20010725

改革競う民主党など信用するな

断固たる大衆行動で「小泉改革」打ち破れ

選挙で世の中変わらない


 参議院選挙は二十一世紀最初の国政選挙として、わが国の進路、国民の生活危機からの脱出など、国民の要求に沿って争われるべきものである。しかし、沖縄北谷町での米兵による女性暴行事件への対処に示されたように、米国の属国のような日米安保体制から脱却し、自主・平和、アジアと共生する国の進路を小泉政権と争う党はない。しかも、声高にとなえる「小泉改革」は、多国籍化した大企業が国際的な大競争に生き残るための「改革」である。財界のために労働者や中小商工業者など国民大多数に犠牲を押しつけるものである。だから、「改革」に反対する大きな流れは次第に形成されようとしている。だが、この反国民的小泉政権と真っ向から対決し、国民生活、国益を断固守ろうとする野党はいない。それが、小泉政権への幻想をつくり出している。野党づらしながら、小泉に追随する民主党などの反動的な役割は重大である。その「改革」と本家争いを続ける民主党などは、決して労働者や中小商工業者などの政党ではない。「小泉改革」を打ち破り、国民大多数の政治を実現するために、労働者階級は勤労国民の先頭で広範な大衆行動を実現しよう。選挙ではなく、断固たる大衆行動こそが、国民の要求を実現する最も確かな道である。

改革で本家争いの民主党

 「小泉人気」は、長期の不況と自民党政治の閉塞感を打ち破るのではないかという国民の期待によって成り立っている。
 その自民党に対し、民主党は「元祖構造改革」を掲げ、「民主党は『構造改革』に賛成です」と主張している。だが、それだけでは小泉改革と差がないので「セーフティネットを整備する『温かい構造改革』をめざす」と差を強調している。それは、解雇を認めながら、職業訓練などのセーフティネットを強調するものでしかない。
 小泉政権の「聖域なき構造改革」とは、多国籍化した大企業が世界的な大競争に生き残るためと日本発世界同時不況を避けるために、膨大な財政赤字をはじめ国民に犠牲を押しつけるものでしかない。
 不良債権処理については、それによって新たに百万人を超える失業者がつくられるといわれている。大銀行を生き残らせるためにそのツケを労働者などに押しつけるのである。その不良債権処理について鳩山代表は「構造改革に伴って失業者が出ることはやむを得ない面があるが、不良債権処理を一気に進めるべきだ」と、小泉改革を後押ししている。
 痛みを伴う「小泉改革」と本家争いをしている民主党は、財界のための政党であることは明らかだ。
 それどころか、小泉政権が改革途上で倒れたら、「骨を拾って改革を続ける」と発言、小泉にすり寄った。いまや民主党は事実上、「小泉一派」の様相を呈している。これでは、痛みを受ける国民は頼るべき政党がなく、支持低迷は当然である。

自民党顔負けの対米追随

 これまでも鳩山代表は、集団的自衛権の容認、そのための改憲を主張してきたが、今回の選挙戦でも、改憲と集団的自衛権行使について「日本にふさわしい国際的役割や統治のあり方をタブーなく議論を」としている。
 そして参議院選挙政策では、国連平和維持活動(PKO)参加五原則の見直しや国連平和維持軍(PKF)の本体業務凍結解除をはじめ、文民警察派遣などと海外派兵をさかんに強調している。
 さらに、有事法制ではあきたらず、平時でも自衛隊を自由に派遣し、国民の諸権利を制約する「緊急事態基本法」さえ提案している。
 米国は、日米同盟を「米英同盟」並みに強化することを求めているが、民主党の政策は、まさにそれにこたえるものであり、小泉首相に負けず劣らずの対米追随ぶりであり、アジアと敵対するものである。国民とアジア諸国の望むアジアとの共生に背を向けるものである。

野党づらした共産党も改革競う

 共産党はどうだろうか。
 参議院選挙直前には、志位委員長が「自民党政治変える『日本改革』の道」を主張した。共産党もまた、改革で競っているのである。
 共産党は、すでに九十七年の第二十一回党大会で、二十一世紀の遅くない時期に「民主連合政府」を樹立すると決定した。そのために支配層を安心させるために、「ヨーロッパ並み」の社会をめざし、安保棚上げなどを打ち出した。そして共産党は、連立政権をめざすために財界の政党である民主党との「共闘」を追求してきたが、小泉人気の前に改革で独自性を出し、一議席でも多く獲得しようと狙っている。
 だが、共産党がどのように主張しようとも、政権入りのため支配層にますます恭順の意を示すことになり、労働者をはじめ国民の利益から離れていくのである。
 自民党政治の崩壊を恐れた支配層は、マスコミなどを使い小泉政権をつくり出した。 しかし、野党も改革の本家争いで、どちらが国民に犠牲を押しつけるのかを競っているにすぎない。
 こうした野党を当てにしてはならない。
 財界のための政治を打ち破る力は、労働者階級をはじめとする国民諸階層の連携した断固たる大衆行動である。小泉政権と野党への幻想を捨て、闘おう。

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