20010921

小泉首相の、同時多発テロ事件に対する
米軍の報復攻撃支援、
「自衛隊の派兵・参戦」決定に断固反対する

日本労働党中央委員会副議長・山本正治


同時多発テロ
米国の報復戦争を許すな
小泉政権の参戦に断固反対する
広範な国民運動で闘おう

 米国での同時テロは、米国の金融・資本主義の心臓部である世界貿易センタービルを崩壊させ、同時に米軍の要である米国防総省をも破壊した。この衝撃は米国のみならず、全世界にも波及した。テロの一撃によって権威を失墜させられたブッシュは何ら証拠もないにもかかわらず、アフガニスタンへの武力報復を決定した。だが、今回の事件の背景には、イラク、ユーゴスラビアをはじめ全世界で内政干渉、武力行使を繰り返してきた米帝国主義の強権政治がある。全世界的な貧富の格差拡大もある。とりわけ米国は恨みをかっていた。改めるべきは米国であり、報復戦争に断固反対する。こうした米国に追随するわが国政府は、小泉首相がただちに米国の報復攻撃を支持した。そして、周辺事態法、自衛隊法を超えて、インド洋に自衛艦を派遣すると事実上「参戦」を宣言した。こうした危険な動きに対し、沖縄県庁前での座り込みや米大使館前での抗議行動などが始まった。米国の報復戦に断固反対し、小泉政権の追従、参戦を許さない国民運動をつくりだそう。日本労働党中央委員会は、山本正治副議長の談話を発表した。

 小泉首相は、同時多発テロ事件に対する米軍の報復攻撃を「後方支援」で公然と参戦支援するなど「七項目」を決定した。すでに九月二十一日朝、横須賀港を出港した米空母キティホークを海上自衛隊艦隊が超法規的に「護衛」した。さらにイージス艦隊を九月中にもインド洋に派遣する方針である。米国は大喜びである。小泉は、まさしく米軍の番犬を買って出た。
 われわれは、米軍の「報復攻撃」とわが国がそれを「支援」することに断固反対する。

◇   ◇

 われわれは、わが国国民を含む六千人を超えるといわれる犠牲者に心から哀悼の意を表明する。
 われわれはテロには反対である。世界の歴史をつくるのは、英雄でもなければ、ましてやテロリストでもない。全世界の人民が歴史をつくるのである。

◇   ◇

 こうした事態を繰り返さないために、真の原因を探り、根本的解決をめざさなければならない。これこそ、アジアに生きるわが国が「主体的に」取り組むべきことである。
 十年前の湾岸戦争とその後のイラク経済封鎖やミサイル攻撃、あるいはアフガニスタンのイスラム・ゲリラへの空爆などが続いてきた。作用があれば反作用がある。この結果が、イスラム各地域の反米勢力を強めてきたのだ。唯一の超大国となった米国が進めた全世界的な強権政治、抑圧政策こそ、ことの背景にある。まだ事実関係は分からないが、テロがその反作用の一つの可能性はあり得る。

◇   ◇

 米国の「報復攻撃」は国家による公然たる「合法的なテロ」に他ならない。それは必ずより強大な反作用を生むだけである。参戦する日本もまた、これからは反作用から無関係ではあり得ない。
 報復攻撃では問題は何一つ解決しないだけでなく、米軍支援は、わが国が、国際社会、とりわけアジアやアラブ中東諸国・人民と対立し、信頼関係をますます危うくする。
 小泉の参戦決定は、重大な憲法違反であり、国際問題への軍事での介入は、国の基本方針の重大な転換である。
 今回の事件とその後の推移は、米国中心の世界経済・金融システムの崩壊、グローバリズムの終えんを世界中に印象づけた。「報復」の勇ましいかけ声は、米国中心の「国際社会」の表面に過ぎない。アラブやアジア各国も、「集団的自衛権」で対処するというヨーロッパ諸国でさえ、一枚岩ではない。「対米関係がこわれる」などと心配するのは小泉だけである。
 「自主的でアジアの平和・共生」これこそ、わが国の進路である。アジアやアラブなどを中心とする世界の大多数、「真の国際社会」の一員として対応しなければならない。少なくとも、自衛隊海外派兵へのアジアの目が厳しいことを自覚しなければならない。

◇   ◇

 広範な国民は連携して、自衛隊派兵に反対し、「米軍支援法」制定などに反対して小泉政権と闘おう。反対する野党は国民の先頭に立って、国民運動を組織しなくてはならない。議会だけでは勝負は見えているからである。
 民主党の鳩山代表は、「新たな法整備」に賛成し小泉支援を約束し、国民を裏切った。民主党支持者に、とりわけ先の参院選でも「奮闘」した連合加盟労組の活動家の皆さんに呼びかける。民主党の裏切りをはっきりと認識し、決別すべきである。諸君のそうした決意は、民主党指導部を震え上がらせ、小泉政権を重大な困難に直面させるであろう。
 わが党は、広範な人びとと力を合わせて奮闘する決意である。

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