20011215

共産党、いっそう転落の1年

米国と支配層に屈服深める


 共産党はこの一年、九七年の第二十一回大会以降の方針である「安心できる党」の路線を進め、米国と支配層への屈服の道をさらに深めた。そのため国民の支持を失い、最近の選挙では昨年の総選挙、本年の東京都議選、参院選と連敗を重ね、政権入りへの展望はまったく開けていない。テロ問題での米帝国主義の免罪、国連によるアフガニスタンへの武力攻撃を提唱したことに典型的に示されているように、共産党は今後も堕落を深め、労働者を裏切り続けるであろう。国民的な大衆行動の前進で、共産党への幻想をうち破らなければならない。

「米国からの認知」狙う テロ問題で米国の抑圧政治を免罪

 共産党のこの1年の特徴は、テロ事件を悪用して、米国に認知をこう姿勢を強めたことである。
 共産党は、テロを非難するだけでその背景にふれず、米国が世界中で繰り広げる抑圧政治を免罪した。
 さらに、米国によるアフガニスタンへの軍事攻撃が続く中の10月11日、共産党は「対テロ」での国連決議に基づく武力行使を提唱する、各国首脳あての「書簡」を発表した。「書簡」は国連決議による経済制裁を積極的に主張するなど、まさに、ブッシュ政権の報復戦争を後押しするものであった。
 すでに共産党は、21回大会で米国の「東アジア戦略」を暴露しないことで、恭順の意を示す「伏線」を用意していた。さらに、昨年の22回大会では、「安保破棄」を事実上遠い将来のこととすることで、この道を押し進めたのである。
 また、志位委員長は新年早々の1月9日、マスコミに米国訪問への意欲を示し、「民主主義の伝統がある」と、米国に賛辞を送ってもいる。
 これらの対応は、ひたすら政権入りをもくろみ、「米国の認知」を得ようとするものだが、共産党の堕落ぶりがいちだんと進んだ1年であった。

労働者裏切る民主党を暴露せず 民主党、野党共闘の幻想あおる

 共産党は選挙政策の面でも、「日本改革」を主張するなど、小泉政権と改革を競う立場を示した。
 「ムダな公共事業」論などの主張は小泉改革とまったく同じものであり、わずかに独自性がみられたのは、「サービス残業廃止」と「消費税引き下げ」という、実は財界の根本的利害にまったく手をつけないですむ水準のものであった。まさに、21回大会で提唱した「ルールなき資本主義の是正」そのものである。
 5月には、志位委員長は、財界にすり寄り経済同友会の小林代表幹事(富士ゼロックス会長)と懇談した。関西経済同友会との懇談に続くものだが、経済団体トップとの懇談は初めてである。志位は、「大企業が果たしている役割を評価する」と、無慈悲なリストラを繰り返す大企業を免罪、今後も懇談を続けることで合意した。
 共産党は、国会でのテロ対策関連3法採決の際、その一つである海上保安庁法「改正」案に賛成した。同案は、「不審船」などへの直接的武力攻撃を可能にする危険なものである。
 共産党はそれ以前から、7月の参院選で与党が過半数割れした場合、自らの政策を棚上げして政権に参加する用意があると表明していた。
 彼らの根拠は、「野党共闘の前進」であった。2月、民主、自由、社民とともに、森首相(当時)の退陣を求めて共同歩調をとることを決めた。共産党は、これを「『反対する共闘』から『政策共闘』に踏み出す大事な一歩」として、天まで持ち上げた。予算案の共同組み替え要求でも「防衛費は昨年並み据え置き」を受け入れるなど、民主、自由両党に屈服した。
 共産党は、野党共闘にヒビが入ることを恐れ、自民となんら変わらぬ民主党を暴露していない。こうして、結果的に民主党を美化している。
 だが、民主党の犯罪性を暴露しうち破らない限り、労働運動をはじめ、闘いが前進しないことは明らかである。こんにちの労働運動の現状が、それを物語っている。
 共産党は野党共闘の幻想をあおることで、国民的運動の前進を妨害しているのである。

国民に「柔軟路線」見抜かれ 国政選挙で連敗、政権展望描けず

 こうして、支配層から「安心できる」党づくりを進める共産党だが、肝心の選挙では連敗続きで、政権入りへの展望は描けていない。
 昨年の総選挙では、共産党は26議席から20議席へと大幅後退、本年6月に行われた東京都議会選挙でも、共産党は26議席から15議席と大幅に議席を減らした。七月の参院選でも、得票数が前回の約半分の432万票しかとれず、非改選を含めても、議席を3つ減らし20議席となった。見事な3連敗である。
 支配層におもねり、政権入りへのお墨付きをねだったにもかかわらず、選挙では連敗した。共産党は、敗因を「小泉突風」に求めたが、この言い分を誰も信じていないことはいうまでもない。支配層にすり寄るという「現実路線」が国民に見抜かれたことこそ、支持を失う真の原因である。

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 共産党は、世界資本主義の危機が深まる下、政権ほしさに支配層に屈服し、転落の坂を転げ落ちている。  すでに、アフガン攻撃への提唱や、天皇家「新宮誕生」への賀詞国会決議に「憲法に根拠をもつ」(市田書記長)と賛成したことに対し、党員や支持者の間から、強い批判が出ている。党内での不信と動揺は、ますます広がっている。
 共産党が果てしない堕落の道を進む限り、こうした矛盾の拡大は避けられない。彼らの犯罪的役割を、広範な国民的運動の発展の中でうち破ることが求められている。