20010525

民主党 「小泉人気」にあわててすり寄り

小泉政権と違いはない


 小泉新政権のもとで、初の国会審議が始まっている。「高支持率」といわれる小泉政権だが、彼らの掲げる痛みを伴う「構造改革」を断行すれば、国民的批判は避けられない。また、それは自民党内に深刻な対立を呼び起こさざるを得ないだろう。一方、「高支持率」にあわてた野党は、小泉政権と真っ向から対決できず、国会はますます茶番劇の場となっている。とりわけ、民主党は小泉首相の「改革を促進する」姿勢を鮮明にさせており、これまで以上に、野党としての存在意義を失っている。大企業のための政党という正体を自己暴露する民主党を当てにせず、労働者は「改革」政治と闘う戦線を整えなければならない。

 自民党政治に対する国民の広範な不満を、「現状打破」の看板でとりあえず集約するかたちで小泉内閣が登場した。
 かねてから、小泉首相に対して「好感をもっていた」(鳩山代表)という民主党にとって、その小泉が自民党総裁に座り、「改革断行」を掲げたことは、自らの存在意義を問われる大変な事態である。実際、民主党は小泉内閣への対応をめぐり、ぶざまに右往左往を繰り返している。

存在意義問われ、動揺する党内

 後述するように、政策がほとんど同じ上に、小泉が八〇%以上の「支持」を得ていることにあわてふためく民主党では、東京都議選と参院選を前に、党内若手を中心に動揺が広がっている。彼らは、あろうことか「小泉との近さ」を宣伝するありさまである。
 予算委員会で質問に立った岡田政調会長にいたっては、小泉に「民主党を敵とは思わない」と秋波を送られるや、「私も敵とは思わない」とエールを交換、自民と連立を組む公明・保守両党の政策担当者を前に、「私がいちばん小泉さんに近い」と「自慢」するほどであった。枝野政調会長代理も、与党ともいえるこうした「特殊なスタンス」を継続すると宣言している。
 党役員がこうであるから、若手議員が街頭で「小泉改革を支えているのは民主党」と大々的に「宣伝」する醜態をさらすのも、当然のなり行きというべきであろう。しかも、党執行部はこれを黙認、事実上追認している。

国民の血流す「改革」競い合う

 民主党内が「小泉人気」にあやかろうとするのも当然である。小泉と民主党の間には、政策面での違いはほとんどない。もともと、鳩山が「自民党と政策の違いはない」と公言していたほどであるから、相手が「改革派」の小泉となればなおさらだ。
 実際、鳩山は国会の代表質問で、小泉内閣と「改革のスピードを競い合う」ことを「素直に喜んでいる」と、はしゃぎまわった。
 だが、小泉が「断行」しようという構造改革とはいかなるものであるのか。
 緊急の課題とされる「緊急経済対策」で不良債権の最終処理を進めれば、建設業、流通業などの中小企業を中心に、大企業の一部すら倒産に追い込まれ、試算では百四十万人もの労働者が職を失うとされる。
 逆に、大銀行は膨大な不良債権を処理して身軽になり、国際的大競争に生き残る条件の一つを得る。
 この一つをとってみても、「改革」の実態は労働者・中小企業の生活と営業を危機に追い込むものにほかならず、一部大企業にしか利益をもたらさないことは疑いない。
 それどころか、鳩山は自民党案以上に「厳格な債権査定」を主張している。つまり、より多数の中小企業を倒産させろ、「これこそ構造改革のスタートだ」というのだ。菅幹事長も、小泉の構造改革を「前向きに引っ張っているのが民主党」と、あけすけに述べている。
 このように、国民犠牲の政策を自民党と「競う」民主党は、断じて労働者、中小業者のための政党ではない。

アジア敵視で小泉の同類

 安保・外交政策ではどうか。
 鳩山らが小泉と同じく改憲派であり、自民党に先んじて有事法制整備を主張していることは、これまでも明らかにしてきた通りである。
 また、米国が要求する集団的自衛権行使については、「憲法を変えて堂々と行使できるようにしろ」というのが、彼らの本音である。自民党の一部や小沢・自由党党首とまったく同じ見解だ。
 また鳩山は、中国・韓国などアジア諸国から高まっている、侵略美化の「新しい歴史教科書をつくる会」による歴史教科書の合格取り消し・再修正を、政府と同様に拒否している。
 しかも党内には、アジアからの当然の抗議を「内政干渉」とする議員までも存在している。
 同じく、小泉が譲らぬ靖国神社への参拝にしても、民主党内から賛同・激励の声があがっている。羽田特別代表(前幹事長)などは、自民党員と共に毎年同神社を参拝しているのであるから、これも当然といえるだろう。
 李登輝・前台湾「総統」の来日問題についても、枝野が国会質問で、中国を「北京政府」と呼び、李登輝へのビザ発給を「何の問題もない」と政府を「追及」した。
 民主党は日中共同声明、平和友好条約に反して「二つの中国」を公然と認める見解を宣伝している。
 こうした民主党の態度は、わが国をアジアと敵対させる危険なものである。
 以上述べてきたように、内政においては多国籍大企業本位の弱肉強食の経済政策、外交では徹底した対米追随・アジア敵視と、小泉政権以上の反国民的政策を掲げるのが民主党である。
 与党以上に与党的といえる民主党への幻想を捨て、労働者・中小業者が断固とした大衆行動を起こすことが求められている。