20011005

米国の報復戦争絶対反対

小泉政権の自衛隊派兵を許すな


 ブッシュ米大統領の報復戦争宣言以来、インド洋、中東周辺には米空母をはじめ膨大な軍事力が集中し、アフガニスタンへの攻撃が目前に迫っている。また、小泉政権は、参戦を表明し、臨時国会において、自衛隊の海外派兵のための「テロ関連法」の制定を急いでいる。わが国の参戦は、対米追随のもとで、世界的規模で日米軍事行動を行うものとなる。それは、憲法違反はもちろんだが、わが国がアジア・アラブ諸国と敵対するもので、わが国を危険な方向へ導くものである。広範な国民運動で米国の報復戦争とわが国の参戦に反対しよう。

テロは米国の身から出たサビ

 ブッシュ米大統領は九月二十日、連邦議会で報復戦争遂行を表明した。ブッシュは、テロ事件の犯人をオサマ・ビンラディン氏と氏の率いる「アル・カイーダ」と決めつけた。
 ブッシュの戦争を支持しない国々はテロリストであるという無理難題を世界にふっかけている。これこそ、追いつめられた米国の姿である。
 しかし、ブッシュがいくらアフガニスタンを攻撃しても問題の解決にはならない。なぜなら、米国が全世界で帝国主義として、わが物顔に振る舞い全世界の人民から怒りをかってきた。湾岸戦争でイラクを攻撃し、アフガンやスーダンにミサイル攻撃を行った。ユーゴスラビアをも爆撃した。アジアでは台湾、朝鮮問題で介入し、十万の軍隊がアジアに張りついている。こうした米帝国主義の侵略、干渉が全世界人民の恨みをかうのは当然である。米国の帝国主義的な抑圧・干渉などがなくならない限り、「第二第三の『ビンラディン氏』」が生まれてくるのである。まさに身から出たサビである。

小泉参戦はアジア・中東と敵対する道

 小泉首相は、今回の報復戦争に対し、真っ先に支持を打ち出した。そして、九月十九日には米国の報復戦争に対し、後方支援などを口実にした自衛隊の派兵などの七項目の当面の措置を発表した。そして、そのために米軍支援法の制定や自衛隊法の改悪などを強行しようしている。まさに報復戦争への参戦を表明している。
 これらの策動は、周辺事態法を世界的範囲に拡大し、インド洋まで派兵しようとしている。そして憲法で禁じられている集団的自衛権の行使を事実上容認するものである。小泉政権は、テロという追い風を利用し、軍事大国として「南西アジアに日の丸を立てよう」としているのである。これは、わが国をアジア、中近東と敵対させる極めて危険な選択である。
 集団的自衛権によって米国の報復戦争を支持する北大西洋条約機構(NATO)諸国でさえ、「(軍事作戦参加には)情報と相談が必要」(シュレーダー独首相)、「軍事行動では合意が先決」(シラク仏大統領)と、それぞれの国益をかけて事態を見極めようとしている。小泉政権だけが、目に見える対米支援を実現しようとあせり狂っている。

戦争反対の国民運動を

 小泉政権の対米支援法案には、与党内からさまざまな異論が出される中、民主党はいち早く「米軍支援法」に賛成を示した。民主党の鳩山代表は、小泉政権の対応について「諸外国に比べスピードに欠けた」と、対米追随ぶりで競って見せた。その上で、米軍支援法、自衛隊法改悪などについて容認している。
 共産党は武力行使に反対はするものの、テロ容疑者の逮捕、法の裁きなどを強調するだけで、テロの背景となった米国の抑圧、干渉などについてはいっさい触れず、米国の世界での抑圧政治を免罪しているのである。これでは問題の解決に向けた方向を示すこともできない。
 世界ではブッシュの報復戦争反対に闘いは始まり、小泉参戦に反対する国会前での座り込み闘争や集会、デモが連日のように行われている。
 国会では民主党が賛成するなど力関係は見えている。壮大な国民運動を実現することこそ、小泉政権の参戦を阻止する最大の力である。この参戦反対闘争に労働者階級は、民主党など野党を信用せず国民諸階層の先頭で闘おう。


広がる戦争協力反対の声

 小泉政権の戦争協力に対し、労働組合から反対の声明などが上がっている。いくつかの声明の要旨を紹介する。

航空安全推進連絡会議・日本乗員組合連絡会議
 テロに対して、武力をもって報復を行うことは、新たなテロを誘発しかねない行動であり、民間航空機の安全を確保する立場から好ましくありません。
 本事件を契機に、「有事法制」の必要性などが一部で議論されていますが、国の「危機管理」を厳しく行うことと、国の武力行使を当然とする有事法制とは全く別のものです。航空労働者は「いのちと安全」を守る立場から、民間航空をいかなる形態であっても軍事的に使用することには、絶対に反対します。
 
日本教職員組合
 小泉首相は「米国のテロ報復を支持する」とし、米国の軍事的報復行動に追随するために自衛隊法見直しなど7項目の「当面の措置」を発表した。集団的自衛権行使の容認や周辺事態法の見直しなど、本格的な有事法制化や憲法9条を否定し憲法改悪を狙う危険な動きであり、決して容認することは出来ない。
 日教組は「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、「戦争への道」に反対し、このようなテロ行為をなくしていくために、国際協調と地球規模での環境破壊や貧困、飢餓、差別の問題を克服する「人間の安全保障」の精神による世界平和をつくりだすための活動をすすめていく決意である。

全日本港湾労働組合
 小泉内閣は、米国の軍事的な報復を全面的に支持し、自衛隊による、7項目の当面の措置を明らかにしました。たとえ「後方支援」であれ、兵站輸送は軍事作戦行動の一環です。私たちは、港湾荷役や貨物輸送を担う労働者として、戦争協力に反対する立場から、小泉内閣の対米支援法案、有事法制制定に断固として反対して闘うことを決議する。

全日本水道労働組合
 そもそも今回のテロ行為をもたらした背景には、イスラム社会と米国をはじめとする大国主義の、世界を舞台にした永きにわたる抗争があります。パレスチナ・イスラエル問題をはじめ、眼には眼、力には力、テロにはテロ、戦争には戦争という悪循環の延長上に今回の悲惨な事態が発生していることを想起し、その根本的な解決の道筋をいかにつくりだしてゆくべきかが問われています。

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