20011005

民主党 米国への戦争協力法案に賛成

野党として小泉政権支える


 小泉政権は、米国同時テロへの報復戦争を策動する米ブッシュ政権に追随し、支援のための「テロ新法」や自衛隊法改悪などの関連法制定を急いでいる。これを野党として公然と支えるのが、民主党である。彼らは「国連決議」などの条件を求めつつも、米国への戦争協力に賛成し、関連法案成立が容易ではない小泉政権を、野党の側から助けている。民主党の裏切りをはっきりさせ、糾弾しなければならない。米国の報復戦争と自衛隊海外派兵に反対する国民運動をつくり出そう。労働組合はその先頭で奮闘しよう。

いち早く小泉の対米支援を後押し

 米国の同時テロ事件を受けた民主党は九月十一日、すぐさま鳩山代表が「民主党としてもあらゆる(対米)協力を惜しまない」とする談話を発表、米国に忠誠を誓った。
 翌十二日には党内に対策本部を設置、小泉首相の「米国を強く支持し、必要な援助と協力を惜しまない」とする表明に対し、民主党は自民党以上に覚悟をもって対米協力することを示した。
 事件後、ブッシュ大統領による戦争策動が強まる中、民主党は小泉とともに、ただちに報復戦争への支持を表明した。「湾岸戦争では百三十億ドルを拠出したがまったく感謝されなかった。今度は『汗を流す』ような目に見える支援が必要だ」(鳩山)、「(報復は)わからないではない」(羽田特別代表)といったあり様で、米国への支持と対米戦争協力を小泉と競い合った。
 民主党は、米国がパレスチナをはじめ、全世界で帝国主義的抑圧政治を強行しているという今回の事件の背景を何ら問題にせず、ひたすらブッシュの戦争策動に呼応するだけであった。その対米追随ぶりは、小泉政権と何の違いもない。

小泉の「民主取り込み」に呼応

 小泉政権が新法制定を含む七項目の支援策を決めるや、民主党はこれに付和雷同した。
 鳩山は二十日、小泉・野党党首会談で、小泉から「超党派の協力」の依頼を受けるや、社民・共産両党の反対とは対照的に、有頂天になって野党として唯一支えるという正体を現した。
 さらに二十五日、日米首脳会談で小泉が対米支援を約束するや、民主党は遅れてはならじと同日、役員会とネクストキャビネットで「新規立法での対応」を正式決定したのである。
 臨時国会で民主党が主張しているのは、自衛隊派兵の「国会への報告」でなくせいぜい「承認」とすることや、「新たな国連決議を条件とする」などのささいなことにすぎない。
 小泉は当初から、「民主とはかなり接点がある」と、民主党に「配慮」しこれを取り込むことを、直接指示した。自民党も、「特に野党第一党の民主党に賛成してもらえるとありがたい」(山崎・自民幹事長)と、露骨に秋波を送った。
 自民党からすれば、民主に次いで与党・公明党への配慮がある。元首相など自民党幹部からさえ、異論がある。つまり、小泉政権にとっては、それほどまでにこの関連法は成立が容易でないということである。であるからこそ、野党としてこれを支える民主党の犯罪性は、とくに際だっていると言わねばならない。
 鳩山は実際、自民党と「スタンスが一八〇度違うという議論にはならない」と呼応している。小泉との「以心伝心」ぶりがわかろうというものだ。
 民主党はふだんは「野党づら」をしているが、これまでにも、金融国会(九八年)、新ガイドライン関連法(九九年)など、国の基本をめぐる問題では、まさに「挙国一致」の対応を繰り返してきた。そして、より露骨に政府・支配層を支えているのだ。これは、「小泉政権と改革を競う」という、最近の態度にも明白である。

新法めぐり党内に動揺

 自民党主導の政権を支える民主党だが、周辺事態法など新ガイドラインの枠をも超え、集団的自衛権の行使につながりかねないテロ関連法に対して、党内の動揺が強まっている。
 二十七日に衆参両院で行われた「テロ非難」の国会決議では、民主党から一人の反対(参院)、約十人の欠席(衆院)が出た。
 また、旧社会党系議員を中心に、テロ関連法制定に慎重な議員が独自の動きを始めてもいる。
 こうした党内の動揺は、ある意味で当然である。
 これまでの国是(国の基本方針)を転換し、わが国をアジア・アラブ諸国と敵対させる今回の「テロ関連法案」制定に賛成することは、わが国の進路を憂える者であれば、とうていできないことだからだ。
 だが、民主党は日米安保条約や新ガイドライン、有事法制を認めており、安全保障問題で取りうる態度は限られている。「もし何もしなければ(日米)同盟の崩壊につながる」(前原幹事長代理)という発言こそ、民主党内のもっとも反動的な見解である。
 これでは、米国の報復戦争に反対することなどできないし、ましてや労働者の闘いを促すことはできない。先にあげたような党内矛盾は、いっそう激動する世界情勢、対米追随外交のもとで、今後ますます深刻なものとなっていくであろう。
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 民主党は、わが国の進路など基本政策にかかわる節目節目において、例外なく財界政治を支えるものとして立ち現れてきた。
 労働者は民主党に未来を託すことはできない。米国の報復戦争と小泉政権の戦争協力に反対し、労働者は国民諸階層の先頭で闘うことが求められている。

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