20010703

米兵による北谷町での
女性暴行事件に断固抗議する

日本労働党中央委員会副議長 山本 正治


 六月二十九日未明、沖縄県北谷町で二十歳代の日本人女性が米兵に暴行された。七月二日、米空軍嘉手納基地所属の軍曹に逮捕状が出された。
 私たちは満腔(まんこう)の怒りをもってこの事件と米軍を糾弾する。

 沖縄は、一九九五年の少女暴行事件後も何一つ変わっていない。米兵による犯罪や事故が相つぎ、米軍は日本の安全を守るどころか、事件事故、人権蹂躙(じゅうりん)の源(みなもと)となっている。
 北谷町では、今年に入ってから連続放火事件や車両破損事件など米兵の事件が目立っていた。昨年7月には米海兵隊員が就寝中の女子中学生を襲い、今年1月には、海兵隊員による女子高生への強制わいせつ事件などが起きた。

 こうした一連の事件に対して、沖縄県議会はじめ県下自治体で、抗議と海兵隊など米軍削減の要求が出されている中で、今回の事件が起きた。
 もはや沖縄県民はじめ、日本国民の怒りはがまんの限界を超えている。
 クリントン前米大統領は、昨年七月、沖縄県民の前で、米兵犯罪を「恥ずかしく思う」と陳謝した。何度も米軍は、「綱紀粛正」を表明した。しかし、同様の事件事故が繰り返され、そして今回である。米兵への逮捕状発行を受けて県庁に訪れた在沖米四軍のトップである調整官は、過去の事件の際の謝罪と同じように、「遺憾の意」と「軍の規律向上」を繰り返した。

 米軍基地、米軍が存在し続ける限り、この種の事件・事故は繰り返される。
 あきれることに、米海兵隊のジェームス・ジョーンズ総司令官が事件後に沖縄に行き、在沖米海兵隊の存在意義を強調し、県民は「基地の存在を誇るべきだ」とまで述べた。まったく身勝手な論理である。先日は四軍調整官が、沖縄県知事や金武町長、県議らを「ばかな弱虫」とののしるという事件さえ最近あった。
 米軍は、対日戦勝利占領軍、植民地支配軍の意識を捨てていないと言わなければならない。

 二度と悲劇を起こさないためには、米兵と米軍を沖縄から退去させる以外にない。これが県民の総意である。
 わが国政府は、これ以上、沖縄県民に負担と犠牲を押しつけてはならない。即刻、米軍基地問題解決のための具体的な行動に出なければならない。すべての国民がそれを望んでいる。
 ところが、この事件直後に訪米した小泉首相は、県民の怒りを代弁することも、ましてや基地問題解決へ具体的要求を突きつけることもなかった。むしろ、ブッシュ米大統領との「信頼関係」構築を成果と強調した。どうしてこの種の事件・事故を根絶するとの合意なしに「信頼関係」が築けるのだろうか。「安全と繁栄への日米同盟」などと強調する両国政府は、被害者を始め沖縄県民を愚弄(ぐろう)するだけである。
 ましてこの時期に、「私は根っからの親米派」などと平気で語る小泉首相には、独立の気概と国民の生命財産、人権を守る責任感が感じられない。「改革」を掲げるが、歴代自民党政権の「属国外交」の域を出ないことを自己暴露した。えひめ丸事件への対処で国民の怒りをかった森前首相と五十歩百歩である。

 沖縄県民の「怒りのマグマは沸騰(ふっとう)点」に達している。わが党は、沖縄県民の怒りと基地撤去への熱望を共有し、ともに闘うことを改めて表明する。
 全国民に、この事件と米軍への強い抗議の闘いを呼びかける。わが国政府は、米国に明確な謝罪を要求せよ。再発を確実に止める唯一の方法、沖縄の米軍基地の撤去を要求せよ。
 問題の根源には、今年五十年目を迎える日米安保条約体制がある。わが国が国の主権を譲り渡し、沖縄を異民族支配の下にさし出し、沖縄など全国に治外法権の米軍基地を容認するなど、国家的従属の道に踏み込んだこの条約体制を打破しなければならない。
 日米安保条約を破棄せよ。日本から全ての米軍基地を撤去せよ。これが国民の安全と繁栄の前提条件である。

ページの先頭へ