20010905

民主党 参院選総括で党内対立

改革追随に、労組から批判


 小泉政権と「改革を競い」、財界のための政治をめざす民主党は、特殊法人改革などで、またもその本質をあらわにさせた。安全保障政策においても、参院選中の「海兵隊撤退」論をあわてて引っ込めた。だが、参院選で十分前進できなかったこともあり、民主党内の亀裂は深まっている。連合との関係もギクシャクしているが、労組大会でも民主党批判が噴出した。労働組合は民主党に期待することはできない。財界の党という彼らの本質を見抜き、大衆行動で自らの要求を実現することこそ、もっとも展望のある道である。

一貫して小泉改革に追随

 民主党は参院選において議席を四議席増加させたが、三年前の前回選挙と比べ、比例区での得票数は約三百数十万票も減らした。
 民主党の小泉政権に対する態度はまったく一貫性がなく、腰砕けであった。
 当初、彼らは「本当にやるのなら小泉改革を支持する」(鳩山代表)と主張、「民主党はなくなってもよい」とまで発言した。こうして小泉改革の応援団をかって出て「小泉人気」に便乗、「小泉・民主党対自民党内抵抗勢力」という構図を描こうとした。
 だが、選挙に入るや「政権交代なくして改革なし」となり、経済の深刻さがまし、改革の「痛み」が徐々に国民に浸透するや、「温かい構造改革」を唱えるにいたった。
 だが、改革の中身への理解を別にして、有権者にとってみれば、小泉も民主党も同じ「改革」であり、ならば政権を握っている小泉を選ぶことになるのは当然である。
 小泉政権と「改革を競う」民主党の本質は、最近の政局をみても、なんら変わってはいない。
 民主党は八月十六日、三十一法人の廃止と十九法人の民営化を骨子とする特殊法人改革素案をまとめた。素案は公表されていない部分が多いが、政府・与党でさえふれていない道路資産の民間への売却や石油備蓄の民営化を提言するなど、小泉以上の市場万能主義で貫かれたものである。
 特殊法人は大企業のための産業基盤整備を目的として設立されたものが多い。だが、わが国がますます激化する国際競争にうち勝つために、身軽な政府を必要とする支配層から「改革」を迫られている。
 だが、大企業のためばかりではなく、国民生活や中小企業の経営にとって一定の役割を果たしているものがあることも、間違いない事実である。
 支配層の進めようとしている特殊法人改革は、決して国民のためのものではない。
 民主党はこの期間、一貫して小泉改革に従い、果ては今回の特殊法人改革案のように、小泉以上に反動的な方向を示している。これまた、民主党が労働者や勤労国民の味方でないことを自己暴露した。

対米追随の本質は不変

 民主党の対米追随の本質も、いささかも揺らいでいない。
 菅幹事長は参院選中、沖縄駐留の米海兵隊の不要論を提起した。
 だが、選挙が終わるやいなや、岡田政調会長が訪米、海兵隊不要論は「民主党の正式な見解ではない」と言い訳した。あげく、「沖縄での選挙戦が厳しかったので、ぜひ勝ちたいとの気持ちがそういう発言になった。菅さんはそういう時にサービスする傾向がある」とまで発言、米国への従順ぶりを示した。
 米兵・軍属による犯罪・事故が日常茶飯事と化し、その被害に苦しむ沖縄県民は、米軍、とりわけ海兵隊の撤退を熱望している。票目当ての民主党の態度は、県民を愚弄(ぐろう)した許し難いものである。
 彼らは、以前は「(米軍の)駐留なき安保」を主張、さも自分たちが独自外交を実現できるかのように宣伝していた。だが、こうした経過を見る限り、およそ信用できないことは明らかである。
 こうした無節操な態度には、マスコミからも「民主党は沖縄県民に不誠実」(日経)との声が出るほどであった。

参院選総括で党内ギクシャク
労組からもいっせいに批判

 参院選で伸び悩んだ民主党は、選挙総括をきっかけに、党内対立を深めている。
 「逆風の中で善戦した」とする鳩山代表の総括はまったく説得力がなく、八月六日の両院議員総会では、「敗北だったことを認めるべき」「党の顔が見えない」「解党的出直しが必要」など、執行部の責任を問う意見が噴出した。
 改革ひとつをとっても党内はバラバラで、「痛みの回避を強く主張する人と、痛みを伴っても改革を進めるべきだという意見があった」(鳩山)と、認めざるを得ないほどだ。
 また、連合推薦候補の得票が伸び悩んだことに対し、「労組の組織内候補は比例区で公認すべきでない」(松沢衆院議員ら)といった意見も出た。鳩山も「労組とは成熟した関係を構築する」と述べた。これもまた、党内対立を促進させている。
 だが、小泉首相と連合幹部が八月二十七日、二年ぶりに政労会見を行ったことにあわてた鳩山は、「(連合との関係は)複数区で大きな成果があった」と軌道修正をはかった。実際、地方では、連合の協力なしに「ポスターも張れない」という実態があるからだ。
 一方、八月下旬に行われた自治労、JAM、全国一般など連合加盟単産の大会では、各委員長からいっせいに民主党に対する厳しい批判の声があがっている。おおよそ「小泉政権(改革)への明確な対抗軸がない」といった批判で、より掘り下げてみれば、民主党は与党か野党か不鮮明、ということになろう。各単産と民主党との矛盾も今後、深まらざるを得ないであろう。
 連合幹部も「民主基軸」を修正する動きをみせるなど、与党との天びんにかけられた民主党は、これまでにもまして、党内矛盾を拡大させるだろう。
 小泉政権登場以降、民主党は党の存在理由が厳しく問われることになった。
 民主党は徹頭徹尾財界のための党である。労働者は民主党を信用せず、大衆行動で要求を実現しよう。

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