20020415(社説)

日米安保条約発効50年

安保条約を破棄し、独立・自主、アジア共生の道を


 この4月28日は、日米安保条約(第1次)発効から50年を迎える。わが国が日米同盟体制に組み込まれて半世紀、ということである。
 その期間、わが国は朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争など、米国の戦争に常にほんろうされ続けた。
 戦争の騒ぎだけでなく、この半世紀、わが国の外交・安全保障、経済、社会の全面にわたって、一貫して米国の戦略にしばりつけられ、かつ従属してきた。事実上、わが国の主権はなく、従属国といわれるゆえんである。それはまた、わが国と国民がさまざまな犠牲をこうむった過程でもあった。
 今また、昨年の米国テロ事件をきっかけに、自衛隊が派兵され日米軍事協力関係はいちだんとエスカレートした。国会では一連の有事法制が策定されようとし、米軍への協力、わが国の軍事大国化がもくろまれている。
 昨年の米国テロ事件は、グローバリズムが米国だけの利益、ごく1部の富裕層の利益だけを追求する仕組みであることを改めて明るみに出した。このグローバリズムの守り手が、世界に展開する米国の軍事力である。わが国は、いっそう米戦略と戦争に動員されようとしている。そして、アジアと敵対させられる。
 わが国の前途を危うくする安保条約は直ちに破棄されなければならない。そして、アジア諸国と平和のうちに共生・共栄する道を歩むべきである。これは国民的課題であり、広範な運動をつくり前進できるときである。

米戦略にいっそう組み込まれる
 50年たった安保体制だが、こんにち、わが国はいっそう米戦略に組み込まれようとしている。
 アジアでは、冷戦時代のソ連に代わって、強大化する中国を抑え込む米国の戦略がある。同時に、昨年の米国テロ事件をきっかけに、グローバリズムの凶暴さがあばかれ、攻撃されたことに対応しようとするものである。つまり、米国主導のグローバル資本主義体制を軍事面で担保しようとするものでもある。
 米ソ冷戦の終了後、敵を見失ったとして、一時「日米同盟の漂流」などがいわれたが、米国は中国、朝鮮民主主義人民共和国の抑圧を狙って「東アジア戦略」(1995年)を策定した。それに沿って、日米安保共同宣言、日米軍事協力指針(新ガイドライン)の関連法制定(99年)などが進められた。
 その後アジアでは、97年の経済危機、ASEANプラス3、中国の台頭、南北朝鮮首脳会談などが進んだ。アジア支配に危機感を抱いた米国は、日米同盟の再度の引き締め・強化を狙った。それをまとめたのが「アーミテージ報告」(2000年)である。その内容は、欧州における英国のように、アジアでは日本が米国とより一体となった軍事行動を求めるものである。わが国の集団的自衛権の行使、憲法改悪をも要求した、露骨な内政干渉のものである。
 中曽根元首相は、前述の「アーミテージ報告」に呼応するかのように、安保条約の堅持を前提に集団的自衛権の行使、そして早期の憲法改悪を盛んに強調してきた。中曽根の主張は、アジアで米国にとっていっそう役立つ番犬の役割を果たそうとするものである。
 この米国の要求の一部は、すでに昨年来、小泉政権が戦争中のアフガン周辺へ自衛隊を直ちに派兵したように、実現しつつある。そして現在、国会では、動員の国内体制を整備する有事法制制定がもくろまれている。
 このような米国につき従う危険な道は、断じて容認してはならない。わが国を中国、北朝鮮などアジアと敵対関係に置き、アジアでの孤立化を招き、国の前途を危うくするからである。

国の前途を危うくする安保の強化
 中曽根のような対米従属の方針は、わが国に何をもたらすか。
 前述のように、わが国を米国の戦争に引きずり込むものである。これこそわが国の平和と将来にとって、危険な道ではないか。
 さらに、アジアと敵対させるものとして、日米同盟、安保条約は存在している。例えば昨年、わが国は教科書問題、歴史認識、靖国神社参拝問題などをめぐって、中国、韓国、北朝鮮などと激しく対立した。中国とは、台湾の李登輝の訪日問題もあった。北朝鮮とは国交正常化交渉すら停止したままである。これら諸問題の「弁明」のために、小泉首相は昨秋、中国、韓国と首脳会談を持たねばならかった。
 これら東アジア諸国との関係について、米戦略にわが国外交が従属している限り、わが国は独自の道を進めない。日本の軍事的役割増大を求める米国の要求があり、またわが国支配層にもそれを受け、かつ軍事大国化を望む志向があるからこそ、歴史認識問題が温存され、常に引き起こされるのであろう。北朝鮮との関係では、やはり米戦略に規定されて、日本が先行して打開することなど、到底許されないこととされている。
 こうしてわが国は、近隣諸国とさえ真の友好関係を築けないでいる。東アジアで、わが国の安全と繁栄の外的条件である、平和な国際環境がつくれない政策が意図的に進められている。むしろ、中国とは国交正常化30年でありながら、昨年のような対立、本年も「不審船」問題などの対立が、折あらばつくり出されている。
 北朝鮮との国交正常化を実現する。アジアで歴史認識問題を誠実に解決する。これらが実行されるだけでも、東アジアの緊張緩和に役立ち、わが国にとって良い国際環境がつくられるのである。
 さらに近年では、97年のアジア経済危機の際、「アジア通貨基金」創設問題があった。そもそも国民経済を崩壊させたアジア経済危機こそ、米国ヘッジファンドなどが真犯人である。米国のグローバリズムにアジア経済、国民生活は踏みにじられた。そのため、アジア独自で資金を融通し合おうというこの基金構想は、当時、わが国などが積極的に提唱したものである。だが、この構想はアジアでの主導権喪失を恐れる米国によって、直ちにつぶされた。またもやわが国の自主性がないことを、露呈したのである。アジアの経済危機の中で、それを緊急に救済すべき時で、かつアジアから切望されたにもかかわらず、わが国は米国に首根っこを押さえられ動けなかったのである。なんとも情けない限りではないか。
 わが国とアジアとの経済関係は、いうまでもなく貿易、投資など密接不可分の関係にある。双方とも、お互いを抜きには繁栄、発展はあり得ない。だが、そのいっそうの結びつきを阻害、あるいは敵対さえつくり出しているのが、日米同盟関係であり、安保条約に他ならない。わが国の前途にとって、まさに阻害物である。

情勢は進路の大転換を求めている
 日米安保体制は、わが国をいっそう危険な道に引きずり込む。そればかりか、事実上、中国、北朝鮮などアジアと敵対させる方向に導いている。安保条約の破棄、この体制からの脱却が求められている。50年を経過し、情勢の変化もあって、こうした世論、あるいはこれ以上の軍事力強化を懸念する声が広がっている。例えば、後藤田元副総理はブッシュ米大統領の「悪の枢軸」論を批判しつつ、「日米安保は見直す時期ではないか。軍事同盟の時代ではないのではないか」(『世界』4月号)と言明する。
 さらに、アジア経済危機の経験などから、米国流グローバリズムの横暴さを憂える声も広がっている。当然、ドル依存で、米国流グローバリズムに従うわが国経済のあり方も、一部財界を含め問題となっている。この方面からも、対米従属経済の仕組みの限界が明らかになりつつある。
 いまや外交・安保、国民経済の擁護などの面から、対米従属、安保体制のきっぱりした清算が迫られている情勢である。広範な国民運動の条件は広がっているといえよう。独立・自主の国家戦略を確立し、アジアとの共生・共栄の道をかち取らなければならない。

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