20011105

共産党 政治・軍事にわたり米国におもねる

アフガン武力攻撃を主張


 小泉政権は、多くの反対を押し切ってテロ対策特別措置法など三法を国会で強行可決・成立させた。この問題で、議会内野党はまったく無力であったが、とりわけ犯罪的役割を演じているのは共産党である。彼らは、米国の報復戦争と小泉政権の対米支援に反対しているかのように振る舞っている。だが実際は、アフガニスタンへの武力行使を主張、テロ事件の背景にいっさい触れないなど、米国に恭順を誓っている点で民主党などと大差ない。テロの根源を解決しない限り、真に問題を解決することはできない。共産党の裏切りと堕落をうち破り、自衛隊のアフガン周辺国への派遣に反対する国民運動を、さらに広範に盛り上げなければならない。

「国連幻想」あおり、武力攻撃主張

 共産党は、十月十九?二十日に行われた第三回中央委員会総会において、わざわざ「国際テロとの闘い」という課題を第一にあげ、米国が主導する「テロ包囲網」への賛意を示した。
 共産党は、米国によるアフガンへの軍事攻撃を批判している。
 だが、それは「早すぎた」というレベルのものであり、代わりに、国連による経済制裁はもちろん、武力制裁も提唱しているのである。しかも、この呼びかけを米軍が武力攻撃を行うさなか、各国首脳に送付した。
 不破は、国連による武力行使を「警察行動」だから良いと開き直っている。果ては、国連決議による多国籍軍をも「そのときの条件による」と、承認しているほどである。
 だが、イラクに対する十年にわたる経済制裁と空爆で、すでに二百五十万人もの国民が虐殺されている。朝鮮戦争や湾岸戦争も、ユーゴスラビアへの爆撃もまた、国連の名の下に、国連軍や多国籍軍(いずれも、事実上は米軍)によって行われた。
 不破がいくら国連を美化しようと、「朝日」の聞き手が指摘したように、国連が「米国支配のバージョン(一形態)」に過ぎないことは、歴史と現状をみれば明らかである。「朝日」記者がいみじくも触れたように、「国連中心」という点では、共産党は、国連決議による多国籍軍参加をも主張する小沢・自由党党首と、寸分の違いもない。

テロの根源隠し、米国を免罪

  彼らは、「テロ反対」を言うのみで、パレスチナ問題などテロの背景の問題を解決することを意図的に避け、米国を免罪している。
 共産党は、口では「(テロは)パレスチナ問題と関係がある」と言う。
 だが、十月二十六日付「朝日」のインタビューに答えた不破は、「パレスチナ問題とのリンケージ(連結)論はとるべきでない」と主張した。こうして、テロの原因の一つを解決することを回避し、パレスチナ住民を虐殺するイスラエルを支える米国を、事実上擁護しているのである。
 テロの背景には、政治・軍事面だけでなく、国際的な貧富の格差拡大という経済問題もある。
 共産党は、米多国籍企業などによる経済のグローバル化に関しても、グローバル化が米国など一部の金融・情報技術(IT)産業のみを繁栄させ、アフリカ、中東、中南米など、世界の多数の人びとを飢餓状態に追い込んでいることに触れようとしない。
 彼らは、グローバル化に対しては、「大国の横暴も覇権も認めない」(不破)という抽象的な「経済の民主的改革」を「対置」しているに過ぎない。そして、「グローバリズム反対」の立場を取る欧州の共産党とは「大きな立場の違いがある」と、わざわざ明言している。
 国連をも利用した政治面での覇権主義、経済面でのグローバル化こそ、米国主導の国際秩序の象徴であり、これこそが、米国がテロの標的とされる原因である。
 だからこそ、例年の国際通貨基金(IMF)や世界銀行総会などの際には、労働組合など数万の人びとが抗議行動を展開しているのである。
 テロの根源を解決せず、「テロとの闘い」をいうのは、政治・軍事・経済にわたり、米国に追随する立場である。

保安庁法「改正」案に突如賛成

 共産党は、今回のテロ対策関連法案に反対であるかのように吹聴している。だが、三法の一つである海上保安庁「改正」法には、与党や民主党とともに賛成した。この「改正」により、「不審船」などに対する直接の武力攻撃が可能となるのである(「改正」前は、威嚇射撃のみ可能)。
 彼らは「(不審船を)射撃すること」は「警察力」だから必要だ、と言う。だが、そのような一般論で片づけられるものではない。
 そもそも、自衛隊法「改正」案と海上保安庁法「改正」案の二つは、九月の同時テロ事件以前から、政府・与党が国会への提出を予定していた。
 同「改正」案は、九九年の「不審船事件」を口実としており、「テロ・ゲリラ対策」の一つとして、中期防衛力整備計画(二○○一ー五年度)の柱と位置付けられていたものである。
 こうした経過で政府は、七月初旬には法案の骨子を決定、テロ事件のどさくさまぎれに、新法と抱き合わせでの成立を策したのだ。「改正」は、正真正銘、米国の「東アジア戦略」に沿って有事法制整備を進める、わが国支配層の策動の一つである。
 また共産党自身も、最初からこの法案に賛成していたわけではない。
 当初、共産党の「赤旗」は、同法を「『改正』案」とカッコつきで報道、国会での趣旨説明にも反対した経過がある。ところが、十月十六日、衆院の採決で突如「賛成」に回った。
 「有事法制反対」のはずの共産党は、これをどう説明するのであろうか。

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 共産党は、「法と理性による解決」という観念的な言葉をもてあそぶのみであり、テロの根拠である、米国の国際的悪行を野放しにしている。
 こうした米帝国主義への免罪は、共産党の第二十一回大会(九七年)以来の、米国と支配層に恭順の意を示す路線の表れである。
 共産党の狙いは、政権入りの許しを得るために、米国中心の世界秩序を「容認」するということにある。
 彼らは、今後も米国と支配層へのすり寄りを強め、堕落と労働者への裏切りの道を突き進むであろう。

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