは
 この講演会で、不破は20世紀における共産党の役割、21世紀の展望と党の目標について語っている。
 その中で、彼は21世紀の時代認識について、地球は資本主義のままでやっていけるのか、資本主義の存続の是非が問われる時代という。その理由として、まずオゾン層破壊や地球温暖化の問題などを挙げる。資本主義による生産の無制限拡大のためという。地球の管理能力が問われているというわけだ。この不破の「地球管理能力論」の強調は一貫しており、昨年の赤旗まつり、本年の新年インタビューでも、不破はいつから地球環境問題専門家になったかと、見間違えるほどである。
 次いで不破は、恐慌・不況の問題、南北問題などを挙げている。
 ここで不思議なのは、不破がこんにちの帝国主義、米国主導のグローバリズムにまったく触れないことである。彼は20世紀は2度の世界大戦があり、さらにマルクスやレーニンが当時、資本主義社会の耐用年数が切れる時期と考えていたと紹介している。だが、資本主義は20世紀の帝国主義時代にさらに発展したと、わざわざマルクスエンゲルスやレーニンの名前を持ち出して、彼らの予見は当たらなかったといっている。
 では21世紀は帝国主義の時代ではないのだろうか。米国流グローバリズムは、地球上で各国勤労国民の上に猛威を振るってはいないのだろうか。講演には、グローバリズムによる搾取と抑圧、他国経済の破壊などの生ま生ましい批判はいっさいない。そこにあるのは、「地球の管理能力」などという人類的課題一般に置き換えられてしまっている。

グローバリズムに触れず、 米帝国主義を徹底して免罪
 もともと共産党は、単純にグローバル化に反対しない(4中総決議、本年6月)と主張している。この主張は一貫したもので、すでに彼らの22回大会(2000年)でも、グローバル化は資本主義のさけられない固有の傾向、としている。
 問題は、米国主導で、世界で暴れ回るグローバリズムに反対するのかどうかである。共産党は、資本主義の自然な流れだからいちがいに反対しないというわけである。
 こうして、こんにち経済的にも、世界からあくなき収奪、搾取を繰り返している米帝国主義を免罪しようとしている。最近の米国エンロン、ワールドコムなど泥沼的な会計不正事件の発覚や破たんは、グローバリズムの実体の一端を白日のもとにさらした。こうした連中が、世界でグローバリズムを進め、ボロもうけ、あるいは粉飾していたりしたのである。
 抽象的な資本主義はあり得ず、問題は具体的である。不破は、問題のボカシに輪をかけて、資本主義一般にすり替えてしまった。グローバル化問題は、21世紀に世界が直面する重大な問題、という共産党22回大会の認識すらからも背反している。不破のは、あたかも「左」の書生論で、形而上学、観念論の世界である。
 不破の論法によれば、資本主義一般を問題とすればよく、世界で最もあくどいことを戦略として推進している米国を見事に免罪している。
 そしてまた、社会主義をはるかかなたの「未来論」としている。不破は、講演で「21世紀の未来社会論」として3点を強調した。旧ソ連型の否定、資本主義の成果の継承、搾取をなくすである。この内容は、事実上、社会主義を強調することを恐れている立場である。
 特にソ連がいかに悪い社会かと、延々と述べている。レーニンが指導し労働者階級が初めて社会主義政権を打ち立てた輝かしい歴史を、完全抹殺しようというわけである。ソ連に問題があったとしても、それはわれわれは社会主義の歴史として、正反両面から重要な経験として分析的に学ぶべきである。ところが、不破らはすべてを抹殺する。考え方では、物事を一面的にとらえる形而上学である。動機は、何といっても社会主義を口にするのが怖いからであろう。
 この態度は、終始一貫している。だから、不破の講演でも、時代認識、20世紀については、民主主義と人権、民族独立、平和の世紀だったという。不破はわざわざ、20世紀における世界の社会主義の歴史を除いている。それほど社会主義が怖いのであろう。

危機を「左」から救う共産党を許すな
 不破らの本当の狙いは、「安心できる党」として、米国やわが国支配層の「認知」を得たいためである。そうして「ルールある資本主義」を守るために、保守政党とも手を組んで、連立政権に加えてもらいたいためである。共産党はこの期間、経済同友会と懇談したり、財界の認知などを得るために必死である。
 米国主導のグローバリズムの凶暴さが日に日に暴露され、世界資本主義の危機が確実に深まっている。わが国でも小泉政権は、末期症状に陥っている。これを「左」ポーズで救い、保守との連立政権を狙っている。共産党こそ、危機の時代に支配層の延命を図る役割を果たすものである。
 こういう連中の正体を知り、決してだまされてはならない。あたかも資本主義を批判するかのような態度で、実質は「ルールある資本主義」としてその延命を図る犯罪的役割を果たしている。

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