20010316

法人府民税増税に関する申し入れ

日本労働党大阪府委員会委員長 吉沢 章司


大阪府知事 太田房江 殿

 開会中の二月府議会において、府は法人府民税増税の方針を提案しました。
 昨年の九月議会で、この増税案に対しては大多数の会派から反対の意見が表明されましたが、わが国の経済を取りまく状況はこの期間にさらに厳しくなっております。
 昨年の全国の企業倒産件数は一万九千七十一件、前年比二三・四%増、八三年に次ぐ戦後四番目を記録し、バブル崩壊後では九八年に次ぐ二番目の高水準となっています。また負債総額は二十三兆二千四百万円、前年比七七・〇%の大幅増加で戦後最悪を記録しました。今後も金融機関の不良債権処理により倒産企業はいちだんと増加することが予想され、その中で最悪を記録する失業率も改善される状況にはありません。
 増税の課税対象を資本金一千万超の法人に限定するからといって、問題は対象企業だけにはとどまりません。取引関係にある中小零細企業に必ずはね返るのは間違いありません。企業がいちだんのリストラを進めることにもつながり、雇用削減となって現れる危険性も否定できません。地域経済全体に悪影響が避けられず、長期化する不況にあえぐ地域中小企業に大きな負担となることは明白です。
 財政再建のためには、府財政の収支にわたる見直し、再検討が必要ですが、そのためにもまず、もっと徹底して今日に至る財政破たんの原因を究明すべきです。それなしには財政再建は始まりません。
 周知のように、府債の償還財源である「公債費」の増大が、府財政を大きく圧迫しています。九〇年代に府債を大量に発行し、投資的事業を拡大したツケです。「りんくうタウン」や「阪南スカイタウン」などの関空関連事業は破たんし、府財政のいっそうの圧迫要因ともなっている状況です。
 府は「行財政計画」の中で「負の遺産の整理」と言っておりますが、府財政圧迫の根源となっている九〇年代のこの事業は、景気対策として、あるいは社会資本整備として、どれだけ府民に益をもたらしたのか、プラスになっているのか、もっと具体的に検証し明らかにすべきです。また何よりも、第三セクター方式の大規模開発を投機の対象とし、競って出資した大手ゼネコンや不動産業者、大銀行の責任が問われる必要があります。財政危機の責任は、多くの中小企業にはありません。
 以上の理由から、法人府民税増税案の撤回を求めます。

同内容で、横倉廉幸・大阪府議会議長にも申し入れを行った。