20010322

日米首脳会談についての談話

暴風雨圏に突入した日米経済

わが国の犠牲で金融システム・ドル維持を確認

日本労働党中央委員会副議長 山本 正治


 山本正治・労働党中央委員会副議長は三月二十二日、十九日に行われた日米首脳会談についての談話を発表した。


 日米同時株価暴落で世界金融システムの危機が語られる中で、森首相とブッシュ米大統領との首脳会談が、二十日未明(日本時間)行われた。「危機回避」ということで、森首相は不良債権問題の最終処理、財政改革といちだんの規制緩和、構造改革などを約束した。日銀は、かつてない金融緩和、実質ゼロ金利に踏み切った。


 この意味するところは、非常に象徴的である。世界経済は新たな暴風雨圏に突入し、緊急の対応が迫られたのである。
 周知のように世界の大資本家、大金持ちどもは生産的投資ではなく、膨大な資金を株など金融投資に集中し、世界経済は実体経済の何十倍もの「バクチ場経済」となった。
 そのバクチ場が、米国のバブル破裂と日米同時株安で極度に不安定化、金融恐慌が取りざたされるようになった。そこで今回の日米首脳会談は、バクチ場の用心棒といえる米国政府とその手先わが国政府が、共同対処したのである。
 しかし、この危機はそんなに生やさしいものではない。事実、米国株価は今年三回目の金利引き下げにもかかわらず、二十一日も続落した。もちろん一路破局へ向かうとは考えられず、若干の揺り戻しはあるだろう。それでも、世界資本主義が無傷でこの暴風雨圏を乗り切ることはあり得ない。


 わが国の大銀行は国民の税金で守られる。一方、不良債権処理も、規制緩和や構造改革も、低金利政策も、国民大多数に耐え難い苦難を強要する。企業のリストラと倒産によって、失業者増加に拍車がかかる。年金生活者などのわずかな預貯金金利は本当に実質ゼロとなった。財政改革の負担は、福祉・社会保障と地方自治体に集中的に押しつけられる。銀行も、地方、中小は大変である。
 日米間には重大な問題が進んだ。米国は、今回の措置で世界的な金融システムが一息つくかどうかだけでない重要な成果を手にした。膨大な経常赤字を抱え、絶えず暴落の不安を内包するドルを維持するための「ドル還流システム」が、しばらくは確実に保障された。日本の実質ゼロ金利と金融緩和、円安ドル高容認で、日本国内に有効な投資先が見つからぬ膨大な民間資金は、無条件で米欧に引きつけられるからである。
 わが国はドル体制維持にいっそう深入りさせられた。わが国国民大多数の犠牲は避けられない。
 森首相は、日米安保協力の「拡大、深化」、有事法制なども約束した。また、こともあろうに「えひめ丸」問題で、乗組員とその家族の心情、国民の怒りを逆なでするように、「米国の対応は誠意ある」と感謝している有様である。国民の間に高まっている「日米同盟」見直しの機運に真っ向から逆らった。
 森政権とわが国支配層は、民族的裏切り者としての姿をいちだんと露呈した。


 米国中心の経済・金融体制やその世界戦略の一環となっている日米安保体制の危機はいちだんと深まっている。わが国支配層は、わが国の一方的負担と犠牲で支える道を選択しているが、わが国の経済にはほとんど余裕はなく、条件は非常に悪い。また、アジアはじっと注視している。国民大多数との矛盾はもちろん、支配層内部の矛盾も激化せざるを得ない。
 日米安保、ドル体制からの離脱は、ますます緊急の課題となった。