20010212

実習船衝突・転覆事故に強く抗議する

日本労働党中央委員会副議長 山本 正治


(1)
 4人の高校生を含む9人の行方不明者など多数の犠牲者が出た、米海軍の原潜による宇和島水産高校実習船への衝突・転覆事件について、米政府・軍に強い怒りをもって抗議する。

(2)
 実習船船長は、現場に戻った原潜が、何一つ救助の行動をとらず、海中に投げ出された被害者たちを監視するだけだったと暴露し、強い怒りを表明した。米軍の居丈高(いたけだか)な態度が丸みえである。
 石橋寛久・宇和島市長は「多少のリスクを負ってでも助けてほしかった」と不満を表明した。
 在沖縄米軍トップのヘイルストン調整官が、沖縄県知事らを「頭の悪い弱虫」よばわりした事件も同様である。
 過去、1981年にも、太平洋上で米海軍の原潜と愛媛県の貨物船「日昇丸」が衝突、日昇丸が沈没し、2人が死亡する事故があった。米原潜は現場から逃亡して事故を隠し、海に投げ出された乗組員を見殺しにした。
 今日、米軍は、唯一の軍事超大国として世界の支配者を自認し、世界中の海で、空で、大陸で、まったく我が物顔である。今回の事件は起こるべくして起こった。
 事件の本質はそこにある。広範な国民が怒るのは当然である。

(3)
 一方、わが国政府の対応は真剣さに欠け、およそ独立国の気概が見られない。あまりに国民感情からかけ離れたものであった。
 森首相が、事件の報告を受け取った後もゴルフに興じていたなど論外である。外務省幹部は、事態の全容も明らかでない当日早くも、「事故後、潜水艦はその場にとどまり、救助捜索活動にあたった。まず行うことは通報ではなく救助活動。連絡が遅れたこともあて逃げとは考えられない」と、事実と違うウソまで述べて、米軍の対応と米国を評価した。
 そこには、およそ「独立国」の政府として、自国民の生命と財産を守るために全力を尽くす決意も姿勢も、その片鱗すら見られない。81年の事故の際に、軍事機密を盾にとる米国のまえに、卑屈な売国的自民党政府は真相と責任の徹底追及を怠った。こうして事故は再発した。
 先の「頭の悪い弱虫」発言問題の時も、さらには95年の米海兵隊員3人による沖縄県での少女暴行事件の時も、米国に対するわが国政府の卑屈さはまったく同じであった。
 中でも野中自民党前幹事長は、こうした事件が起こった中で10日同日、日米は同盟国であり冷静に対処すべきだ、「同盟国とはお互いの責任を果たすことであり、米国が攻撃を受けたときには集団的自衛権が発動される」と述べている。政府や自民党、わが国保守層の真の姿、日本国民の生命や財産を守る政治でなく、何よりも米国のための日米同盟という売国奴の姿が浮き彫りとなっている。

(4)
「米政府による行方不明者の捜索と救助、真相の徹底糾明と被害者への完全な補償」は当然のことである。わが国政府は、そのため全力を尽くさなくてはならない。
 同時に、米軍が世界中で我が物顔で振る舞っている限り、事件は再び起こるであろう。とりわけわが国に米軍が居座り、しかもその特権が日米安保条約や地位協定などで保障され、わが国政府がそれを容認している限り、沖縄県をはじめわが国でこの種の事件事故は決してなくならない。
 わが党は、日米安保条約を破棄し、日米関係を真に対等平等の独立国同士の関係に変えるため奮闘する。世界中の国々、人民とともに、米国の覇権政治に反対する。